イギリスにダニー・ボイルという監督がいる。『シャロウ・グレイブ』で監督デビューし、ユアン・マクレガーを主役に起用した監督第2作目の『トレインスポッティング』で一躍脚光を浴び、その後もコンスタントに映画を撮り続けている映画監督である。2000年にハリウッドに進出し、レオナルド・ディカプリオ主演で『ザ・ビーチ』という作品を撮ったのだが、この映画は失敗に終わった。それ以降は『28日後…』くらいしかぱっとした作品は見当たらない。日本ではすでに4月にダニー・ボイル監督最新作の『SUNSHINE(サンシャイン 2057)』という映画が公開されたが、7月になってアメリカでもやっと公開された。『ザ・ビーチ』以降『トレインスポッティング』でダニー・ボイルファンになった人には物足りない作品が続いているところに、今回はSF映画を選んできたダニー・ボイル。この作品は如何なるものか。
わたしたちが生きる地球にとってなくてはならない太陽。もしその太陽がなくなってしまったら…。それが現実になってしまおうとしている2057年、8人の男女が太陽再生のミッションに送り込まれた。彼らはイカロス2号という宇宙船に乗り込み、限りなく太陽に接近し、危険なミッションを遂行させようとしていた。しかしそのとてつもなく巨大なミッションの中で彼らには想像出来ない程の危険や困難が待ち受けていた。宇宙の神秘の前に人類にはなす術はないのだろうか?
ダニー・ボイルの映画には正直興味はないのだが、主役にキリアン・マーフィーが起用されており、それがモチベーションとなって『サンシャイン 2057』を観に行った。彼は物理学者のキャパを演じている。それからクリス・エヴァンス、ミシェル・ヨー等、英国外からも出演者を起用し非常に国際的なキャスティングだった。日本からは真田広之がイカロス2号のキャプテンを演じている。意外なことに英語の発音がうまくて驚いた。また真田氏は今年ハリウッド映画にも出演しており、工藤夕貴も出演している『RUSH HOUR 3(ラッシュアワー3)』が8月中に公開される。国際派俳優としての動向が注目度大である。
「Our sun is dying(私たちの太陽が死のうとしている)」というナレーションとともに始まる『サンシャイン 2057』。簡潔に言うとおもしろかった。宇宙は非常に壮大で、神秘的であると同時に不気味さも持ち合わせている。ダニー・ボイルの『サンシャイン 2057』はその神秘的且つ不気味という表現がぴったりだった。また映像も音楽も美しい。おそらくスタンリー・キューブリックの名作『2001年:宇宙の旅』にも似た感覚をわたしたちは味わう事ができるだろう。少なからず、ダニー・ボイルもこの映画に影響を受けたに違いない。
地球を救うという任務を得て宇宙船に乗り込み宇宙へ旅立つというこの『サンシャイン 2057』、同じ様な内容から連想される他の映画はあるだろうか?おそらくすぐに連想されるのは『アルマゲドン』ではないだろうか?内容は似ていても『サンシャイン 2057』は『アルマゲドン』とは全く違う映画だった。『サンシャイン 2057』は地球を救うヒーローが大活躍する映画ではなく、サスペンス映画だ。宇宙船という密室の中で人間の強さや弱さ、善悪を垣間見る事ができる。
『サンシャイン 2057』の観賞後に日本での公開前後の宣伝はどうだったか気になった。真田広之が出演しているということで、結構大々的に取り上げられていただろうか?アメリカではほとんど宣伝らしき宣伝はしていない。単館系作品で、わたしは予告すら観ていなかった。アメリカでのダニー・ボイルの人気はあまりよくわからないが、今回の作品はいっそダニー・ボイルが監督であることを忘れてみてもいいかもしれない。初期のダニー・ボイル作品が好きな人にはSF映画ということで抵抗があるかもしれないが、非常に見応えのある作品に仕上がっている。はっきり言ってこの映画怖い。
(岡本太陽)
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