『ショーン・オブ・ザ・デッド』というイギリスの映画を御存知だろうか?約3年程前のアメリカ公開時に、わたしが衝撃を覚えたゾンビ映画のパロディだ。そのスタッフ、キャストが再び集って製作されたのが『ホット・ファズ』という映画だ。今回の映画はハリウッドスタイルのポリスアクションムービーのパロディだ。映画の随所に素敵な笑いが仕掛けられていてこの製作チームが復活したことに感謝をした。
『ショーン・オブ・ザ・デッド』でも主役だったサイモン・ペグ演じる警察官ニコラス・エンジェルがロンドンからイギリスの田舎町に赴任するところからストーリーは始まる。赴任先の町は国内で一番安全な町だった。しかし、ニコラスがその町に来てから相次いで死者が出るのだった。町のものは皆それを事故だというが、ニコラスはそれを殺人事件と疑う。そしてこの事態は思わぬ方向へと向かってしまうのだった。
この映画は最初の半分は期待し過ぎるとそんなに新鮮味はないかもしれない。しかし、監督のエドガー・ライトとサイモン・ペグの書き上げた脚本はやはり素晴らしく、後半から一気に追い上げを見せ、映画に魅せられる。ラスト30分頃の町の中心部での決闘は素晴らしかった。ラース・フォン・トリアーの『ドグヴィル』のラストを思い起こさせる雰囲気もあったが、あくまでもコメディに徹しているところが、製作者達の良い仕事っぷりなのである。
物語中にキアヌ・リーブス主演の『ハートブルー』、それからウィル・スミスの『バッドボーイズ2』の名場面が登場するのだが、それが絶妙に『ホット・ファズ』とコラボレーションしているのである。ハリウッドアクション映画に傾倒している監督が作った作品であることが伺える。しかし、この2つのハリウッド映画を観ていなくとも『ホット・ファズ』は十分に楽しめるだろう。
前作の『ショーン・オブ・ザ・デッド』もそうだが、『ホット・ファズ』もやはりすごく皮肉的で、映画オタクが作った映画という感じがする。もちろんオタク以外にもウケる映画にはなっているのだが、映画好きが観るとより楽しめるのかもしれない。まだ気が早いかもしれないが、またこのスタッフとキャストが集まって、新しい作品を生み出して欲しい。面白い映画や、才能を感じる映画は今日いくつもあるが、勢いを感じる映画はあまりない。しかし、『ホット・ファズ』には勢いを感じることができる。笑ってすっきりしたいときにはピッタリ(?)の映画だ。
補足、『ショーン・オブ・ザ・デッド』で主人公ショーンの相棒を演じたニック・フロストももちろん今回『ホット・ファズ』で主人公ニコラスの相棒として出演している。
(岡本太陽)
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