アメリカでは年明けになって公開される映画はほとんどといっていい程醜い。1月後半まではその傾向が続く。12月いっぱいまでは賞レースに参加させる為の良質な作品でごったがえすのだが、1月には年末に公開させるには醜過ぎる出来損ないの作品が揃う。あるファンタジー映画が今年になって早速公開されたのがだ、それもまた一言「つまらない」という言葉で言い表せるものであった。マイクロソフト社から発売されている中世ヨーロッパを舞台にしたコンピューターゲーム『ダンジョン・シージ』が基になっている『IN THE NAME OF THE KING: A DUNGEON SIEGE TALE』という映画である。
農夫のファーマーは、とある村で妻ソラナと息子と穏やかに暮らしていた。しかしある日、妻と息子が彼女の父母に会いに行っている時に、ファーマーは複数の何者かに襲撃を受ける。なんとか襲撃から逃れたファーマーだったが、時既に遅し、村全体が襲われていたのだ。家族を助けんと妻の実家に向かうが、彼女の父母は殺害され、妻は連れ去られ、息子も無惨にも殺されてしまう。復讐の為に立ち上がり、旅を始めるファーマーだが、旅の途中に自分についての隠された真実を知る事になるのだった…。
監督は『ハウス・オブ・デッド』等のゲームが基になっている映画をよく撮るウーヴェ・ボル。主人公ファーマーに『トランスポーター』『ミニミニ大作戦』のジェーソン・ステイサム、その他ジョン・リス=デイヴィス、レイ・リオッタ、マシュー・リラード、バート・レイノルズ、ロン・パールマン、クレア・フォラーニ、リリー・ソビエスキーとなかなか豪華な顔ぶれ。この作品、もともとはこの豪華な俳優陣を迎えた3時間の超大作になる予定だったのだが、約2時間に落ち着き、公開時期も2005年公開から結局2008年まで延びに延びたという問題の多い作品なのだ。
公開時期を3年も延ばされた挙げ句、本来より1時間も短縮されたこの『IN THE NAME OF THE KING: A DUNGEON SIEGE TALE』、まさに1月公開に相応しい内容であった。2時間ですら長く感じるが、もし3時間だったらと思うと目眩を起こしそうだ。簡単に言うと『ロード・オブ・ザ・リング』をもっと小規模にして、メリハリのない脚本を与えた様な作品だ。ただ決して敵意を覚える様な作品ではない。レンタルビデオ屋でカッコいい題名と、『ロード・オブ・ザ・リング』の様なファンタジー・アドベンチャーという名目に釣られて借りたら、最後まで観ずに途中で返却しそうな可哀想な映画である。
(岡本太陽)
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