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米映画批評

カンフー・パンダ

◆パンダがカンフーマスターに!?ドリームワークスが豪華出演陣で贈るアニメ作品 (80点)

KUNG FU PANDA TM & © 2008 by DreamWorks Animation LLC. All Rights Reserved.

 昨年のドリームワークス制作のアニメーション映画でヒットしたものといえば、『ビー・ムービー』。ハチたちの生きる世界を人間世界と照らし合わせて描いたこの作品は大人も楽しめる上質な映画であった。ドリームワークスのアニメーション作品はディズニーに比べ大人がより楽しめる事で定評があるのだが、この夏『ビー・ムービー』に勝る上質な映画が誕生した。それは『カンフー・パンダ(原題:KUNG FU PANDA)』と言い、今年のカンヌ国際映画祭でプレミア上映された作品だ。

 平和の谷に住む、デブで口だけが達者のパンダのポーはガチョウの父親が経営する麺食堂で働いている。彼の夢はカンフーマスターになること。しかし、彼の父親はポーに食堂を継いで欲しいと願っており、やさしさからポーは父にカンフーマスターになる夢を打ち明けられずにいた。その頃平和の谷のカンフー道場ではカメのウーグウェイ導師がユキヒョウのカンフーマスター・タイランが刑務所から脱獄し平和の谷が危機に瀕するという予知をしたため、急遽タイランに対抗するための龍の戦士を決定する選抜が宮廷競技場で開かれる事になる。仕事そっちのけで誰が龍の戦士になるのか直に観たいポーはあの手この手を使い閉ざされた競技場に侵入しようと試みる。近くでたくさんの花火を見つけたポーは椅子にそれらを装着し、花火の勢いで競技場の中へ入ろうとするが、予想以上に花火の威力が大きく、空高く舞い上がるポーはなんと競技場の真ん中に落ちてしまう。平和の谷の住人はシーフー老師に訓練を受けたトラ、ツル、ヘビ、カマキリ、そしてサルのマスター・ファイブの中から龍の戦士が選ばれるのかと思っていたが、ウーグウェイ導師が選んだのは驚く事に競技場に飛来して来たポーだった…。

 ドリームワークスは今年は『マダガスカル 2』の公開が待機しているが、おそらくドリームワークスの今年の大本命はこの『カンフー・パンダ』。この映画にはハリウッドの超大作映画並みのキャストが集い、制作費約130万ドルが投資された。主人公のパンダのポーの声を担当するのは、今ノリに乗っているジャック・ブラック。ムクムクのパンダがぽっちゃり体型のブラック氏と素晴らしいコラボレーションを生み出している。ポーの口が達者なのもブラック氏とどうしてもシンクロしてしまう。口だけが達者で素早い動きも苦手で、カンフーなんてもっての他のポーだが、表情や愛嬌のある性格から誰しもがポーに対して愛情を抱いてしまうだろう。

 その他の声の出演者は、まずシーフー老師にダスティン・ホフマンが扮する。制作者は『スター・ウォーズ』にオーマージュを捧げているのだろうか、このシーフー老師はどうしてもヨーダに見えてしまう。また、マスター・ファイブのマスター・トラにはアンジェリーナ・ジョリー、マスター・ツルにはデヴィッド・クロス、マスター・ヘビにはルーシー・リュー、マスター・カマキリにはセス・ローゲン、そしてマスター・サルにはジャッキー・チェンというハリウッドの超大作映画顔負けのキャストが揃った。登場人物達それぞれが独特なキャラクターで、興味深い過去を背負っている者もいるのが面白い点だ。

 キャストが豪華さが目立つこの作品だが、映像面にもかなり力を入れている。予告編を見る限りではあまり伝わらないが、映像が美しいのだ。特に桃の花びらが舞い上がるシーンは恍惚としてしまう。日本映画によくある桜の花びらが舞い上がる儚い夢の様なひと時の美しさを欧米のアニメの技術で持ってうまく表現していた。また、ポーの夢がオープニングなのだが、それも非常に印象的だ。なぜなら、木版画の様な映像のオープニングだからだ。『カンフー・パンダ』は他のアニメーション映画に比べ始まりから何倍も強い印象を与える。

 そしてジョナサン・エイベル、グレン・バーガーによる脚本は最近ではジャッキー・チェンとジェット・リーが初共演した『ドラゴン・キングダム』の様に、おちこぼれがヒーローになるというコテコテのストーリーラインをうまくあしらっている。このストレートでかつスピーディー、また可笑しいだけではなく意外にもホロリとさせられてしまう展開はどの世代にも受けるはずだ。

 自分に嘘をつかず、自分自身になるのが一番大事というメッセージを含んだこの『カンフー・パンダ』は、古代中国のカンフー列伝を現代風にアレンジし、リアリティ溢れる夢と希望のあるストーリーになっている。例えば、どうしてパンダの親がガチョウなのか等、未だに謎の部分もいくつかあるこの映画は、現在アメリカで大ヒット中で、『マダガスカル2』の様に第2作目が作られることは間違いないだろう。

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