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ジェシー・ジェームズの暗殺 - 前田有一

ブラッド・ピットをストーキング(55点)

 ジェシー・ウッドソン・ジェイムズといえば、西部開拓時代を古きよき……と表現するようなアメリカ人の間で、一種のヒーローとして扱われる伝説のギャング。南北戦争の生き残りの荒くれ男たちをまとめ上げ、列車強盗や銀行強盗など華やかな犯罪を繰り返した無法者のリーダーだ。本作はその悲劇的な一生を、人気スター、ブラッド・ピット主演で描く伝記映画。

 19世紀のアメリカ。南北戦争で負けた南部の人々は、北軍政府の圧政に苦しんでいた。彼らの間では、大犯罪を繰り返す有名な賞金首、ジェシー(ブラッド・ピット)は英雄であった。兄フランク(サム・シェパード)と次の計画を練っていたジェシーの前に突然現れ、自分を売り込むロバート(ケイシー・アフレック)も、伝説の男にあこがれる一人。渋るフランクに対し、心の広いジェシーは快くロバートを仲間に迎え入れるのだったが……。

 ケイシー・アフレック演じる気弱な若者と、その憧れの人ブラッド・ピット、という二人の関係を中心に構成される。地味で淡々としたドラマであり、決してジェシーの英雄的活躍を描く痛快な西部犯罪ムービー、というわけではない。ちょっとしたアクションもあるが、あくまで見所は英雄的ガンマンの大らかで奔放な生き方、そして潔い死に様である。

 あるいは、平たくいってしまえば、キモいストーカーとカリスマ犯罪者の話である。

 このケイシー・アフレックの行動のキモさときたらハンパではない。ブラッドピットの枕のにおいはかぐわ、風呂は覗くわ、とてもついていけない。ヘタレのくせに服装や言葉遣いだけ真似て、ジェシー気取りになる様子など、俗に言う中二病そのもの。とても痛い。

 そんな話を、B級サイコサスペンスでなく、大真面目な大作伝記映画として成立させてしまうあたり、さすがはハリウッド。抑えた色彩や雄大なカメラワークは、風格さえ感じさせる。

 ストーキングの対象となるブラッド・ピットの存在も大きい。漂うカリスマ感には、マヌケになりかねない筋書きを重厚なそれへと押し上げるだけの力があった。

 ジェシー・ジェームズを元々知らない人には、まったく無用の映画であることに違いはないが、それでも彼が主演したおかげで、作品としての納まりがついたのは事実であろう。

前田有一

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