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激映画批評

トランスフォーマー/リベンジ

◆マイケル・ベイらしさ全開のすてきなトンデモ映画(90点)

トランスフォーマー/リベンジ

© 2009 Dreamworks LLC. and Paramount Pictures. All rights reserved. Photo Credit: Industrial Light & Magic

 『トランスフォーマー/リベンジ』は、いかにもマイケル・ベイ監督らしい、華やかで楽しくて、かつゴーマンな超大作であった。

 激しい戦いを生き残ったリーダーのオプティマス率いる金属生命体・オートボット(日本版でいうサイバトロン)軍団は、いまや人類と協力して、悪の軍団ディセプティコン(同:デストロン)の残党を狩っていた。ところがあるとき、その一体が新たな大戦争を匂わす不気味な台詞を残して死ぬ。そして今回もカギを握るのは、オールスパークのかけらを持つサム(シャイア・ラブーフ)とそのガールフレンド、ミカエラ(ミーガン・フォックス)だった。

 都内のTHX劇場で先行上映に行ってきたが、いやはや、これは面白いものを見せていただいた。断続的に続くお祭りのような見せ場が150分間もたっぷり続く、「量が少なくて文句を言われるのが怖い」アメリカの料理店特有のてんこもり料理のような、ワイルドな娯楽作品であった。

 観客の受けも上々だったのが、前作とは打って変わって増えたギャグの応酬。原作アニメの一部でみられた、しょうもないやりとりが実写で再現されている。スタースクリームが上司(?)小突かれまくる"お約束"も健在だ。マニアらしき外人が、横で大笑いしていたのが印象的であった。

 個人的に笑ったのが、いかにもマイケル・ベイらしい、傍若無人なストーリー展開。人類と善玉ロボットが同盟を組んで悪と戦っているのだが、ここでいう人類とは米軍のこと。もちろん、アジア人やイスラムの人々は含まれていない。

 コンボイ司令官とともに、彼らハイテク米軍は世界中のどこまでも飛んでいき、現地のインフラや観光資源を台無しにする大破壊戦闘を繰り広げる。その舞台がまた、中国だったりエジプト・ピラミッドだったりとやりたい放題。歴史遺産など知ったことかと、ぶち壊しまくる。

 これをみて私は、なぜキミたち米軍は当然のような顔をして、シャンハイの街中で特殊部隊を展開して勝手に戦争やってんだと、笑いが止まらなかった。共産党政府と人民解放軍、それから現地警察はどこへ雲隠れしているのか。いったい誰の許可をもらってやっているのか。もはや、国際政治も外交もあったものではない。この映画の米軍は、無条件国境通過パスか何かを持っているのだろう。

 なおこの映画は、ヨルダン王室が前作のファンということで、軍の機材使い放題で凄い映像を撮ることができた。劇中でも、米軍のピンチを助ける一番いいシーンで、ヨルダン軍が助けにやってくる。だがその扱いのひどさで恩返しするあたり、さすがはマイケル・ベイというほかない。

 また、米政府関連の描写は異様に力が入っていて、とくに軍マニア垂涎のスペクタクルが多数出てくる。原潜、空母、無人機等々、ハイテクアメリカ軍の誇るあれやこれやが次々と出てきて、ときに壮絶な討ち死にをする。反米イスラム諸国の民がこれを見たら、拍手喝さい間違いなしであろう。

 中でも、史上最高性能といわれる高高度偵察機SR-71の登場シーンは凄い。これは、ミサイルの届かない上空を超音速で飛んだ、冷戦時代の偵察機で、専用燃料のクソ高さと燃費の悪さのせいで運用が困難になり、惜しまれつつ退役した悲運の機体。「アイ・アム・レジェンド」で、ウィル・スミスがゴルフ練習場代わりにしていたといえば、思い出す方も多いだろう。

 そんな感じで、一般向け大作のくせに妙にマニアックな軍事ネタが頻発する作品といえる。

 肝心の、トランスフォーマーたちの戦いも盛り上がる。とくに、スタースクリームこと米空軍F-22戦闘機と、ゼネラルモータース製サイバトロンの戦い。生産中止になった高級戦闘機vs.破綻した会社のクルマ。今のアメリカ経済を象徴する、最高の皮肉である。

 後半になってもド級見せ場大会のペースは落ちず、振り返ってみれば、軍事アクション、インディ・ジョーンズ的アドベンチャー、ダヴィンチ・コード風サスペンスなど、1800円で見るには申し訳ないほどのサービス全開。地球上どこを探しても、これ以上の「大作」はありませんよと言うほかない。こいつの前では、あのターミネーターの最新作さえオモチャに見える。

 問題点としては、パーツが多すぎてどこが顔だか腕だかわからないキャラクター造形と、それに伴う格闘戦のわかりにくさ。随所にスローを挟んで工夫してはいるが、2体が組み合ったらもうどこがどこだかわからない。

 また、前作を見ていない人、トランスフォーマー自体に詳しくない人、軍事ネタ、政治等にまったく興味がない人にとってもつらい2時間半になるだろう。マイケル・ベイ映画を見て本気で腹を立ててしまうような、ピュアでキマジメな映画ファンの方もやめたほうがよい。

 逆に適しているのは、軍マニアでアメリカウォッチャーで、マイケル・ベイの無茶さかげんを笑って楽しめる人。そんな人にとっては、この映画は今夏ナンバーワンといっても過言ではない、大収穫といえるだろう。

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