意外にも出来のいいオカルト・ホラーの佳作(70点)
続編にありがちな安易な設定ではなく、意表を突く恐怖を提供するホラー映画だ。物語の舞台は前作と同じ、バルセロナ、謎のウィルスが蔓延するアパートだ。惨劇の直後、ある特命を帯びたオーウェン博士と撮影要員、武装したSWAT、彼らを統率するチーフという面々が恐怖のアパートに突入する。完全隔離されたその場所で、もはや人間ではない生き物に変わったウィルス感染者からたびたび襲われながら、感染の深層部である最上階へと向かうが、そこで彼らは博士の正体と本当の目的、さらに信じられない光景を目にすることになる。
スペイン映画「REC/レック」は異様な迫力のP.O.V.(ポイント・オブ・ビュー、主観映像)形式で究極の恐怖を提供し、大ヒットとなったが、今回もP.O.V.は健在で、不気味でリアルな怖さがある。非常に視野が狭く、グラグラと揺れ、時にはブツリと途切れる映像は、それだけでもただならぬ雰囲気なのに、死角となった場所から突然血まみれの感染者が飛び出してくるから心臓に悪い。前作ではTVレポーターとカメラマンという映像のプロを配置したが、今回は撮影要員のカメラとは別に、SWATのヘルメットに付いたカメラや、好奇心でアパートに侵入した若者のビデオカメラなど、複数のP.O.V.で飽きさせない工夫がある。血まみれの感染者の形相にはギョッとするが、ウィルス感染にさらに付加される“あるモノ”による恐怖は、カトリック大国スペインならではの説得力で、思わず「このテがあったか!」と膝を打った。とは言っても、その“あるモノ”が、アパートの外に出るために最後に見せる奥のテは、それが出来るなら早くそうすれば? と言いたくなる。ツッコミはさておき、意外にも出来のいいオカルト・ホラーの佳作であることは確か。つながる部分があるので、前作を見てからの鑑賞をお勧めしたい。
(渡まち子)