スパニッシュホラー『REC』のハリウッドリメイク版(40点)
2007年のスペインのホラー映画『REC』。これは『ブレアウィッチ・プロジェクト』や『クローバー・フィールド』と同じ様に映画の登場人物がカメラを手にし、それに映される映像で構成される映画だ。閉ざされた建物の中で繰り広げられる惨劇が見事に観客の心を掴みカルト映画の仲間入りを果たしたこの作品がハリウッドでリメイクされた。『エミリー・ローズ』のジェニファー・カーペンターを主人公に迎えた『REC:レック/ザ・クアランティン』は同じく主観撮影作品『The Poughkeepsie Tapes』が待機中の若手注目株ジョン・エリック・ダウドルが監督を務める。
レポーターのアンジェラはカメラマンのスコットとロサンゼルスにある消防署に夜勤で働く隊員達を取材に行く。そして彼らの取材中に消防隊員に出動要請が。アンジェラとスコットは隊員のフレッチャーとジェイクと共に要請のあったある建物に向かう。その建物の住人達は不安そうに1階に集まっており、あるアパートから女性の叫び声が聞こえて来たと言うのだが…。
ホラー映画では登場人物達の行動にイライラさせられるのが付き物だが、この映画の中では特に主演のジェニファー・カーペンターのわめき声が癇に障る。『REC』の主人公の女性もうるさかったが、ジェニファー・カーペンターには無性に猿轡を噛ませたくなる。苛立たしいキャラクターが登場する中で、ジェイクに扮する『ホステル』のジェイ・ヘルナンデスがわりと賢く勇敢なのが救いだ。また、以前はイケメン扱いされていたジョナサン・シェックがこの映画では目を疑いたくなる扱いを受けている事に注目したい。
この恐怖映画は閉ざされた空間でのサバイバルバトルが売りで、その間にショッキングな映像も多くある。また主観撮影という技術が観客に恐怖をより身近に感じさせる。しかし映画としては90分の上映時間が途中でダラダラしたものに感じてしまう。オリジナルの75分が丁度良い長さだったのだろう。それに、建物の中で何が起こっているのかという説明(特に原因)も『REC』の方がより詳しくされている。内容も展開もほぼ同じなため、一体リメイクする必要があったのか首を傾げたくなる。
(岡本太陽)