◆ガエル・ガルシア・ベルナルとディエゴ・ルナが7年ぶりに映画再共演!(45点)
『天国の口、終わりの楽園。』と言えば、アルフォンソ・キュアロンの名を一躍世界的に知らしめた作品だ。そしてその映画に主演したのが今ではトップクラスのスターとなり、日本でも人気の高いメキシコ出身のガエル・ガルシア・ベルナルとディエゴ・ルナだ。この2人がなんと『天国の口、終わりの楽園。』以来、実に7年ぶりに再共演を果たした。それが『ルドandクルシ』というメキシコに住む2人の兄弟の物語だ。
タト(ガエル・ガルシア・ベルナル)とベト(ディエゴ・ルナ)はメキシコの田舎に家族と貧しく暮らし、バナナ園で働きながら仲間とサッカーを楽しむ兄弟。だがある日、そこを訪れたサッカーのスカウトマン(ギレルモ・フランチェラ)にタトだけがメキシコシティに連れて行かれる。ベトは大舞台で活躍するタトに嫉妬するが、タトの計らいでベトもシティに呼ばれ、違うチームでプレーできる事に。それからこの兄弟はどちらがよりうまくプレーできるかを競い合う様になる。
本作の監督を務めるのはアルフォンソ・キュアロンの弟のカルロス・キュアロン。彼にとって、本作は初監督作品となるが、『天国の口、終わりの楽園。』では彼は脚本を手掛けており、ベルナルとルナからの信頼は厚い。また、本作はアルフォンソが立ち上げた映画制作会社「チャ・チャ・チャ」からの初作品で、アルフォンソ・キュアロンの他『バベル』のアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥと『パンズ・ラビリンス』のギレルモ・デル・トロがプロデューサーを務めるという話題性も十分だ。
カルロス・キュアロンは元々本作をあるダイヤモンドの原石のサッカー選手のモキュメンタリー映画として撮るつもりだった。脚本にももちろん主人公は1人で、まずガエル・ガルシア・ベルナルとディエゴ・ルナには別々に話をした。すると両者共に興味を示したので、兄弟の話に書き換え、ベルナルとルナの共演が再び実現したのだ。そんな遊び心ある企画がこの映画なのだ。
ベトは妻と2人の子供がおり、サッカーではゴールキーパーを務め「ルド(タフという意味)」と呼ばれている。一方、タトは独身でテレビの美人パーソナリティであるマヤ・ヴェガとの恋を夢見ており、サッカーではフォワードを務め「クルシ(うぬぼれ屋の意味)」の愛称で呼ばれている。彼らは仲の良い兄弟だが、サッカーだけではなく、それ以外でも常に競い合っている姿が描かれるのが本作の見所であり、この兄弟は母親をどれだけ愛しているかさえも競い合うのだ。
また、本作は田舎から都会へ出てきて、都会の荒波に揉まれる兄弟の冒険映画という位置付けも出来るかもしれない。もともとこの兄弟はサッカー命というわけではなかった。サッカーは生活の一部であり、彼らには他にもやりたい事があった。特にタトはもしサッカー選手として成功すれば、歌手になる夢が実現するかもしれないと思い込む。その甲斐あって後に彼は"Quiero Que Me Quieras"という曲のミュージックビデオを作るがどんどんサッカーに集中できなくなっていく。またベトもサッカー選手として成功するに連れ、大好きなギャンブルにおいてだんだん自制が利かなくなってしまう。この映画はまるであまりゲームに熱心になると「兵どもが夢の跡」という結果を招いてしまうと言っているようだ。
カルロス・キュアロンは本作は『天国の口、終わりの楽園。』とは全く別の作品と言っているが、本作にはナレーションが付き、生き生きとした映像のトーンも『天国の口、終わりの楽園。』を彷彿とさせる。ただエロティックな雰囲気は微塵もなく、多少ダーク面もあるがコミカルさを全面に押し出している作品だ。よって今回、ガエル・ガルシア・ベルナルとディエゴ・ルナが7年前に演じたキャラクターのパラレルストーリーとしての見方は出来るかもしれない。






























