結婚を題材にしたロマンティック・コメディというと、つい先日公開された『近距離恋愛』が思い出されるが、時期を空けずにまた新しい結婚を題材にしたロマンティックコメディが公開に至った。こちらは『べガスの恋に勝つルール(原題:WHAT HAPPENS IN VEGAS)』と言い、主演にアシュトン・カッチャーとキャメロン・ディアスを迎えている。
ニューヨークはウォール街で株式仲買人として働くキャリアウーマンのジョーイは「計画を立てるための計画を立てる」のがクセ。そんな彼女は婚約者の誕生日にサプライズパーティを計画する。しかし婚約者が家に帰って来て、みんなで「サプライズ!」というはずが、多くの人がいる前でフラれてしまう。その頃父親が経営する会社で家具を作っているジャックは、勤務態度が悪いという理由で実の父親にクビにされてしまう。そんな落ち込んだ2人が向かった先は”ラスベガス”。何もかも忘れて派手に遊ぶ場所。ホテルのミスで同室になった事がきっかけでその晩酒を飲みまくって遊ぶ2人だが、次の日目が覚めるとジョーイの左手薬指には結婚指輪が。なんと、彼らは酔っぱらった勢いで結婚していたのだ。結婚をなかったことにするつもりだった彼らだが、ジャックがジョーイの持っていたコインをジャックポットに投入し、それが大当たりし300万ドルを手にする。しかし結婚をなかったことにしたい2人は300万ドルの所有権を譲ろうとしない。そしてニューヨークに戻り、離婚訴訟を起こそうとするが、裁判官に6ヶ月の結婚生活を言い渡される。お金の行方は、そしてこの2人の関係はどうなってゆくのか?
アシュトン・カッチャーとキャメロン・ディアス。2人共にコメディは得意分野で、今回この2人のロマンティックコメディ初共演というのが不思議な程。彼らの共演は最高の組合せと思われたが、『べガスの恋に勝つルール』の脚本や撮影クルーがお粗末だったせいか、最高の組合せも無駄なものになってしまっている。
それと、キャメロン・ディアスの役にも問題があった様に感じられる。なぜなら映画の中でキャメロン・ディアスはウォール街で働くお固いキャリアウーマンを演じているが、大人の女性というよりはただの口やかましい女。彼女を大人の洗練された女性として起用するのは無理なのかもしれない(明るく人懐っこいキャラが似合っている)。アシュトン・カッチャーに関しては特にこれと言って問題はなく、いつもの様にリラックスしたダラしないキャラで、結局のところ2人の役者のバランスが悪かったと思われる。
スコットランド出身のトム・ヴォーンがこの映画の監督を務めるが、ヴォーン氏の前作でジェームズ・マカヴォイ主演の『STARTER FOR 10』は評判は良かっただけに、今作はかなり期待はずれの作品に仕上がっている。はじめにキャメロン・ディアス演じるジョーイは「計画を立てるための計画を立てる」女と観客の注意を引く説明をしておきながら、それをうまく結末に結びつけておらずアイデア出しっぱなしなのが特に困った点だ。
『べガスの恋に勝つルール』では、物語中にアシュトン・カッチャーとキャメロン・ディアス夫婦がお互いにただただいじめ合うだけで、観ている方は茶番劇を観せられた気にさせられる。出演している俳優により、最近公開された『近距離恋愛』よりは『べガス?』の方がより好感は持てるかもしれないが、何よりストーリー的に制作者のつまらない本質が映画に滲み出ているのが最大の汚点。
(岡本太陽)
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