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シャーロック・ホームズ - 前田有一

◆最後は暴力にものをいわせる豪快なホームズ映画(55点)

 原作者アーサー・コナン・ドイルが19世紀に作り出した名探偵シャーロック・ホームズは、実写映画からテレビドラマ、はては犬アニメまで、何度も映像化されてきた。ミステリファンならずともその知名度は絶大で、彼が住んでいるベーカー街221B宛てに手紙を出せば、今でもちゃんと届くなどと言われている。本作はその、ドイルの原作に忠実な最新の実写映画化である。

 19世紀末のロンドン。儀式めいた手口で女性が殺される難事件を探偵のホームズ(ロバート・ダウニー・Jr)は、持ち前の直観力と行動力で一気に解決に導く。しかし黒幕のブラックウッド卿(マーク・ストロング)が残したなぞめいた言葉とさらなる大事件が、のちに彼と助手のワトソン(ジュード・ロウ)を悩ますことに。

 たしかに原作のホームズはヤク中の元ボクサーであるが、それをロバート・ダウニー・Jrに演じさせて「原作に忠実」とは、さすがガイ・リッチー監督は冗談のわかる男である。

 じっさい序盤の激しいアクションシークエンスは、超人的な洞察力と強い肉体を兼ね備えた文武両道の変わり者探偵シャーロック・ホームズを、ある意味よく表した優れたものになっている。映像も現代的で新鮮味があり、これはこれでアリだろうと多くの人が思うはず。犬のアニメが許されるのだから、こういうホームズがあってもいい。

 ただ注意すべきは、この映画はどう見てもミステリではないということ。

 謎ときだのトリックだのは二の次なので期待は無用。イカれた天才ホームズと、案外強気な新ワトソンのかけあいを楽しむバディ・アクションと割り切ることが肝要である。

 そのワトソンをイケメンの代名詞的存在ジュード・ロウが演じているのも面白い。このイギリス役者はなかなか面白い男で、今回は雪がふりそうなくらい寒い日に来日したのだが、上着も着ないでやってきて、ダウン姿の日本側スタッフを仰天させたという。そのくせ本人は「キミたち何驚いてるの、ボクがきた街がどこだが考えてみてよ」とけろりとしていたというから人は見かけじゃわからない。

 かつての覇権国家、英国が落ち目になりつつあった時代に、再びその夢をみる悪党というのも思わせぶり。だが、どうせアメリカで公開するならもっとそこに皮肉をこめたらよかった。

 主役の二人の肝心のかけあいがあまり笑いを生み出さないというあたりも少々きつい。続編への意欲は満々だが、そこをどう改善していくかが2作目以降の鍵となるか。

前田有一

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