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クローバーフィールド/HAKAISHA - 前田有一

NYの未曾有の大災害を記録した奇跡のホームビデオ映像(60点)

 徹底した秘密主義で公開まで突っ走ってきた『クローバーフィールド HAKAISHA』。もしあなたがこの映画を映画館で楽しみたいなら、少しでもネタバレを食らう前に見に行く必要がある。

 もともとこれ、アメリカでは今年2008年の1月に公開されたもの。超話題作『トランスフォーマー』上映前の匿名予告編を皮切りに、インターネットやマスメディアで大いに煽り、社会現象的イベントとして仕掛けられたものだ。

 映画は、米国防総省がニューヨークのセントラルパークで回収したビデオカメラに入っていた映像を再生するところから始まる。この映像は、ある青年の送別会を収めたホームビデオ。どうやら重ね撮りしたようで、パーティー映像の下には何やら若い男女のラブラブなビデオが録画されている様子。だがしかし、じつはこのテープの後半には、誰もが目を覆うような大カタストロフィーが偶然記録されていたのだ……。

 映画の本編=「回収されたホームビデオ映像」ということで、この大事件の説明や解説が途中で入る親切さは無い。ビデオの中に出てくる若者同様、観客もわけわからず巻き込まれていく擬似体験ムービーだ。

 小さなビデオカメラを手持ちで、しかもパニックに陥った素人が撮影しているので、手ぶれがかなりひどい。事前にそのような噂を聞いていたので、私は満を持して亀有駅前にある巨大映画館の最後尾に座し挑んだ。その準備は大正解だったが、前列にいる人にも途中退場者はおらず、思ったより「酔う」事はないようだ。とくに日本人は、画面の中で唯一ブレない字幕を読んでいる時間が長い分、有利といえよう。

 というかこのカメラマン氏、ビデオの操作も知らない生まれて初めての撮影にしては、その腕前たるやプロ級である。未曾有の大被害にあいながらも決してカメラを捨てて逃げようとせず、目前まで危険が迫っているのに映し続ける。イラクの戦場カメラマンだって、こんな信念と勇気は持ち合わせていないだろう。間違いなくピューリッツァー賞ものだ。

 しかも、重要なシーンになるとなぜか手ブレがなくなり、バッチリ被写体を映してくれる。どうやら本番に強い豪胆なタイプでもあるらしい。逆に言うと、ブレてるシーンは無意味なつなぎみたいなモノなので、酔いやすい人は安心してその間視線をはずしていればよろしい。親切この上ない撮影だ。

 しかし悲しいかな、わずか数ヶ月とはいえ諸外国での公開が先行したため、私の必死の努力も報われず、大勢の人がすでにネタバレを食らっていることだろう。これが○○による大災害を描いた映画だと、○○の部分を知っている方にとっては、本作はほとんど何の新味も意外性も感じさせない、平凡な出来である。素人映像に最新鋭のVFXという組み合わせは新鮮だが、それだけのことだ。

 そんなわけで、○○の意味がわからぬ人のみ、なるべく後部に位置する座席を予約した上で楽しんでいただこう。

前田有一

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