RENT/レント - 前田有一

リアルで現代的なテーマを扱った若者向きミュージカル(55点)

 この映画の原作となったミュージカルは、ピューリッツァー賞も取ったブロードウェイの大ヒット作。歌とドラマの融合たるミュージカルという、非常にクラシカルな雛型に、HIVや同性愛といった現代的なテーマを盛り込んであるのが特徴で、ロックやゴスペルなど、使われる曲も若者向けとなっている。

 話の始まりは89年のクリスマスイブで、そこから1年間に起こる、仲間たちの悲喜こもごもを描いた群像劇。登場人物は個性的で、みなミュージシャンや映画作家、ダンサーなど、芸術志向の若者ばかり。分かれたカノジョが今度は女とつきあっていたり、親友はドラッグクイーンとつきあっていたりと、あたりまえのように同性愛がそこには存在する。

 そうした三角関係や、新しい恋、または、かつて仲間だったヤツが、今は玉の輿に乗って、自分たちを家主と一緒に追い出そうとする側にいるなど、様々なドラマが交錯する。

 そこには、HIV感染について悩む姿も、まるで日常の風景として描かれる。彼らが1年間ぐだぐだして、ラストにそのダイジェストを、作中作の映像作品としてみんなで観るという構成である。友人の死や新しい門出など、そこには愛と悲しみ、希望が含まれており、なかなかに盛り上がる。単純なプロットだが、結構感動する。

 ミュージカル映画だから、全編に踊りと歌のシーンもたくさんある。キャストは、舞台版と多くが共通なので、役柄に関して俳優たちに迷いはない。歌もうまいし、楽曲も良い。

 かなりヘビーな話題が含まれるが、監督が『ホーム・アローン』や『ハリーポッター』など、ファミリー映画を得意とするクリス・コロンバスだから、生々しさはゼロ。健全映画である。

 こういう、いかにもリベラルな人たち、ボヘミアンな若者を描くお話というのは、今は珍しいが、なんとなくこの監督、本作の中でそうした人たちに媚びているような感じを受ける。そうした偽善風味というものが、少々この作品の良さをスポイルしている。

 ただ、なんと言っても楽曲の良いことと、役者が上手いことで、見ごたえは十分にある。平均的なミュージカル映画のレベルは、上回っているといえそうだ。

前田有一

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