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桜井亜美氏インタビュー ページ1

小説家 桜井亜美氏 インタビュー

小説家 桜井亜美氏

「実は小学校での「いじめ」で、私は・・・・」

2008年4月24日更新

東京都生まれ。
1996年に『イノセント ワールド』で小説家デビュー。

 

──小説家になろうと思ったきっかけは何ですか?

 まだ私がすごく小さい時で、幼稚園くらいの時かな。お話を書くことがものすごく好きで、従兄弟と一緒になってムック本を作っていたんです。私が表紙の絵と中の小説を担当し、従兄弟が料理やお菓子の作り方などを紹介する担当で。その頃からずっとお話を書いていたんですが、その内容というのが何でウサギの耳は長くなったんだろうとか、クチナシの花はなぜ口が無くなったの?など、そんな妄想の世界を小説にしてたんですが、それと平行して日記もつけてたんです。

 普通の人は日記といえば今日何をしたなどの日常生活がほとんどですけど、私の日記ってそのほとんどが詩でした。その日の自分の気持ちを詩に置き換えることが好きで、誰にも見せずにただひたすら書いてましたね。今その日記を見ると、当時はそんなこと考えてたんだなって。多分他の人が見ても何書いているのかさっぱり分からないと思うけど。完全にメタファーを使って書いていたので。

 本格的に書き始めたきっかけというのが、実は小学校のときに受けていた“いじめ”。その時の私はどうしても書かなければいられない心境だったんです。読むことも書くことも両方好きな私は、そのとき読書と音楽に一番救われたんです。だからこそ、自分が救われたそういう部分で生きていきたいなという気持ちが強かったかもしれませんね。他人を救えるかどうか分からないけど、自分が救われたということは、そこが確かにゆるぎない何かが存在してると思ったし、その作家達の心のフィルターが救いなんだって。

 私のフィルターを通した物語を読んでくれた人にとって、表現したその場所が居場所になればいいんだなって思います。もちろん人を救えるとは今も思ってないですけどね。もし世の中に小説というものがなかったら、私はどうなってたかなってよく考えます(笑)

──詩(言葉)は桜井さんにとってとても大切なんですね。

 そうですね。でも大切にしすぎちゃって、昔は友達や恋人と話してる時に、自分の想定範囲以外の言葉を口にされるとものすごく傷ついたりいたり時には怒ったりしていた。相手からすれば何でそんなことでって思うはず。私はただ単に言葉そのもののほうが大事だから、その響きにとらわれちゃうんです。言った本人は軽い気持ちで言ってるからって言うけど、それが逆に腹立たしかったりして(笑)

 でも今はそれは良くないって思うので、日常では受け流す様にしています。きっと無意識のうちに人と会話してもどこかで小説とか詩を頭の中で考えてるんだと思うんです。だからそんなに過敏だったのかも知れませんね。

──10代の少女を描いた作品が多く見られますが、何か理由でも?

 それはきっと私がその頃から成長してないからかなぁ(笑)自分というものが確立したのが10代なんです。その頃は今よりもまっすぐで今よりも鋭かった。色んなことにピリピリしてました。たくさんのものを感じたしそれを表現したいと思ってた。今よりもボキャブラリーがなくて上手く表現出来なかったんですけどね。

 でもそれが今の私の土台だし、だからこそそこから変わりたくなかった。それは何故かって。大人になると責任とれる様になるとか感情的に豊かになって人を受け入れられたりと、たくさんの良い面があります。納得しやすくなるって言うのかな。

 でもその分感じるエッジがどんどんなくなっていくんです。もちろんその方がきっと楽なんだと思いますよ。でもそれは作家からすれば時として逆に良くない面もあるんです。10代の頃に感じたものをいつまでも持ち続けていないと、既存の感覚に取り込まれていって逆に守る立場になってしまう。エッジな感性っていつも心を揺らしてないと駄目なんですよね。

 だからいい意味で10代でいたいんです。ただ、大人のいい面は吸収して全てを受け止められる様になりたいですし、もっと優しくなりたいし思いやりも持ちたい。つまり10代の頃のままでいないと書けないことがあるってことなんです。

──これまでの執筆活動の中で特に大変だったというエピソードなどありますか?

小説家 桜井亜美氏

 いつも大変ですよ(笑)ただ一つあげるとすれば、小説を書くとき私はその主人公になりきって感情的に一緒に心を動かしてしまうことかな。例えばラストがとても悲しい時は号泣し何をやっても落ち込んでしまって、立ち直るのにとても苦労したこともあります。

 最近では「プラネタリウム」と言う新作を書いたんですけど、15歳くらいの恋愛小説で二人の心にシンクロして書いていたら、本来の自分の感情というものが消えてしまって。普通の会話をしている時に自分の感情が動くべきところで何も感じなくなってしまったんです。

 主人公の感情はリアルに感じるのに本当の自分は無感情になってしまう。書く前と終わった後では別人なので、人間関係は相当意識していますね。

 

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