◆トム・ハンクスが再びロバート・ラングドンに扮する『ダ・ヴィンチ・コード』の続編 (50点)
わたしは映画『天使と悪魔』の原作本を読んでいない。そのダン・ブラウンによって書かれた原作との比較は出来ないが、どうやらその必要も特にはなさそうだ。なぜなら原作は『ダ・ヴィンチ・コード』の前編にあたるが、本作は続編として制作されており、『天使と悪魔』の原作は『ダ・ヴィンチ?』よりも人気的には劣っていたため、映画はよりオリジナルな要素を含んだ映画に仕上がっているからだ。
物語はローマ法王が亡くなった日のヴァチカン市国から始まる。そこへハーバード大学で教授を務めるロバート・ラングドンがスイス警護隊に連れられてヴァチカンを訪れる。というのもヴァチカンは有力な次期法王候補の4人がイルミナティに誘拐され、セルン(CERN)から盗んだ反物質で国を破壊するという脅迫を受けていたのだ。そしてその犯人は20時を境に 1時間ごとに拉致した4人を1人ずつ殺害するという。ヴァチカンに助けを求められた宗教象徴学者ラングドンは果たして誘拐された被害者そしてヴァチカン市国を救う事が出来るのだろうか。
映画『ダ・ヴィンチ・コード』は全世界で700万ドルを超えるヒットとなった。そこで監督として再びロン・ハワードが『天使と悪魔』を手掛けた。彼は『フロスト×ニクソン』で今年のアカデミー監督賞にノミネートされており、本作の話題性や期待が膨らむ。また、今回もトム・ハンクスがロバート・ラングドンに扮しており、ロン・ハワードとは4度目のタッグを組む。前回ラングドンは危険な目に遭いながらも、キリストの子孫に関する秘密を解き明かしたため、本作では前作よりも少々自信のある役となっている。
ラングドンは今回『ミュンヘン』『バンテージ・ポイント』のイスラエル出身の国際派女優アイェレット・ゾラー扮するセルンのイタリア人科学者ビットリア・ベトラと共に謎解きをする。ビットリアはラングドンの頼もしいパートナー的役割を果たし、様々な局面で彼を助ける。それから『トレインスポッティング』『スターウォーズ』プリクウェルのユアン・マクレガーがアイルランド出身のカメルレンゴ(法王の補佐役)に扮しており、落ち着いたトーンで話すキャラクターの中に何かが潜んでいると感じさせられるだろう。また、その他には『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズのステラン・スカルスガルドがスイス衛兵隊隊長マクシミリアン・コーラーに、『イースタン・プロミス』のアーミン・ミューラー=スタールが枢機卿(モルターティ)ストラウスに扮しミステリアスな雰囲気を盛り上げる。
本作で度々登場するイルミナティとは一体何か?それは教会に迫害されてきた科学者や芸術家等によって作られた「ピラミッドに目」のシンボルを持つ結社で、現在では世界に影響を与える権力を持つとされている。1668年頃から彼らと教会との衝突は始まり、教会に恨みを持つイルミナティが何百年もの後の現在ヴァチカンに復讐しようとしているのかもしれないというのが『天使と悪魔』だ。
『ダ・ヴィンチ・コード』の反省も含め、今回最も改善された点はまるで息つく暇もないというジェットコースタームービーの様に次から次にいろんな事が起こる事だろう。前作ではダルダルな展開が不評だったが、今回ラングドンはだいたい何かをしながら喋っており、時間のなさを強調した演出がされ、より緊張感が生まれている。またコミカルさが前作よりフィーチャーされており、『ダ・ヴィンチ・コード』よりもどこかバランスのとれた映画という印象を受けるはずだ。
ロケは実際のヴァチカン市国ではなく、ローマやセットで行われ、CGを駆使して撮影が行われた。撮影許可の降りるはずのないサン・ピエトロ大聖堂はセットを建て、ヴァチカン宮殿内部はできるだけ写真を撮り後はデジタル処理されている。またヴァチカン宮殿の外に人々が集まり新しい法王の決定を待つ中、反物質が爆発してしまうのではないかというクライマックスシーンではこの映画で最も美しく、神聖なシーンを作り出している。
この映画で描かれるのは伝統を重んじる宗教(信仰)と、古きものに脅かされる現代性また科学技術の対決。だが、最終的には科学と宗教は共存すべきであると言う結論を説く。物語の中にカメルレンゴがラングドンに「あなたは神を信じますか?」としつこく問いただすシーンがある。たとえ神を信じていても、科学はこれからより進歩を遂げる。わたしたちは信じる事ではなく、科学技術によって守られるようになり、宗教と科学の差はどんどん広がっていくだろう。歴史的事実を含んだラングドンの冒険映画の最中にそんな事を考えてしまった。


























