スティーヴン・スピルバーグはシャイア・ラブーフにベタ惚れ。『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』でも重要な役にこの俳優を起用していたが、スプルバーグが製作総指揮を務めるこの秋の新作映画『イーグル・アイ(原題:EAGLE EYE)』でもラブーフを主役に抜擢している。本作では昨年夏にスマッシュヒットを飛ばした『ディスタービア』の監督D・J・カルーソが再びシャイア・ラブーフをタッグを組む。
コピー店勤務のジェリー・ショーは兄の葬式からシカゴの自宅に帰る途中ATMに立寄るが、何故か突然75万ドルが振り込まれていることに気付く。また自宅着くと、部屋には軍事機材が所狭しと置かれており、その時ある女性から「30秒以内に逃げなければFBIが来る」という電話を受ける。何が何だか分からないジェリーは結局FBIに逮捕されてしまう。その頃、シングルマザーのレイチェル・ホロマンは1人息子サムをコンサートに向けて送り出し、友人と自由な時間を満喫していた。そんな彼女にも謎の女性から脅しの電話が。ジェリーとレイチェルのごく普通の生活はこの謎の女性に翻弄される。
この脚本にはなんと4人が関わっているのだが、国の犯したある過ちから発展するこの安易な物語に本当に大人の脳がそんなに必要だったのか疑問が湧く。この物語は途中まではジェリーとミシェル・モナハン扮するレイチェルの生活が電話の女(機械的な声)に脅かされ、中盤からは彼らにはある任務が課せられている事が発覚する。電話の女性の正体も、ジェリーとレイチェルの任務も浅はかで、実際これくらいの脚本は半分大人の中学生2人くらいで書けてしまえるはずだ。またやたらと「テロリスト」という言葉が使用されており、それが脚本の粗忽さを強調している。
本作ではアクションが盛りだくさんで、特に車がぶっ飛びまくるシカゴでのカーチェイスシーンは迫力がある。しかし、それも貧相な脚本の基にはあまり意味が無い。この物語は「責任」と「国家の防衛」というこの2つがキーワードで、携帯電話や防犯カメラ等を駆使し、この世の中で起こり得る危険を描いているのだが、我々が冷やっと感じる身近な出来事が描かれていないため、スクリーン上で起こる事が説得力に欠け、興味を損なわせる。『イーグル・アイ』は、ただ髭面のシャイア・ラブーフがヒーローになる超一級の退屈なノンストップアクション映画である。
(岡本太陽)
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