◆ナタリーとスカーレットが姉妹役で初共演の異色作 (45点)
ナタリー・ポートマンとスカーレット・ヨハンソン。彼女達はまだ若手ではあるものの共に10年以上の役者としてのキャリアがあり、それぞれがハリウッドを代表する女優の1人である。その彼女達がなんと初共演で姉妹役を演じるというから驚きだ。その映画のタイトルは『ブーリン家の姉妹』。イギリス王室を舞台に繰り広げられる愛憎劇である。
都市から離れた場所で長閑に暮らすアンとメアリーのブーリン姉妹(共にナタリー・ポートマンとスカーレット・ヨハンソン)。年上のアンより先に結婚するメアリーをアンやその家族は祝福していた。その頃、英国王ヘンリー8世の世継ぎが生まれようとしていたが、子供は死産してしまう。そこで、ブーリン姉妹の父と伯父が家の地位を上げる為にアンをヘンリー王の第2妃にしようと計画するのだが、ヘンリー王がブーリン家に来た際に出かけた狩りで、彼はアンのせいで馬から転落する。そこで、アンではなくメアリーが王の手当に遣わされる。そしてヘンリー王はメアリーの事を気に入ってしまい、彼女を愛人として宮廷に迎え入れる事にする。その事にアンは腹を立てるが、彼女はフランスへ送られる。結婚もしているし、アンに申し訳ないという事で、はじめはヘンリー王の愛人になることを拒んでいたメアリーだったが、次第に彼に惹かれる様になり、子を身籠る。そんな折りにフランスからアンが帰って来て、彼女はヘンリー王を誘惑し始めるのだった…。
この映画を監督したのはイギリスのテレビ界では有名なジャスティン・チャドウィック。今回が彼の映画監督デビュー作となっている。また、この作品は本年度のベルリン国際映画祭で上映された。この物語の中でナタリー・ポートマンとスカーレット・ヨハンソンが姉妹役を演じているわけだが、意外な事にナタリー・ポートマンが悪女役なのである。こんな役は彼女の今までのキャリアの中にはなかったのではないだろうか。「もう止めておけよ!」と言いたくなってしまうくらい馬鹿女なのだ。だがやはりナタリーが演じているからだろうか、クレイジーな事をやってしまっても最後には同情してしまうのだ。
そしてスカーレット・ヨハンソンだが、物語の中では彼女は至って良い子。メアリーはアン程嫉妬に狂わず、常に自分は一歩下がって行動する。ナタリー・ポートマンの悪女役はかなり新鮮だったが、スカーレット・ヨハンソンがその役を演じた方が実はしっくりきたのではないかと感じる。またヘンリー8世を『ミュンヘン』のエリック・バナが演じているのだが、彼がスカーレット・ヨハンソンとラブシーンを演じる時は、彼の体がムキムキ過ぎて笑える。それに、この映画の中では彼が嫌な男にしか見えないのがエリック・バナのファンには悲しい知らせだ。そしてその他の共演者では『アクロス・ザ・ユニバース』でブレイクしたジム・スターゲスやクリスティン・スコット・トーマス、デヴィッド・モリッシー等が出演している。
この映画はフィリッパ・グレゴリーの同名小説を映画化しているのだが、小説の方は賛否両論分かれている様で、映画の方もかなり好き嫌いが分かれそうだ。特に欠点が目立つ。映画では素晴らしい俳優を使っているにも関わらず、彼らの良さを全く引き出せていない。結局誰を使っても良かったのではと思わされるのだ。おそらくナタリー・ポートマン、スカーレット・ヨハンソンが姉妹役を演じるという事を文句に映画を売ろうとしているのだろうが、脚本がもっと優れていれば彼女達の良さが生きたはず。物語において、はじめの方はわりとダルさがあるだが、ラスト30分くらいはドロドロしまくっており、なかなか楽しむ事ができるだろう。日本の昼ドラみたいだ。
この映画『ブーリン家の姉妹』は興行的にはあまり成功しないだろうが、唯一興味が出る点はヘンリー8世演じるエリック・バナがナタリー・ポートマンもスカーレット・ヨハンソンも食ってしまうという事に尽きる。彼は挙げ句の果てにはまた違う女に手を出すのだが、そのあたりに『ありえない!』と突っ込みを入れながら観るのはいいが、この映画は決して真剣に観る映画ではない。


























