危険を顧みないスタントとCGの完璧な融合は見事なエンタテインメントに昇華されていた。(点数 50点)
(C)2011 CJ E&M CORPORATION, ALL RIGHTS RESERVED
自動車やトラックの間を縫うように超速で激走し、ビルの屋上から屋
上を飛び移るバイク。そのめくるめくスピード感と浮遊感をリアルに
再現するカメラワークについ引き込まれてしまう。一方でトンネルの
壁を伝い、橋の上から電車に飛び移るなど曲芸走行まで披露する。犯
罪に巻き込まれた不運を嘆く主人公、バイクと爆弾、さらに列車とい
ったハリウッド映画のアイデアを借りながらも、素材を煮詰め危険を
顧みないスタントとCGの完璧な融合は見事なエンタテインメントに昇
華されていた。
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警備犬訓練所という、ほとんどスポットが当たらない警察組織が新鮮だ。(点数 40点)
(C)2011「DOG×POLICE」FILM PARTNERS
わずかな火薬のにおいをかぎ分け、怪しい人物には容赦なく飛びかか
る。いまやテロリスト対策に欠かせない存在となった警備犬。映画は、
正義感ゆえについ暴走する若き警官と劣性遺伝で体力の劣る警備犬の
関係を通じ、本当の仲間とは、信頼とは何かを問うていく。一方で人
間と犬、規格に馴染まない者同士が固い絆で結ばれる中で強力な化学
反応を起こしていく姿が楽しめる。警備犬訓練所という、ほとんどス
ポットが当たらない警察組織が新鮮だ。
【ネタバレ注意】
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先端の科学に触発された斬新なサスペンスが目新しい。(点数 85点)
(C)2011 Summit Entertainment, LLC. All rights reserved.
まどろみの中から目覚めた男は列車のボックスシートにその身を沈め、向かいの席に座る見知らぬ女性が 親しげに話しかけることに戸惑う。自分のポケットに手を入れてIDカードを確認すれば別人の名前が記載されている。
彼の記憶では、自分は先程 までアフガニスタンで作戦行動中の兵士だったからだ。
8分後、列車は突如爆発。車両は炎に包まれ男はそこで意識が途絶える。
再び目覚めると狭 いコックピットに閉じ込められていることに気付く。
そしてモニターを通してオペレーターから告げられたのはプログラムで作られたシミュレーションの世界 に入り込み列車爆破テロの実行犯を突きとめることだった。
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ホラーの定石を実践する見事な演出だった。(点数 60点)
(C)2011 NEW LINE PRODUCTIONS, INC.
ガラス片、蛍光灯、ヤカン・・・・・小道具が客席に飛び出してくる
オープニングは、この作品で扱う素材が3Dという表現法と抜群の親和
性を持つことを饒舌に物語る。それは銃弾や矢といった非日常の武器
ではなく、身辺にあるありふれたものが突然凶器となって襲いかかっ
てくる恐怖。今回もスリル満載のアイデアに最後まで息の詰まる思い
だった。
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脳の働きを100%活性化させる魔法のクスリを服用した男が経験する成功と没落、愛と苦悩を通じて浅はかな人間の欲望を描く。(点数 50点)
(C)2011 RELATIVITY MEDIA.
感覚が研ぎ澄まされ、あらゆる刺激に対して敏感になり、目や耳から
入る過剰な光と音が蓄積され高速で処理される。過去の経験を細部ま
で思い出し、今起きている事象から未来を正確に予測する。かつて体
験のない全能感に浸る主人公の主観映像は、異次元を疾走しているよ
うなスピードと色彩。それはまさに、「見るトリップ」、脳内の情報
伝達が加速する様子がスタイリッシュにビジュアル化されている。映
画は、脳の働きを100%活性化させる魔法のクスリを服用した男が経験
する成功と没落、愛と苦悩を通じて浅はかな人間の欲望を描く。
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スクリーンに、<はやぶさ>プロジェクトに懸ける関係者の「熱い思い」を焼き付けることに成功している。(点数 70点)
(C)2011『はやぶさ/HAYABUSA』フィルムパートナーズ
2010年6月、絶体絶命の危機を脱して帰還を果たした小惑星探査機<はやぶさ>。
もしもこの探査機が完璧にミッションをこなして予定通りに帰還していたなら、
あるいは日本列島を熱狂の渦で巻き込むほどの話題にはならなかったのかもしれ
ない。
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死ぬ間際でさえ己の感情よりも迷惑をかけないように心掛けるのは周囲の人々を愛していた証拠。(点数 80点)
人物に焦点を当てたドキュメンタリーは、作り手がどれだけ対象に踏
み込めるかが命。その点、実の娘が父の最期を看取るこの作品は圧倒
的なアドバンテージを持っている。ところがディレクターはそこに胡
坐をかかず父親の人生に深く切り込み、巧みな編集で涙と笑いを兼ね
備えた見事なエンタテインメントに昇華させている。撮られる側の父
も、娘に対する小恥ずかしさと、レンズを介するからこそさらす顔の
両面を見せ、少し意識した表情の中、自分がどう映るかを気にする様
子が微笑ましい。
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甘酸っぱい余韻を残す。(点数 60点)
愛されてはいるが尊敬はされていない。感謝はされているが理解はさ
れていない。夫と2人の息子の世話に明け暮れそれなりに充実した人生
を送っていたヒロインが、ふとした瞬間に自分の存在意義を問い始め
る。物語は幸福な隷属に甘んじている専業主婦が味わう束の間の自由
と、その変化に対応しきれない男たちの戸惑いを描く。ヒロインの繊
細な胸の内をマリア・オネットがミニマルな感情表現で演じ、甘酸っ
ぱい余韻を残す。
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ひねくれた思考回路が彼のキャラを際立たせていた。(点数 40点)
(C)Les Films du Poisson – Neue Mediopolis Filmproduktion – ARTE France Cinema – WDR/ARTE – Le Pacte – Film(s)
垂れ気味の巨大な乳房とでっぷりと脂肪がついた腰回り、およそダン
サーのイメージとは程遠い踊り子が贅肉を波打たせながらステージで
体をくねらせる。セクシーとは対極にある彼女のパフォーマンスは、
むしろ“怖いもの見たさ”に近い物珍しさで興味をそそる。それは鍛
え上げた肉体では表現できない人間の“ナマの姿”、食欲に忠実で自
然に年を取った中年女の現実が垣間見える。映画はフランス各地を巡
業して回る米国のバーレスクダンサーと彼女たちのマネージャーの日
常を切り取り、生きるために必要な心のゆとりを見つけ出していく。
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ランゴ - 中野 豊
3Dに頼らない映像。超可笑しいし、哲学もしている ウルトラ・ミラクル長編アニメ!もっと言うなら、これからの「映画のスタイル」をかえるかもしれない傑作。(点数 90点)
@yutaka_nakano / (C) 2010 Paramount Pictures. All Rights Reserved.
人間のペットのカメレオン ランゴは、ドライブ中に砂漠のど真ん中に放り出されます……。
ナビゲーターは謎のフクロウ楽団マリアッチ。
はてさて、臆病者でお調子者・温室=「マトリックス」なお国育ちのランゴは、この砂漠という異世界「ザイオン」でどう生きていくのでしょうか?
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情緒豊かな 胡弓の調べを聴きながら 清の時代の滅びてしまった文化のノスタルジーにどっぷり浸りきる。(点数 65点)
映画「雪花と秘密の扇子」、原題「SNOW FLOWER AND THE SECRET FAN」を観た。原作 リサ シーの 2005年ベストセラー小説を映画化したもの。
監督:ウェイン ワン
キャスト
雪花:ソフィ : チョン ジヒヨン
百合:ニナ : リー ビンビン
ボーイフレンド:ヒュー ジャックマン
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恋に悩むるいの表情は美しい。(点数 40点)
(C)2011 映画「セカンドバージン」製作委員会
すべてを失って人生のどん底に突き落とされた男を励まそうとする女。
その、元気づけようとする態度が明るいほど、男のプライドは傷つき
重荷になっていく。そんな、家庭を持てず仕事一筋に生きてきたヒロ
インには人の痛みに鈍感で、それが17歳も年下の恋人には耐えられな
い。映画は年齢の離れたカップルのすれ違いを通じて、世代的な価値
観が異なる者同士が愛し合うことの難しさを描く。会社では有能でも
男女の機微には疎い中年女の一途な愛が痛々しい。
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些細なミスも命取りになる緊迫感がスクリーンからあふれ出す。(点数 50点)
(C)2010 Lions Gate Films Inc. All Rights Reserved.
愛する妻は絶対に無実、その思いだけが男を支え、狂気にも似た信念
が彼を暴力にまみれた世界にいざなっていく。それは彼にとっての正
義。法と権力の前では無力でも、アイデアと実行力、情報とカネ、そ
して引き返さない覚悟を決めて自分の土俵に持ち込めば国家を相手に
しても恐れる必要はない。映画は、身に覚えのない罪で濡れ衣を着せ
られた妻を救いだそうとする主人公の執念を描く。
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監督は エンタテイメントとしての映画に徹底していて、筋書きで、強引に観客を引っ張っていく。(点数 70点)
(C)2010「十三人の刺客」製作委員会
日本では2010年9月に公開された日本の東宝映画「十三人の刺客」、「13 ASSASSINS」を観た。
日本からは大分遅れて 今週から シドニーの大型一般映画館で公開された。
日本映画が 英語字幕つきで一般映画館で公開される機会は 極めて少ない。
特別の シドニー国際映画祭とか 興行成績に関係のない独立的に文化作品を上映する特殊な映画館でなら、溝口ファンとか、黒澤明ファンが オーストラリア人にも居るから 時々日本映画を見せている。
しかし、大型の興行映画館で、ハリウッド映画と並んで、日本映画を公開するのは、良くて年に1本だろう。
この作品の前は ジブリの「ポニョ」だった。
監督 三池崇史は 日本で、というよりもアメリカで一定の人気があるらしい。暴力的で残酷なフイルムを作るのが得意な人らしいが、その手の映画を観ないので よくわからない。
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純粋な若者の思いを応援したくなる作品だった。 (点数 50点)
(C) 2011「僕たち」フィルムパートナーズ
満ち足りているけれど何かが足りない。不満はないが期待していた学
生生活とは違う。そんな、人生に違和感を覚えている若者が確かな手
ごたえを求めて疾走する姿は好感が持てる。世界を変えようなどと思
い上るのではなく、ほんのわずかでもいいから足跡を残したいという
身の丈に合った願望。それでも、一度決めた以上は最後まであきらめ
ずにゴールを目指す姿勢が素晴らしい。資金集めの困難の中で、己を
信じ仲間と助け合う大切さをこの映画は教えてくれる。
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