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相棒シリーズ 鑑識・米沢守の事件簿 - 前田有一

"特別感"はないが、退屈はしない(50点)
相棒シリーズ 鑑識・米沢守の事件簿

© 2009「鑑識・米沢守の事件簿」パートナーズ

 本作は、テレビ朝日の人気刑事ドラマ『相棒』シリーズのスピンオフ。薄味でいかにもテレビドラマ的ではあるが、「映画」らしさにこだわらない人ならまあいいんじゃないか程度のレベルには仕上がっている。

 昨年公開されヒットした『相棒-劇場版- 絶体絶命!42.195km 東京ビッグシティマラソン』のサイドストーリー的内容なので、該当作の鑑賞は必須といえる。

 鑑識課の米沢守(六角精児)は、東京ビッグシティマラソン事件の捜査中、ランナーの中に失踪中の元妻・知子(紺野まひる)の姿を見つける。ところが翌日、彼女は死体で発見される。そこに知子のもと夫と名乗る刑事・相原誠(萩原聖人)が現れ、米沢は二人で協力して独自の捜査を開始する。

 米沢の相棒となる刑事があまりにバカすぎて、まともな刑事ドラマを期待すると一気に萎える。愛するものを失った男の執念の捜査、という主題材は、完全にその輝きを失っているが、それでもある種のバカ映画的魅力は残っている。その意味ではこの作品、なかなかしぶとい。

 だいたいこの男ときたら、警察組織のダークサイドが暴かれると、その度に初めて知ったような顔で驚き、義憤にかられている。荒くれ者揃いの警察組織に、こんな純情なおぼっちゃんがいたら見てみたい。

 毎度毎度すぐ感情的になるところを見ると、聞き込みや事件捜査の基本も知らない様子。私はすっかり彼が、免許更新の事務担当か何かの人だろうと思っていたので、刑事と聞いたときには仰天した。「僕はホントは本庁にいきたかった」などと言っているが、無理を言って上司を困らせるものではない。

 そんなわけだから捜査の進展もまれにみる衝撃的展開で、論理的推理も鑑識結果もほとんど意味なく、たんなるタナボタ式ご都合主義によって事件は解決する。おバカ刑事にぴったりな真相解明である。

 とはいえ、のっけからまったく期待感をあおられないつくりになっているのと、(やたらと低いレベルではあるが)全体のバランスが取れているため、不快な感じはしない。駄菓子には駄菓子の良さがあるものだ。

 キャラクターが熟成されているのと、テレビドラマ的大げさ感のおかげで退屈もしない。シリーズのファンのみならず、同行する一見さんにとっても、いい時間つぶしにはなるだろう。

前田有一

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