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米映画批評

ノウイング

◆賢く、そして不気味なSF映画好き熱狂のニコラス・ケイジ主演最新作。(75点)

ノウイング

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 この映画は予想外だった。SF映画『ノウイング(原題:KNOWING)』はニコラス・ケイジを主演に迎え地球存続の危機を描く。何故予想外なのかというと、近年のニコラス・ケイジ主演映画は正直どれもイマイチ。わたしは彼の出演作品に期待すら抱かなくなっていたのだが、本作は違った。『ダークシティ』『アイ、ロボット』のアレックス・プロイヤスが監督を務めるこの物語は始めから最後まで観客を引き込む演出がなされ、賢くそして怖い、特にSF映画好きを興奮させる映画となっているのだ。

 まず、物語は1959年から始まる。マサチューセッツ州レキシントンにある小学校の開校を記念する式典で、生徒たちは「未来予想」をした絵をタイムカプセルに入れて埋めるのだが、ある女生徒ルシンダ(ララ・ロビンソン)が絵ではなく、数字を紙両面一杯に書き並べたものをカプセルに入れた。このオープニングは不気味で『シックス・センス』や同様のミステリー映画の要素を含んでおり、わたしたちの興味を引きつける。一体その数字は何を意味するのか。

 それから50年後、ニコラス・ケイジ扮するMIT天体物理学教授の主人公ジョン・ケストラーは息子ケイレブ(チャンドラー・カンタべリー)の通う小学校の50周年祭を訪れる。現在の生徒達にはそれぞれ一枚ずつ50年前の生徒達が書いたの絵を配られるのだが、運命とは不思議なもので、ケイレブはルシンダの書いた紙を手にしてしまう。家でジョンはその数字に興味を抱き、それが未来の悲惨な災害や事故がいつ、何人の人間が死ぬかを予言したものであると悟る。そのうちの1つはジョンの妻が死んだホテル火災も予言していた。

 それからジョンは予言書を書いたルシンダの家族とのコンタクトを試み、ローズ・バインズ扮するルシンダの娘ダイアナとその娘アビーに会う。ダイアナは始めジョンの言葉に耳を貸さないが、ルシンダが予言したとされるある事故が現実のものとなり、主人公に協力し始める。本作で主人公は人々を予言された事故から守ろうと努力をするものの、ヒーローになろうとしているのではなく、基本的には家族を守ろうとし、ダイアナも自分の全てである娘を危機から救おうとする。父の愛、母の愛を軸に描く事で、人々が物語に共感する揺るぎない要素を作り上げている。

 CGもこの映画に関しては評価できる点だ。『トランスフォーマー』等の超大作映画ではないが、グラフィックの完成度は非常に高く、映像だけでも魅せられてしまう。わたしが特に印象に残っているのは飛行機墜落のシーン。墜落してもなお飛行機が爆発したり、火あぶりになる人がいたり、残酷な映像が続くが『トゥモロー・ワールド』の様な生っぽいその映像が、これから凄い事が起るのではないかという期待を膨らます。CGももちろんだが、映像がリアルに見えるのはこの作品がデジタル撮影されたからで、この試みはプロヤス監督初となる。また最後のアレの登場も神秘的で、本作はまさに演出の光る作品と言えるだろう。

 アメリカはキリスト教国家で、多くの映画に宗教的影響が出ているのだが、本作もその1つで、神や天使、生命の樹やアダムとイヴ等の表現が登場する。キリスト原理主義者等には嫌われてしまうかもしれないが、うまく宗教と科学や神秘を結びつけた作品だ。この物語はミステリーの様にはじまり、それから『アルマゲドン』『未知との遭遇』的展開をしてゆく、また家族愛も描くため、実に異なる多くの要素を含んでいる。それらを2時間の中で描くのは難しいはずだが、ランダムに始まる全ての事柄が最後にはうまくまとまっている点が本作の魅力と言えるだろう。

 アジア人やインド人等の多い、MITのキャンパス内を白人ばかり歩かせたり、地下鉄のシーンで、電車があまりにも早すぎたり詳細を追求すると野暮な点もあるので、『ノウイング』は論理的な人や文芸映画が好きな人には好きになれない作品かもしれない。しかしながら、本作は間違いなくSF映画ファンやオタク達を虜にしてしまう映画であり、今後SFカルト映画的ポジションに就く可能性を秘めている。

 世界が終わりを迎えようとしている時、わたしたちは可能性を信じ必死に私たちより強大な何かから逃れようとするか、愛する者を救おうとするだろうか、覚悟を決めて残りの命を愛する人達と噛み締めるだろうか。わたしたちの反応はともかく、物語の中でのニコラス・ケイジのリアクションがオーバーで不自然なのが滑稽だ。それもこの映画の楽しみの1つになっているから不思議だ。

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