映画ファン待望の電子書籍(スマートフォン向けアプリ)

Civic Duty - 岡本太陽

ピーター・クラウス(Six Feet Under)主演(45点)

 アメリカに住む身として非常に気になった映画を観た。『Civic Duty』という作品である。

 9/11後のアメリカ、連日テロ関連のニュースが放送されていた。ピーター・クラウス演じる主人公テリーはアパートの2階で妻と暮らしていたのだが、ある日職場を解雇された。妻と一緒に一戸建ての家を持とうというのが夢だったのだが、職無しではその夢も叶いはしない。苛立ちの中眠れず、彼は深夜アパートの一階に中東系の若い男が引っ越して来るのを目撃した。その事を不審に思いながらも、テリーの職探しの日々は続いた。そうこうしているうちに今度はその中東系の男が深夜ゴミをを捨てに行ったり、彼の仲間がその男の家に何か箱のようなものをいくつも運び込んでいるのも偶然目撃してしまった。テリーの彼に対する不信感は募るばかりで、ついには自分でその男の行動をチェックしたり、FBIにまで通報してしまった。この男はテロリストに違いない。テリーの思い込みは自身の人生を狂わせていき、悲惨なラストへと一歩一歩近づいていくのだった。

 思い込みは恐ろしい。思い込んでいると本当のものが見えなくなる。映画『ブリーチ』について書いたときに、思い込みについては少々触れた。例えば、わたしが初めてニューヨークに来た時はテロから7ヶ月くらい経った頃だったろうか。その当時、何故だろう勝手に『アフガニスタン人には気をつけろ』という意識がどこかしらあった。しかし他の民族からしてみれば、日本人、韓国人、中国人の見分けがつかないのと同じで、わたしもアフガニスタン人がどういうものか分からず、結局『中東民族には気をつけろ』になっていた。今思えば、恐ろしい考えを持っていたものだと感じる。

 ただやはり、ある人が犯罪を犯すとその民族全体にその犯罪のレッテルが貼られるのは事実だ。日本でいう『外国人には気をつけろ』もそうだが、アメリカは特に多国籍なので、そこにいる身としてはこの現状を痛感する。最近だと、韓国の大学生が銃乱射事件を起こした。その余波でアジア人に対し悪い目を向けられていた事実がある。もちろん全ての人がそういう目を向けていたわけではないが、中にはアジア人に対して快く思っていない人もいるので、日本人であっても実際に文句を言われたりもするのだ。わたしの知り合いも銃乱射事件後『ファッキンアジアン!』と罵られたりしたそうだ。

 きっと戦争も思い込みによって起きるものが多いと思う。アメリカが9/11後に戦争を仕掛けたのだって、イラク人全体が悪者と思ったわけで、報復のことで頭がいっぱいで、テロとは無縁の人のことは考えなかったのだろう。この映画は、中東系の人に疑いの目を持っていた男の話しで、どんどん自分を自己破滅に追いやっていく感じが非常に観るものを不快にさせる。特に後半は苛立ちすら感じる。それがこの白人社会アメリカとダブって興味深かった。

岡本太陽

スポンサードリンク