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紀元前1万年 - 岡本太陽

『インデペンデンス・デイ』のローランド・エメリッヒ監督が描く人類史上初のヒーロー!(55点)
紀元前1万年

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 ドイツ生まれの映画監督ローランド・エメリッヒ。彼は、ジャン=クロード・ヴァン・ダム、ドルフ・ラングレンが出演するSFアクション映画『ユニバーサル・ソルジャー』でハリウッド映画デビューし、その後も『スターゲイト』『インデペンデンス・デイ』『GODZILLA』『パトリオット』『デイ・アフター・トゥモロー』と日本でもお馴染みのヒット作を生み出し続けている。その彼が2008年新たな映画を発表した。『紀元前1万年(原題:10,000 BC)』と呼ばれるその映画は、人類史上最初のヒーローを描くスペクタクル超大作だ。

 紀元前1万年、それは我々の直接の先祖である新人が活躍するようになった時代。そこに主人公デレー(スティーヴン・ストレイト)はいた。幼いときにドレーの父は突然失踪し、それ以来、彼の心のよりどころは愛するエバレット(カミーラ・ベル)だけだった。デレーの住む集落ではマンモス狩りをして生活しており、その村の若い男達はマンモスが来るのを今かいまかと待ちわびていた。マンモスを仕留めた者は英雄の印である「白い槍」をもらえるのだ。そしてマンモスの群れがやって来たとき、間一髪のところでデレーは一頭のマンモスを仕留める。そして彼は村の祈祷師に白い槍を譲り受けるが、彼は後ろめたい気持ちで一杯だった。なぜなら勇敢に戦ったからではなく、事故でマンモスを仕留めたからだった…。マンモスを仕留めた事で村は喜びに包まれるが、ある朝、馬に乗った聞いた事のない言葉を話す部族がやって来て、何人もの仲間そしてエバレットを連れて行ってしまう。エバレットの安否を気遣うデレーは仲間のティク・ティク(クリフ・カーティス)とカレン(モー・ジナル)を連れて馬に乗ったその得体の知れない部族の後を追う…。

 まず、この映画『紀元前1万年』はとにかく不合理な事だらけなので、あまり深く考えないで観る事を勧めたい。歴史的事実や理屈などを追求すると、困惑し興ざめしてしまう可能性があるので、とにかく頭を使わずに目の前で起こっている事に身を委ねて楽しむに尽きる。

 例えば、最初の疑問は、1万年前にも関わらず何故主人公たちは英語を喋っているのかという事が挙げられるが、その理由は一つ。アメリカ人は字幕が嫌いなので、『アポカリプト』の様に全編字幕だと超大作でも興行的に失敗するからだ。この時点でまず現実味に欠けるが、現実的であっても悪い映画はたくさんあるので、これは見逃そう。また主人公デレー達は連れ去られた仲間を追って、シベリアの様な寒い地域から、熱帯のジャングル、黒人の住むアフリカの様な地域、そして砂漠と旅をするが、これは一体どこの国の話なのかさっぱり検討がつかないのだ。英語を話す民族が足で歩いて黒人に出会うには相当な時間を要すると思われるが、この映画ではまるで数週間の出来事の様に描かれているのが何とも不可思議。

 また、『紀元前1万年』で問題になっているのは役者の大根っぷり。『ストレンジャー・コール』のカミーラ・ベルといい、『スカイ・ハイ』のスティーヴン・ストレイトといい、彼らの演技がヘタクソなのだ。そういう役者は脱いで補うのが鉄則で、主人公役のスティーヴン・ストレイトはだいたい半裸なのだが、17歳以下でもこの映画を観ることが出来るせいかカミーラ・ベルは常に衣服を身に纏っている。単に南米は暑いというのもあるが、紀元前1万年より随分後の時代を描いている『アポカリプト』では、確か女性の中には胸を出している人もいた様な…。歴史的に考えてもカミーラ・ベルはチラ見せくらいあってもよかったはず。

 納得のいかない点が非常に多いこの映画だが、理屈等を考えなければ、CGピラミッドやCGマンモスそしてCGサーベルタイガー等に胸を躍らせる事が出来るだろう。また、意外な結末と思いきや、やっぱり思った通りの結末になってしまう事を除けば最後のクライマックスの大暴れのシーンは見応えがある。

 この映画を観て思う事は、現代では巨大マンモスに踏みつぶされることもなく、サーベルタイガーに襲われることもない平和な時代にわたしたちは生まれたという事と、もしこの映画の主人公が日本人だったら絶対に照英だろうな、という事くらいだ。

岡本太陽

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