
今年の3月は、チベット民族蜂起50年にあたる。昨年のチベット騒乱から丸1年経ち、中国は3月末まで外国人のチベットへの立ち入り禁止を発表している。
そしてこの度、世界中から注目されているチベットの現実を描いた衝撃のドキュメンタリー『雪の下の炎』の公開に先駆け、NY在住の日本人女性監督、楽真琴(ささまこと)氏がプロモーションのため一時帰国、ロックバンドHi‐STANDARDなどの活動で若者に絶大な支持を受ける難波章浩氏と対談を行った。
33年間の監獄生活を生き抜いたチベット僧パルデン・ギャツオ氏に真正面から向き合った楽真琴監督と、チベットの自由支援の為のベネフィット・コンピレーション・アルバム『ソングス・フォー・チベット・ジャパン』の発売を企画した難波章浩氏は、同じ日本で生まれた30代。なぜチベットか? そして音楽や映画がもたらすものとは?
<楽真琴監督×難波章浩トークイベント概要>
日時:3月2日(月)
場所:アップリンク ファクトリー
登壇者:難波章浩(Hi‐STANDARD、ULTRA BRAiN)(38)、楽真琴監督(35)
───難波さんは『雪の下の炎』を観てどのように感じましたか?
難波さん:僕は映画が本当に好きなので、映画を観ると必ず音楽が気になります。この作品もヘッドホンをしながら見させて頂いたのですが、すごく音が美しいと思いました。
楽真琴監督:とても低予算でやっていたので、NYの音楽スタジオなどは使えなかったのですが、旧ユーゴスラビアのセルビア出身の編集の子に知り合いのセルビアで大活躍しているオーディオミキサーがいて、その方が担当してくれました。だから、ファイルをインターネットでやり取りしていて、スタジオでミックスした訳ではないのでそういっていただけると嬉しいです。
難波さんがチベット問題に対して、強い発言をしているのをネット見たのですが、どうしてチベット問題に関心をもたれたのですか?
難波さん:最初は映画『セブン・イヤーズ・イン・チベット』を見てチベットやダライ・ラマに興味をもって、その後、「僕の人生って一体なんだろう!?」という時期に『ダライ・ラマ死の謎を解く』と出会い、その本の中にすべて答えが書いてあったんです。人生はやっぱり楽しいものだと思えたのです。
そして、ビースティ・ボーイズのアダム(・ヤウク)さんから「チベタリアン・フリーダム・コンサートを日本でやるから是非参加してくれ」と話がありました。それは偶然で、すごく嬉しかったのですが、バンドとしてこういった社会性を帯びたイベントに参加することに迷いがあった。でもそこで、チベットのミュージシャン、ナワン・ケチョさんと共演させてもらい、それからは自分の音楽観が変るくらい影響を受けました。
楽真琴監督:それを受けてそれまでチベットのことに興味を持っていなかった、ハイスタのファンの方はどういう反応を示されましたか?
難波さん:それがきっかけになってチベットについて探求するようになったと、言ってくれる方もたくさんいます。
楽真琴監督:生まれた頃から戦争や弾圧のない平和な生活を送れる若い日本人には「人権」という言葉がどう響くか、ということを考えていて、チベットの「非暴力主義」というのはとても稀有な存在でこれからの世代に伝えていきたいと思うので、もっとわかりやすく、ライトに伝えられないかと、だから難波さんみたいな方が声をかけると若い人達に響くのかと。
昨年itunes storeでダウンロードナンバーワンになった『songs for Tibet』というアルバムの日本盤に難波さんが参加されたと伺いました。itunes storeでは、トップページに大きく出ていたんですよね。
難波さん:『songs for Tibet』も、今度出る『ソングス・フォー・チベット・フロム・ジャパン』も、収益の一部はダライ・ラマによる平和推進活動を基盤にした事業の支援に使われます。
アメリカではレーベルの垣根やジャンルを越えて有名なアーティストが楽曲をチベットに提供して素晴らしいなと思いました。それで、『ソングス・フォー・チベット・フロム・ジャパン』として、日本のアーティストで作れないかと、いろいろな方に声をかけました。
楽真琴監督:参加されたミュージシャンの皆さんの反応はどういった感じでしたか?
難波さん:みんなチベット問題について、とても意識が高いです。なんらかのアクションを起こしたかったけれど具体的に何をすればいいのかと、こういう形で参加できてすごく良かったと言ってもらえました。
楽真琴監督:細野春臣さんとかすごいですよね
難波さん:はい・僕にとってYMOは神だったので(笑)たくさんのアーティストの方々が参加してくれたということで、「みんな同じ思いなんだ」と思いました。この映画やアルバムを通して、チベットの事を多くの人に知ってもらいたいです。
───最後に一言お願い致します。
難波さん:チベット人達が早く開放されることを願っています。それに、日本がチベットの人達が訴えられない事実を伝えるチャンスを持っていると思います。一つ一つ伝えていければ、必ず開放されると信じています。
楽真琴監督:一人の人間が小さいからといっても小さくても出来る事があると思います。自分がチベットについて、心に思ったことを伝えたり、感動したことを隣の人に伝えていくだけでも広がり、大きな流れになると思います。そして、パルデン・ギャツオさんの精神力にインスピレーションを受けてほしいです。
<ストーリー>
1996年、サンフランシスコにて開催された第1回チベタン・フリーダム・コンサート。ビースティ・ボーイズ、ビョーク、オノ・ヨーコら豪華ミュージシャンとともに一人のチベット僧が平和を訴えた。中国軍の侵攻に対しチベット民族が蜂起した1959年に、平和的なデモを行ったという「罪」で投獄されたチベット僧パルデン・ギャツォである。想像を絶するむごい拷問を受けながら33年間を生き抜き、非業の死を遂げた同胞のため、現在も闘い続ける。この映画は、パルデン・ギャツォの苦悩の人生を通してチベット問題を浮かび上がらせると同時に、人間が持つ精神の計り知れない可能性を私たちに見せつける。
『雪の下の炎』
公開表記:2009年4月11日(土)より、アップリンクにてロードショー
監督:楽真琴
出演:パルデン・ギャツォ、ダライ・ラマ14世、他
配給:アップリンク
公式サイト:http://www.uplink.co.jp/film/
























