◆ヨーダの声優フランク・オズの監督作品 (75点)
予告で観て、これは絶対に観ようと決めていた『ハウエルズ家のちょっとおかしなお葬式(原題:Death at a Funeral)』というイギリス映画を観た。まずタイトルに惹かれた。『Death at a Funeral』を直訳すると、『葬式での死』。既に死んでいる人の為の葬式なのに、一体どういうことなのだろうかと気になるタイトルだ。タイトルでだけの印象だと、サスペンスか何かと思ってしまうが、この映画はある葬式での出来事を中心としたブラックコメディである。
監督はイギリス生まれアメリカ育ちのフランク・オズ。ケビン・クライン主演の『イン&アウト』やニコール・キッドマン主演の『ステップフォード・ワイフ』などコメディ映画を中心に撮っている監督である。しかしながら彼は監督としてというよりも声優としてのほうが知名度は高いかもしれない。というのも、フランク・オズは『スター・ウォーズ』シリーズのヨーダの声を担当しているからだ。その他にもセサミストリート等も声で出演している。興味深い人である。
『ハウエルズ家のちょっとおかしなお葬式』の主演には『プライドと偏見』のマシュー・マクファディンが起用されている。その他にはルパート・グレイヴス、ユエン・ブレンナー、ピーター・ディンクレイジ、アラン・テュディック、デイジー・ドノヴァン、クリス・マーシャル等、個性的な俳優達が共演している。彼らが織りなすハーモニーは絶妙な笑いを誘う。
父親の葬式の日の朝、主人公ダニエルは極度の緊張感に苛まれていた。というのも父の死はもちろん、小説家として成功しているニューヨークに住んでいる兄ロバートが来るので、何も成し遂げていない自分に対するお世辞を親戚一同から受けると思うとうんざりしていたのだ。しかしながら緊張感に苛まれていたのはダニエルだけではなかった。家族、親戚それぞれが、なんらかの理由で葬式に行く事に不安を抱えていたのだ。父親の亡がらの入った棺が葬式業者によってダニエルの家に届けられた。それを受け取り確認するダニエル。すると、なんと父ではなく全く違う人が入っていたのだ。葬式業者のミス。とんでもないミスを発端として、葬式への出席者も集まり、どんどんとこの葬式は混乱という協奏曲を奏でていくのであった。
遺体の取り間違いというとんでもない出来事から始まるこのストーリー。とにかく笑わせられた。登場人物それぞれに思惑があり、それが互いに絡み合い、葬式という場でなんともいえない状況を作り出す。
最高なのはアラン・テュディック演じるサイモンだ。彼は遺族の一人マーサの恋人で、葬式に行く途中で緊張を和らげる為にヴァリウムを飲むが、それは実は幻覚作用のあるドラッグで…という大騒動を起こす役だ。この役は強烈だった。そしてアラン・テュディックがうまい。サイモンを観るだけでも価値のある作品とも言えよう。
ただひとつ言うならば、死という概念に関して、全く語っていないという点が気になった。父親の死というのは残された家族にとっては非常に大きな出来事であるに違いないはずだ。しかしながら死という大切なテーマを他所に単にキャラクターそれぞれの不安を材料にしてドタバタコメディが進行している様に見受けられた。父親の死はタダの起爆剤としてしか作用しておらず、もし死というテーマがなんらかの形でクローズアップされれば、より見応えのある作品に仕上がったに違いない。作品全体の雰囲気やキャラクター達も大好きだが、非常におしい作品のように感じた。



























