◆今夏、現代版『ブレックファスト・クラブ』がドキュメンタリーで登場! (70点)
1980年代に青春映画を中心に世に送り出した映画監督と言えばジョン・ヒューズだろう。彼の代表作に『ブレックファスト・クラブ』がある。これは全く違うタイプの高校生5人がそれぞれの抱える理由で学校の図書館に集められ、そこで1日を共にする間に互いに笑ったり怒ったり泣いたりしながら本音をぶつけ合う青春ドラマであった。そして2008年の今年、そのジョン・ヒューズの『ブレックファスト・クラブ』を彷彿とさせる映画が公開を控えている。
その映画は『アメリカン・ティーン』。この作品もタイプの違う5人の高校生を軸に物語が展開する。ただ80年代の『ブレックファスト・クラブ』と決定的に違う点は、『アメリカン・ティーン』はドキュメンタリー映画であるという事だ。監督を務めたのはナネット・バースタインという女性映画監督で、彼女はアメリカで2002年に公開された『くたばれ!ハリウッド(原題:THE KID STAYS IN THE PICTURE)』というロバート・エヴァンスの人生を通して見るハリウッドのビジネス史を描いたドキュメンタリー映画が絶賛された。それゆえに、新作の『アメリカン・ティーン』も注目されるが、この作品は映画は2008年のサンダンス映画祭で脚光を浴び、ドキュメンタリー監督賞を受賞している。
ドキュメンタリー映画『アメリカン・ティーン』の舞台はアメリカはインディアナ州の小さな町。そこに暮らす5人の高校生、自由奔放なハンナ、高校バスケのスター選手コリン、オタクのジェイク、高校で人気者の女王様メーガン、甘いマスクのミッチの高校最後の1年に焦点を当てて映画は制作されている。恋や失恋、進路選択、彼らは様々な事を経験しながら未来を手探りで切り開いて行く。
この『アメリカン・ティーン』に登場する高校は典型的なアメリカの高校。青春映画等でよく出て来る様な学校だ。例えば、人気者の女王様はビッチで、こんな町は早く出たいと思っている風変わりな子は人気者を避ける、そんな感じ。そして夜は仲の良いグループが誰かの家に集まって酒飲んで酔っぱらう、そういう普通のアメリカの田舎の高校生の生活をこの映画では垣間見る事が出来る。
主な登場人物5人の中でも特に焦点を当てられているのはハンナ。彼女は自分のいるインディアナの町が嫌で仕方がない。周りの環境に違和感を感じており、一刻も早く町を出たいと思っている。バスケのスター選手コリンは進路に不安を感じている。食べる事に困る事はないが、彼の家はあまり裕福ではないため、バスケで大学の奨学金が取れなければ、彼には軍隊に入るという選択肢しかないのだ。
ジェイクは背が小さく、ビデオゲームが大好きで、人とのコミュニケーションも得意ではない。彼はこの映画の中で彼女探しに勤しむ。メーガンは悪の首謀者。それが祟って先生に呼び出される事も。しかし彼女は自分ではなかなか処理しきれない難しい問題を抱えている。ミッチはコリンと同じ高校のバスケチームに所属している。甘いマスクの彼はハンナとの恋を経験する事に…。
『アメリカン・ティーン』で描かれる1年、それは実に多くの人が通って来た道。この映画の賢い点は、わたしたちが経験してきた事だからこそ、主な登場人物5人の誰かに必ず自分を見る事が出来、少なからず彼らに共感出来るところにある。恋に悩み、進路に悩む彼らは以前のわたしたち自身なのだ。また、この映画を観ると、自然とわたしたちは自身の高校時代を振り、懐かしく感慨深い思いに浸ってしまうだろう。
ただ、この映画で気になるのはドキュメンタリー映画というよりはMTVのリアリティショーでも観ている気分にさえさせられてしまう点だ。アニメーションも多用されており、ドキュメンタリー映画にしてはかなり洗練されているので、記録映画にしてはあまりにも生の要素が感じられない。監督が「ここで、ああして、こうして」というのを事前にキャストに伝えているのではないかという疑惑が頭の中で浮かんでしまう。これはドキュメンタリーではなく、きっとドラマなのだ。
『アメリカン・ティーン』の中では主人公の様なキャラクターのハンナ。わたしは彼女を実際に見たが、かなりかわいい。監督はこの映画でハンナをスーパースターにしたかったのかな、と思わされた。それもこの映画が「作られた」ドキュメンタリー映画に見えてしまう点だ。この映画が公開されたら彼女は一躍有名になってしまうに違いない。興味深く、楽しく鑑賞出来るこの作品はドキュメンタリー映画ながら爆発的人気が出そうな予感を漂わせているが、サンダンスがどうしてこの映画にドキュメンタリー監督賞を与えたのかかなりの疑問だ。




























