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ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破

◆ファンのトラウマを晴らす感動のラスト(85点)

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破

© カラー

 この記事を待っている方も多いようなので結論から先に言うと、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』はファン必見の出来栄え、文句なしの傑作と言える。

 ユーロとロシアが管理する北極域に、新たな使徒が現れた。迎撃に当たった新型エヴァンゲリオンを駆る真希波(まきなみ)・マリ・イラストリアス(声:坂本真綾(まあや))は、強敵を相手に恐るべき戦闘能力を発揮するが……。一方、日本の第3新東京市には、正規実用型のエヴァンゲリオン2号機のパイロットとして、式波(しきなみ)・アスカ・ラングレー(声:宮村優子)が赴任してくるが、気の強い性格から早くも碇シンジ(声:緒方恵美)、綾波レイ(声:林原めぐみ)らと衝突する。

 人気キャラ、アスカの苗字が惣流から式波に変わったとおり、この第2部からはもう、完全なる新作。ストーリーも登場キャラクターも大きく変化する。それでもテレビ版の面影が、ストーリーおよび複数のショットに残っているが、それはもう味付け程度。

 そしてこのアスカの運命と変化こそが、このシリーズのコンセプトを表しているかのようだ。それはかねてより言われているように、エンタテイメント性を重視しつつ、映画の尺に合わせてテーマや各要素を整理していく、ということ。

 たしかにこれを見ると、あの複雑怪奇なテレビ版とは対照的に、きわめてわかりやすい。庵野秀明総監督の頭の中が、10数年を経て整理されたのか、やりたいことがハッキリしたのかは不明だが、今のところ非常によい効果、リメイクするに値するクォリティが実現されている。

 なお鶴巻和哉監督は、今考えてみるとテレビ版当時は、庵野秀明、摩砂雪(監督)、そして鶴巻氏の間で脚本の解釈が違っていたと告白している。そのため視聴者は翻弄され、あたかも深みのようなものを感じさせられる効果があった、というわけだ。この新劇場版では、そのあたりも整理されていくことになるのだろうか。

 第1部はヤシマ作戦という、区切りとなる大スペクタクルがあったのでスンナリ構成できたが、3部作(第3部はさらに2編に分かれる予定)の中間となる本作をどう作るのか。事前に気になっていた部分だが、本作のスタッフは「激しい戦闘をいくつも入れる」という、まさにエンタテイメント志向で乗り切った。本作のアクションの激しさ、そして量は、前作とは比較にならない。3DCGも積極的に取り入れ、いかにも今時のロボットアクションになっている。

 なにしろこのシリーズ、ネルフが使徒出現をキャッチした瞬間の異様な盛り上がり感ときたら、尋常ではない。それが何度も絶え間なく続くのだから、こりゃたまらない。ラーメン二郎も真っ青の満腹サービスである。

 使徒迎撃のために設計された街とか、最終兵器となるエヴァンゲリオンを運用しているネルフでさえ、その能力を完全には把握していないという異様な設定など、何度見ても面白いものだと感心する。

 また、キャラクターの変化についても一目瞭然で、全員どこかすっ飛んでいたテレビ版とは明らかに異なる。一言で言うと碇ゲンドウもアスカも、みなかなりマトモになった。そしてそれが、終盤の凄まじいクライマックスにつながっていく。

 それについてはもちろん詳しく語るつもりはないが、とてつもなく強い使徒が登場するとだけ言っておこう。

 この最後の戦いの高揚感は、下手をするとシリーズ通して最高傑作と呼んでもいいほど。まさに13年間に渡る、エヴァンゲリオンファンのトラウマを晴らす、感動の愛のバトルだ。その驚き、感動の大きさは、シリーズへの思い入れが強いほど高まろう。

 エンドロールの後には、例によって葛城ミサトの次回予告が用意されている。ここまで温存してきたあのチルドレンも加わり、予想もつかない展開を見せるらしい。だが正直なところ、私はこの「破」にも十分満足をした。「早く続きを見たい!」との思いは、さほど感じなかった。それほど、よく出来ていたということだろう。

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