今夏のファンタジー映画の代表作といえば、やはり『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』だが、豪華キャスト出演によるもう1つのファンタジー映画が先日公開された。イギリス人SF作家ニール・ゲイマン原作の『スターダスト』だ。
この映画を監督したのはマシュー・ヴォーン。非常に話題になった『レイヤー・ケーキ』という映画で初めてメガホンを取った監督だ。彼は『スナッチ』等で知られるガイ・リッチー作品のプロデューサーとして知られているだろう。ギャングスター系で内容が緻密な作品が多い。今回は初のファンタジー映画で、今までとは勝手の違う作品だったせいか、『スターダスト』は初登場4位と、イマイチの出だしとなった。ちなみに彼の奥さんはクラウディア・シファー。うらやましい…。
主役のトリスタン役にはチャーリー・コックスというイギリス人俳優を起用している。映画には数本出演している程度で、あまり知られていない。鈍臭い田舎の青年を演じるのだが、途中でガラリと変貌を遂げる。地球に飛来する流れ星役をクレア・デインズが演じている。その他若さに執着する魔女をミシェル・ファイファー、女装趣味の海賊のキャプテンをロバート・デ・ニーロ、トリスタンの住む村一番の美人をシエナ・ミラーらが務める。あまり出演時間は多くないがトリスタンの父の青年時代を演じるベン・バーンズに注目である。彼は2008年春に公開になるナルニアシリーズの第2作目『ナルニア国物語/第2章:カスピアン王子の角笛』でカスピアン王子を演じている。これから期待の若手俳優と往年のスターを交えとてもバランスのとれたキャスティングと言えよう。
イギリスにあるウォールという田舎の村に住むトリスタンは、村一番の美人ヴィクトリアに恋をしている。ある日トリスタンがヴィクトリアをデートに誘った夜に、村から遠くないところに流れ星が落ちるのを目撃する。トリスタンはその星をヴィクトリアの為に取りに行こうとするのだが、村外れには越えては行けない壁が存在していた。壁の向こうには不思議な魔法の国が広がっており、その壁は魔法の国との境界線だった。トリスタンが壁を越えるとき、魔法の世界では何が待っているのか?
物語の軸にあるには、トリスタンはヴィクトリアへの誓いのため、魔女達は永遠の若さを手にするため、王子達は王位継承のため、とそれぞれが各々の理由の為に星を探すというもの(実際王子達は星が持つルビーを探しているのだが)。それ故チェイスシーンが主で、意外にハラハラさせられた。まさに冒険ファンタジーである。
この『スターダスト』のキャラクター達も非常にユニークで、その中でも、王子達の死後が笑わせてくれた。彼らは死んでしまうと、亡霊となって生きている王子とルビーの行方を見守るのであるが、彼らの世間話がシニカルで最高におもしろかった。また女装癖のある海賊のキャプテンだが、なかなか普段観る事の出来ないロバート・デ・ニーロを拝見することが出来る。しかしながら少々ヤリ過ぎた感があり、笑うというよりは、むしろ当惑させられる。それにしても最近のデ・ニーロはコメディ路線に転向してしまって、わたしは少々物足りなさを感じる。
『ハリー・ポッター』等ファンタジー映画は数多くあるが、この『スターダスト』は『ナルニア国物語』のようなピュアなファンタジーに近いかもしれない。だが、監督がマシュー・ヴォーンということで、その中でも異彩を放っている。他の夏の大作に押されてあまり出だしは好調ではなかったが、ストーリーはとてもユニークで映画の世界観を十分に楽しむ事ができる。もっと頑張って欲しい作品である。ただ、いまいち理由が分からなかったのはクレア・デインズをヒロインに選んだ事だ。映画の中で全く魅力的ではないし、彼女自身現在28歳で、もう少し若い女優を使った方がよかったのではないだろうか。
(岡本太陽)
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