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シャッター - 前田有一

奥菜恵が恐怖映画でハリウッドデビュー(75点)

© 2008 Twentieth Century Fox

 "日本製ハリウッド映画"といわれる本作は、美少女幽霊がうらめしやをするホラー作品。女優として低迷していた奥菜恵がはまり役の幽霊を演じ、華々しいハリウッドデビューを果たした。

 新婚旅行で日本に来たカメラマン夫婦は、ドライブ中の箱根の山道で若い女性(奥菜恵)をはねてしまう。だが死体は見つからず、代わりにその日から彼らは心霊現象に悩まされる。

 タイ映画「心霊写真」(04年)のリメイクということで、このかわいい幽霊は主人公の撮影した写真にことごとくおいたをする。被写体の背後に景気よくエクトプリズムなんかを出現させる。月刊ムーの常連投稿者でもない限り、そんなものを喜ぶヤツがいるわけもなく……というより仕事上しゃれにならない打撃をうけた主人公氏は、必死にその原因を探るが──という展開。

 「THE JUON/呪怨」(04年)など、ホラーを中心に米国市場に話題を振りまく一瀬隆重(いちせたかしげ)プロデューサーが仕掛けたこの企画は、「感染」(04)の落合正幸監督がメガホンをとることに。

 映画が始まると、素人がホワイトバランスの調整を間違えたような不気味な色合いの風景が写され、いかにも怨霊系ジャパニーズホラーといった雰囲気が広がる。

 日本を舞台にしているが、音声対話式のエレベーターや霊柩車など、アチラの人がおやっと思うような風景を意識して画面に入れ込むバタくさい作り。そのあたりが、"日本製だがハリウッド向けの映画"であることを観客に意識させ、なかなかおもしろい。想定するメイン客層が米国人、という点を念頭に置いてみるとよいだろう。

 奥菜恵は、最近の引退騒動を吹き飛ばすかのごとき気合いの入った役作り。それに応えるように、決して主演ではないのに、日本版のメインイメージでは彼女の写真がど真ん中。その上に「忘れたとはいわせない」などと、情け容赦ないコピーをかぶせる日本の宣伝会社の心憎い気配りにも注目だ。

 実際にご本人を近くにするとよくわかるのだが、あの不思議な色をした大きな目でみられると、正直なところちょっと怖い。小柄なぶん、上目遣いになるので余計に射貫かれるような印象を受ける。29歳ながら、欧米人には年齢を当てるのがきわめて難しい、神秘的な、あるいは人間離れしたムードを感じるのではないかと思う。人智を越えた存在の役は、そうした意味でも彼女にぴったりであった。

 ジャパニーズホラーらしいガチンコな怖さがあり、だからこそ笑いも出てしまう。そんな相反する感情を味わう楽しみ。『シャッター』は、奥菜に次作オファーが舞い込んだのもよくわかる、なかなかよくできた一品である。

前田有一

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