◆アメリカで実際に起きた事件を基にした背筋を凍り付かせるホラー映画 (70点)
経済大国であると同時に犯罪大国のアメリカ。年間140万もの暴力を含む犯罪が行われているこの国では、映画にもその影響が出ている。例えば、日本のホラー映画ならば幽霊ものが主流。しかし、『悪魔のいけにえ』等アメリカのものは人が起こす犯罪を基にしたものも少なくない。この夏新たに人が起こす犯罪を基にした怖?い映画が公開になった。『ストレンジャーズ/戦慄の訪問者』というその映画にはリヴ・タイラーそしてスコット・スピードマンが出演している。
ある2005年の夏の晩、クリステンとジェームズは友人の結婚式から車でジェームズの父が所有する別荘に向かっていた。気まずい雰囲気の2人にはどうやら何か問題がある様だ。別荘に着くと、テーブルは綺麗にセットアップされ、いたるところにバラの花びらが散りばめられていた。ジェームズはクリスティンにプロポーズするつもりだったのだ。何らかの理由でそれがプロポーズがうまくいかなかったようだが、午前4時に2人の元に突然ある訪問者が訪れる。玄関の明かりが点かず、その訪問者が誰なのか暗くて分からないが、それは女性で、「タマラはいますか?」と、彼女は友人を捜しているようだ。一時家に戻るジェームズだが、クリスティンは別荘で彼の帰りを待つ事にする。すると、また玄関を叩く音が。さっきと同じ訪問者だ。「タマラはいますか?」とまた同じ事を質問し、ドアをもの凄い力で叩いている。恐怖を覚えるクリスティン。この後、クリスティンとジェームズは何ものかによって恐怖のどん底に突き落とされてしまうのだった…。
監督を務めるのはブライアン・ベルチノという新人映画監督。彼が2004年のある賞のために書き上げた脚本をユニヴァーサル・ピクチャーズが買い取り、監督も任せた。この脚本は監督の子供時代の体験が加えられている。ある日見ず知らずの人が一緒に住んでいない誰かを訪ねて来たのだが、しばらくして監督はあることに気付いたという。それは近所のいくつかの家が空き巣にあっていたという事実だった。
出演者では近年は主演作もなく、『ロード・オブ・ザ・リング』三部作のアーウェンくらいしか特に印象のないリヴ・タイラーが主人公クリスティン役で出演している。『ロード・オブ・ザ・リング』以降はあまり印象的な役を演じてなかった彼女だが、今年の活躍は目覚ましい。この『ストレンジャーズ/戦慄の訪問者』に主演した上に、『インクレディブル・ハルク』の公開も待機中だ。またジェームズを演じるのは甘いマスクのスコット・スピードマン。テレビシリーズ『フェリシティの青春』のベン役が有名で、映画では『アンダーワールド』シリーズ、『死ぬまでにしたい10のこと』等で印象的な役を演じている。それから注目なのはスーパーモデルのジェマ・ワードが出演している点。どんな役で出演しているかはお楽しみだ。
『ストレンジャーズ/戦慄の訪問者』の物語はジェームズの父の所有する別荘で展開してゆく。ある日突然家という聖域に土足で踏み込まれるというストーリーラインはミヒャエル・ハネケの『ファニー・ゲーム』を連想させるだろう。また、誰がクリスティンとジェームズを襲っているのか全く分からないという恐怖を増幅させている要素はルーマニアで実際に起きた事件を基にした『THEM/ゼム』にそっくりだ。『ストレンジャーズ/戦慄の訪問者』の犯人の手口はこうだ。まず第1に相手の通信手段を奪う(携帯電話等を破壊)、第2に移動手段を奪う(車等の破壊)、そして殺害の犯行に至る。
『ストレンジャーズ/戦慄の訪問者』は監督の体験を始め、チャールズ・マンソン事件からは作品のヒントを、また実際にカリフォルニアのケディと呼ばれる町で実際に起きた残忍な事件からは物語の核にあたる要素を得る等、実際に起きた事件等を基に作られている。アメリカでは『ストレンジャーズ/戦慄の訪問者』の様な事が実際に起こっているからほんとうに恐ろしい。日本等の幽霊ものに比べ、リアルに感じられるのが特に怖い点で、アメリカという国はほんとうに恐ろしい国だなと思わされる。
先日、日本では東京、秋葉原で何人もの人が殺害された通り魔殺人が起きた。殺すのは誰でも良いという心理はコロンバイン高校銃乱射事件やバージニア工科大学銃乱射事件等の兆候に似ている様に感じられる。今回の秋葉原での事件は日本の犯罪の欧米化を伺わせている。日本人にとって『ストレンジャーズ/戦慄の訪問者』や『悪魔のいけにえ』はまだまだ人事かもしれないが、もうそろそろそれらを人事としては観れない日がやって来るはずだ。



























