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パイレーツ・ロック - 福本次郎

ロックが権威への反抗・既成の価値観への挑戦と思われていた60年代の英国で、24時間ロックをオンエアして音楽に飢えた国民の人気を得る。その姿は校則の厳しい高校の不良生徒たちが反乱を起す学園ドラマのようなおもむきだ。(40点)
パイレーツ・ロック

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 深夜のカフェで、ナースステーションで、灯りを消したベッドで、大人の目から隠れるようにしてラジオに耳を傾ける若者たち。まだロックが、権威への反抗・既成の価値観への挑戦と思われていた60年代の英国で、その精神を受け継ぎ実行に移した男たちは洋上から24時間ロックとポップスをオンエアするというゲリラ的手法で音楽に飢えた国民の人気を得る。恋や友情を交えた彼らの姿は、校則の厳しい高校の不良生徒たちが生活指導の先生たちに反乱を起す学園ドラマのようなおもむきだ。

 海賊放送のラジオ局に入ったカールは、社会のハミダシ者ばかり集めたようなDJたちに面喰いながらも楽しい日々を過ごしていた。一方で、下品な音楽を規制しようとする政府高官はこのラジオ局をつぶすために策を練り、禁止する法案を通過させる。

 本来カールの視点で語られるはずなのに、描かれる彼のエピソードは初体験と父親探しのみ。癖のあるキャラクターの前ではカールの出番はほとんどなく、いつの間にかドタバタ群像劇になってしまう。もちろん、伯爵やギャヴィンといったプライドの高いDJがマストに登って根性試しをしたり、サイモンというDJが結婚詐欺のような目に遭ったりと、単発では笑えるシーンもあるのだが、それらが有機的に結びついて一つの物語に収束しているとは言い難い。もう少し整理して時の経過も分かりやすくするなどの工夫がないと、作り手だけが楽しんでいて見る者は置いてきぼりを食った気分になる。

 やがて非合法化された海賊放送船は警察の手入れから逃走するが、その途中でエンジントラブルに遭い沈没する。浸水し、徐々に船尾から水没していく中でも、伯爵は放送をやめずボブというDJはレコードを手放さない。彼らが命がけで守ろうとしたのは音楽という名の自由。救難信号を当局に無視されても、大勢のファンがボートで救援に駆け付けるファンタジーのようなラストシーンは、体制側に対して、自由な魂とそれを支持する民衆の高らかな勝利宣言として非常にさわやかな印象を残す。

福本次郎

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