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呪怨 白い老女 呪怨 黒い少女 - 前田有一

意外な掘り出し物ホラー(80点)
呪怨 白い老女

© 2009東映ビデオ・CELL

 この2作品は、それぞれ独立したものと見ることもできるが、それぞれが60分間と短く、同時上映されるという事情から、ひとつの記事にまとめて紹介したい。

 タイトルでわかるように、清水崇監督の代表作的ホラーシリーズの一篇。「恨みつづけて、10周年」という、気の長い幽霊のセリフのごときコピーにあるとおり、シリーズ誕生10年の節目を飾るイベント作品である。

 清水崇監督は今回監修に回り、持ってきた脚本が優れていた二人の才能にそれぞれの監督を任せた。まず『呪怨 白い老女』の方は三宅隆太監督。そして、これが実にとんでもない男であった。

 本編の前に上映された、Wiiの同名ゲームCMのプレイ映像がシャレにならない恐怖度で、最高の前座となっていたこともあるが、『白い老女』冒頭のシークエンスはとてつもなく怖かった。

 これは監督の演出が良かった事に加え、この監督が新進気鋭で、いったい「どこまでやる気なのか」がまったく読めなかった点が大きい。

 わかりやすくいうと、まずすべてのホラー映画は、各監督・プロデューサーの心優しい配慮により、恐怖・ショック演出を自主規制してある。映画館で心臓麻痺の死者が続出したら、そりゃ商売にならないのだから当たり前だが、本来彼らがその気になれば、観客をいくらでも途中退場させることができる。それほど、現代の映像表現の自由度には上限がない。

 だから、その監督のホラー映画を初めてみる場合は、相撲の初顔合わせと同様に、手練れた観客にも相当な緊張感が漂うのである。「いったいこの監督は、どこまでガチンコ勝負する気なのか?」 その情報がないためだ。それが今回は功を奏した。『白い老女』の出来がよかったので、黒はもういらない、お腹いっぱいですといいたくなるほどであった。

 しかし、安里麻里(あさとまり)監督の『呪怨 黒い少女』が始まると、その微妙なタッチの変化がリフレッシュ効果を生み、なかなか良い。題名どおり、画面の黒い部分はまさに「闇」というべき真っ暗けで、そこから何が出てくるか、観客は気が気ではない。

 主演の加護亜依は、『白』の南明奈にくらべ、期待したほどの魅力を発揮していたとはいえないが、その他のキャストはことごとくハマり、いい演技を見せる。

 実感ある恐怖エピソードが次々と襲い掛かるこの2本は、切断前のつながったソーセージを延々と飲み込まされるように、休みなく強いストレス・恐怖を体感できる優れたホラー作品といえる。映画館を出たとき、あたかも運動をこなしたかのようなスッキリ感を楽しむことができるだろう。

前田有一

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