© 2010「座頭市 THE LAST」製作委員会
◆SMAPの香取慎吾が座頭市に挑戦した意欲作。人間味のあるリアルな座頭市像を作ることには成功しているが、仲代達矢や倍賞千恵子らの大芝居が浮いていて、非常にバランスが悪い作品になってしまった(66点)
座頭市といえば、何といっても勝新太郎だろう。ビートたけしも演じたし、やや変則的なものとしては、綾瀬はるかが女座頭市に扮した曽利文彦監督の「ICHI」(2008)がある。その他、山田誠二監督「新怪談残虐非道・女刑事と裸体解剖鬼」(2004)のゾンビ市(橋本和博)、高橋洋監督の地下映画「ソドムの市」(2004)の俎渡海市兵衛(浦井崇)なども、座頭市の変奏曲だ。日本映画だけではない。「ブラインド・フィーリュー」(1989)のルトガー・ハウアー、さらに最近の米国映画(タイトルを書くとネタバレになるので書かない)にも、座頭市的なキャラクターは登場する。盲目の居合い斬りの達人は、あまりに強烈で魅力的なキャラクター故に、様々に作り手の創造力を刺激するのである。
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© 2010映画『パーマネント野ばら』製作委員会
◆舞台となる高知の町並みや、そこに住む人々の生活感が、詩的かつリアルに描かれた秀作。菅野美穂、小池栄子、池脇千鶴ら女性陣がとてもいい(80点)
西原理恵子の原作を、「クヒオ大佐」の吉田大八が監督。菅野美穂の8年ぶりの映画主演作としても話題だ。
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◆都会で一応の成功を収めた主人公が、帰郷したことで故郷の素晴らしさを再発見し、自らの夢を思い出すというセオリー通りの展開(50点)
インパクトは弱いが、心温まる実話で勇気をもらえる話だ。大手企業で仕事一筋に生きてきた肇は、49歳のとき、友人の死や独り暮らしの母親の病をきっかけに、自らの人生を振り返る。電車の運転手になるという幼い頃の夢を思い出し、思いきって採用試験に応募することに。年齢のハンデを乗り越えて試験に合格した肇は念願の運転手になるのだが…。
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◆暴力的な青春映画を得意とする井筒和幸監督だが、そのまなざしの中には、社会の底辺で生きていくであろう若者たちへのエールが込められている(55点)
人気お笑いコンビのジャルジャルがダブル主演と聞くとコメディを連想するが、本作は出口の見えない鬱屈した日々の中で巻き起こる暴力のスパイラルを描く青春バイオレンスだ。アルバイトでヒーローショーの悪役を務めるユウキは、実力も努力も中途半端な専門学校生。一方、元自衛官で配管工の勇気(ユウキ)は、昔はワルで通っていたが、今は年上の恋人と暮らすために地道に働いている。そんな2人が、不良たちの抗争に巻き込まれ偶然に出会うが、暴走する若者たちの暴力行為は取り返しのつかない犯罪に発展してしまう…。
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◆エリート人生に倦んだ男が子供のころの夢を追う姿は、「人はどう生きるべきか」という指針を示す。映画は新しいことを始めるのに年齢を問題にするのは言い訳に過ぎず、やる気があれば大抵の目標は叶うことを教えてくれる。(50点)
電車が動き出すと、前方の窓から順番に1枚ずつ灯りがともるように車内に日光が差し込むシーンが、幻想的な美しさをともなって見る者を物語にいざなう。エリート人生に倦んだ男が子供のころに憧れた夢を追うために会社を辞めチャレンジする姿は、「人はどう生きるべきか」という指針を示し、新しいことを始めるのに年齢を問題にするのは言い訳に過ぎず、やる気があれば大抵の目標は叶えられるとこの映画は教えてくれる。住宅地から海岸沿い、そしてのどかな田園風景に敷かれた単線レールの上を走るクラシカルな電車が、郷愁と共に古いモノを大切にする気持ちを呼び起こす。
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◆大げさな演技で苦悩を表現するわけでもなく、センチメンタルな音楽で感情を押し付けるわけでもない。経営者で家長である主人公の日常と死、そして残された妻子や同僚を淡々とスケッチし、人物の心理を想像させる余白を残す。(60点)
ひっきりなしに鳴るケータイに応える男がパリの雑踏を颯爽とかき分ける姿が多忙ぶりを象徴し、娘たちをかわいがり妻のご機嫌をとる週末は深い愛を示す。ビジネスマンとしての一面と父親としての顔、どちらもエネルギッシュで魅力的な男は、経営者であり家長であるがゆえに胸中をだれにも打ち明けられない。映画は大げさな演技で苦悩を表現するわけでもなく、センチメンタルな音楽で感情を押し付けるわけでもない。主人公の日常と死、そして残された妻子や同僚を淡々とスケッチし、登場人物の心理を想像させる余白を残す。
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© 2010「座頭市 THE LAST」製作委員会
◆逃れられない運命にからめとられていく市の定めは、あまりにも切ない(55点)
生活感あふれる座頭市という視点が新しいアクション時代劇だ。市は盲目の流れ者で剣の達人。数々の修羅場をくぐってきたが、愛する妻タネのため、人を斬る生活を捨てて静かに暮らすことを決意する。しかし、市を追うヤクザとの戦いでタネが命を落とす。身も心も傷ついた市は、故郷の村に辿り着き、旧友の柳司のもとに身を寄せ、百姓として暮らし始める。村を牛耳る非道な天道一家に苦しめられる村人は、市に助けを求めるのだが…。
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◆ミステリアスなストーリー展開はかなりの見所っ!(75点)
いきなりですが・・・みなさん想像してみてください。。。
急に奇妙な箱が家に届きます。。。
開けてみると、“赤いボタンがついた箱”。。。
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◆豪華だが物語に物足りなさを感じてしまう第二作目(50点)
2008年の第一作目と同じくアメリカのサマームービーの先陣を切って封切られたアメリカン・コミック原作の『アイアンマン2(原題:IRON MAN 2)』。主人公トニー・スタークは細々と俳優活動を行っていたロバート・ダウニー・Jr.をスターとして復活させ、その後の彼の俳優としての人生を大きく変えた。ダウニー・Jr.の演技というよりは彼の人柄が皮肉的でチャーミングな完璧な主人公像を作り上げ、人々は新しい物語でのあのトニー・スタークを待ち焦がれた。
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◆B級ながら、セクシー・アクションの面白さを存分に楽しめる。主演の亜紗美がとびきりカッコいい(72点)
今年(2010年)のゆうばり国際ファンタスティック映画祭で最も驚かされたのが、「スケ番☆ハンターズ」2部作だった。いわゆるB級映画だが、空疎な大作よりも遥かに面白かった。
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◆古代ペルシャ版「グリーン・ゾーン」はド派手なアクション・アドベンチャー。ギレンホールの肉体改造が見ものだ。(55点)
孤児のダスタンはその度胸を見込まれペルシャ帝国の王の養子となる。勇猛な若者に成長したダスタンは、叔父と二人の義兄と共に聖地アラムートを制圧。だが進軍は父王の怒りを買った上、王が毒殺されダスタンが疑われてしまう…。
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◆笑いもスプラッターもきっちり楽しめるホラー・コメディー(72点)
ゾンビは元々、ブードゥー教の呪術師によって魂を抜かれ、奴隷化された人々だった。このブードゥー・ゾンビは、早くからベラ・ルゴシ主演の「恐怖城」(「ホワイト・ゾンビ」)(1932)などでスクリーンに登場している。ゾンビ自体は自分の欲望を持たず、「支配者」の言いなりになって働くという点で、我々が悪い意味での「共産主義」をイメージするときの、「人民」に近いといえるだろう。
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© 2010 BOX! Production Committee
◆試合の2分間をワンカットで撮影する離れ業を見せ、演じている俳優たちもリアリティを出すために過酷なトレーニングを積んできたことを証明する。物語の虚構の中でも、彼らが流した汗と息遣い、パンチは本物の迫力があった。(60点)
2人のボクサーが休む間もなく拳を交わす。両者とも一歩も引かず、顔面からボディとスタミナの続く限りパンチを繰り出す。カメラはその激闘の一部始終を、赤コーナーの上からニュートラルコーナーに移動し、さらにボクサーたちに迫るかと思えば引くという、前後左右上下へと流麗な動きでとらえる。李闘士男監督は、主人公とライバルの試合の第2ラウンドの2分間をワンカットで撮影する離れ業を見せ、俳優もまたリアリティを出すために積んできた過酷なトレーニングを実演する。物語の虚構の中でも、彼らが流した汗と息遣い、そして渾身の力を込めたパンチは本物に近い迫力があった。
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◆絶え間なくゆらぐ画面は見る者の気持ちを不安定に揺さぶり、金属をこすり合わせるような音楽は不快感を増幅させる。短いカットをつないだシュールな映像と腹の底に響く重低音のサウンドは、我慢の限界を試しているかのようだ。(20点)
全編ハンディカメラで撮影され絶え間なくゆらぐ画面は見る者の気持ちを不安定に揺さぶり、金属をこすり合わせるような音楽は極限まで不快感を増幅させる。短いカットをつないだシュールな映像と腹の底に響く重低音のサウンドは、我慢の限界を探っているかのよう。この、恐ろしいまでに表現主義に走った作品には、もはや怒りしか覚えない。もしかして観客に怒りを味あわせることで、主人公が理性を失って暴走する感覚を体験させようとしているのなら、その試みは成功しているのだが。。。
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◆何者も恐れず立ち向かい、悪党どもは容赦なく排除する。しかし、法に代わって犯罪者を裁く男たちの活躍を描く一方、コミカルな要素を盛り込んで冷血の制裁人というイメージを脱却させ、大量の死という血なまぐささを中和する。(50点)
何者も恐れず立ち向かい、悪党どもは容赦なく排除する「処刑人」たちの、優雅で洗練された身のこなしが圧倒的にクールだ。特にリボルバーに1発だけ銃弾を込め、殺し屋同士が互いに銃口を向けあってトリガーを引きあう“対面型ロシアンルーレット”は、どちらが先に撃たれるか究極のチキンレースなのになぜか噴き出してしまうような雰囲気。映画は法に代わって犯罪者を裁く男たちの活躍を描く一方、コミカルな要素を盛り込むことで冷血の制裁人というイメージから脱却させ、人が大量に死ぬという血なまぐささを中和している。
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