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米映画批評

インクレディブル・ハルク

◆エドワード・ノートンがハルクに!迫力満点のアクションシーンに注目! (70点)

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 記憶に新しい2003年公開の『ハルク』。これは『ブロークバック・マウンテン』のアン・リーが監督したアメリカン・コミックの実写映画で、コミックファンを満足させる事が出来ず、そこそこのヒットはしたが大ヒットとはいかなかった。監督がアン・リーだったため、アクション映画のはずが、主人公ブルース・バナーの心の闇を描いたドラマになってしまったのが原因だったのだろう。わたし個人としては悪くはないと思ったのだが、アン・リーの『ハルク』は評価されない事が多い。

 そして5年の時が経ったこの夏、また緑のデカブツがチーム編成をし直し『インクレディブル・ハルク(原題:THE INCREDIBLE HULK)』としてスクリーンに登場した。今回の作品は前作からの続きではなく、全く新しいストーリーをもって制作され、主人公ブルース・バナーをエドワード・ノートンが演じている。

 科学者のブルース・バナーは5年前に放射能の実験で自らがその放射能を浴び、強大な力を備えたハルクへと変身してしまい、恋人ベティに大怪我を追わせてしまった出来事から逃れる様に、現在はブラジルの清涼飲料水工場でひっそりと働いている。そんなときに、ブルースの血がアメリカ用に製造されている清涼飲料水のボトルに付着してしまう。早速ベティの父ロス将軍率いるアメリカ軍に発見されてしまうブルースだが、彼はハルクへと変身してしまい、軍に捕らえられるのは免れる。グアテマラで意識を取り戻すブルースは、2度とハルクへと変身しない治療法を探すため、以前からコンタクトを取っていたミスター・ブルーと会うため1人ニューヨークを目指す…。

 『インクレディブル・ハルク』の監督を務めるのはアン・リーとは全く分野の違うルイ・レテリエ。ジェイソン・ステイサム主演の『トランスポーター』シリーズで有名な監督だ。脚本は『X-MEN 2』や『X-MEN:ファイナルデシジョン』のザック・ペンが手掛けている。この2人が監督脚本を手掛けているため、今作はアクション色が非常に濃く、 2003年の『ハルク』とは全く異なる作品になっている。また、ザック・ペンは原作やテレビシリーズに忠実に脚本を書いたのだが、最終的には出演を決めた後エドワード・ノートン自身がその脚本を書き直したという。

 ノートン以外の出演者は、まずブルース・バナーの恋人ベティをリヴ・タイラーが、彼女の父でロス将軍をウィリアム・ハートが演じる。また、イギリスから来たスーパーソルジャー、エミル・ブロンスキーをティム・ロスが演じる。エミル・ブロンスキーは自ら放射能を投与し、ハルクの様に巨大化してしまい、ハルクと最後決戦する事になるのだが、彼のキャラクターは完全なる悪ではない点が面白い。彼はもっと強くなりたいという好奇心が強く、またハルクを負かしてやりたいという負けん気から変身を望むというストーリーの中では実は一番興味深いキャラクターなのだ。

 『インクレディブル・ハルク』の中で、やはり注目すべきはアクションシーンだろう。前半のブラジルでの戦い、中盤でのヴァージニア大学内でのアメリカ軍との戦い、そしてニューヨーク、ハーレムでのブロンスキーとの戦いと、大きな戦いが3つある。どの戦いも迫力満点でアクション映画ファンは喜ぶ事間違い無しだ。わたしは中盤の大学内での戦いが一番気に入っていて、ハルクが盾を2つ使い暴れまくる姿には興奮した。

 『インクレディブル・ハルク』でのハルクの姿が明らかになったとき、わたしはその見た目が好きにはなれなかった。前作の『ハルク』もそうだが、どうもリアリティに欠けるからだ。ハルクの見た目はアニメっぽさは抜けきれないものの、今回ストーリーの中では皆が一番疑問に思っている点を解き明かしている。それはどうして巨大化した際に履いていたズボンが破れないのかという事だ。理由はこうだ。ブルース・バナーは常に大きめのズボンを着用してハルクへの変身に備えている。それゆえにハルクへ変身した際にもズボンは破れず、股間を晒す事がなく、またハルクから元に戻った再にも完全に破れてなくならなかったズボンを履いており、全裸で目覚めることはないのだ。100%納得は出来ないものの、その説明は必要不可欠だ。

 今年は『アイアンマン』『インディ・ジョーンズ』と公開され、来月には新しい『ヘルボーイ』と『バットマン』が公開される。そんな中『インクレディブル・ハルク』は公開されたわけだが、上に並ぶ超大作映画に比べると、どうもインパクトに欠ける。それは正義を貫く『スパイダーマン』や『バットマン』等の方が印象的で、映画の中でハルクは完全に正義の為に戦っているわけではないからだろう。ただ今回の『インクレディブル・ハルク』はアクションに力を入れているので、夏にはぴったりの勢いある楽しめる映画に仕上がっている。

 今年の夏の当たり映画はやはり『アイアンマン』だが、ロバート・ダウニー・Jr.演じるアイアンマンことトニー・スタークが『インクレディブル・ハルク』のラストにも登場しているところが興味深い。どうやらスタークはハルクらと手を組みチームを結成するようだ。現在分かっている情報では、アイアンマンとハルクの他には、マシュー・ヴォーンが監督する2010公開予定の『マイティ・ソー』と2011年公開予定の『キャプテン・アメリカ』がそのチームに加わる予定とのこと。他にもアメコミのキャラクター達が出て来るそうなので、向こう数年が非常に楽しみだ。

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