シークレット - 前田有一

◆自分の知らない妻の内面(70点)

 新品のパソコンを購入するのはいいものだ。トラブルも少なく、末永く付き合っていける。本来、それ以上の楽しみを知る必要はないのだが、何かの拍子に中古パソコンの魅力に取り付かれたら大変である。

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ルンバ! - 佐々木貴之

◆道化師のキャリアを活かしたパントマイム風のギャグが最大の魅力(70点)

 ベルギー出身の道化師カップル、ドミニク・アベル&フィオナ・ゴードンが主演し、ブルーノ・ロミと三人で監督、脚本を務めた長編第二弾。

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キャタピラー - 福本次郎

◆手足だけでなく人間としての誇りまで奪われた男は、己の運命を呪い人生を憎む。旺盛な食欲と性欲が、死にきれなかった彼の希望なき未来を象徴する。映画は、傷痍軍人とその世話をする妻の姿を通じ、人間のエゴの正体に迫る。(70点)

 手足だけでなく誇りまで戦場で奪われてしまった男は、己の運命を呪い人生を憎む。食事も排せつも一人ではできず、その苛立ちは介護する妻に向けられ、まるで何かに復讐しているかのように彼女に辛く当たる。そんな主人公の、帝国軍人として潔く散れなかった後悔よりも、芋虫のようになってでも生きようとする “生”への執念がすさまじい。旺盛な食欲と疲れを知らぬ性欲が、死ぬべき時に死ねなかった彼の希望なき未来を象徴する。物語は、軍神と祭り上げられた傷痍軍人と妻の姿を通じ、人間のエゴの正体に迫る。

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キャタピラー - 渡まち子

◆若松監督にとって戦争を描いた本作は過去の歴史をより深く総括する、ある種の集大成と言える(70点)

 平和な田園風景を背景に、一組の夫婦の生き様から戦争の愚かしさを炙り出す強烈な反戦映画だ。太平洋戦争末期、シゲ子の夫・久蔵は、盛大な見送りを受けて戦地へと赴くが、手足を失い顔面が焼けただれた姿で帰還する。無残な姿ながら“生ける軍神”として祭り上げられる久蔵。戸惑いながらも軍神の妻として久蔵に尽くすシゲ子。四肢や言葉を失っても食欲と性欲が衰えず、勲章や自らを讃える新聞記事を誇りにする久蔵に、シゲ子は空虚なものを感じ始めていた。やがて二人に敗戦の日が訪れる…。

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瞳の奥の秘密 - 福本次郎

◆上空からスタジアムを俯瞰するカメラが、容疑者が拘束されるまでをワンショットに収めるシーンは、迷宮で道標を見失ったような物語を一気に現実に引き戻す強烈なインパクト。登場人物の焦燥感や息遣いが映像に焼きつけられる。(80点)

 上空からスタジアムを俯瞰するカメラがそのままフィールドでプレーする選手の頭上をかすめたかと思うと、満員の観客席にいる2人の男をとらえる。 さらに彼らが追う容疑者と共にバックヤードを走った後高い通路から飛び降り、容疑者が拘束されるまでをワンショットに収める。この恐ろしく手間のかかった シーンは、迷宮で道標を見失ったような物語を一気に現実に引き戻す強烈なインパクト。登場人物の焦燥感や荒い息遣いがテンションの爆発しそうな映像に焼き つけられる。

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特攻野郎Aチーム THE MOVIE - 町田敦夫

特攻野郎Aチーム THE MOVIE

© 2010 TWENTIETH CENTURY FOX

◆これぞ真夏の打ち上げ花火ムービーだ(70点)

 80年代の人気TVシリーズが、リドリー&トニー・スコット兄弟のプロデュースでスクリーンに復活。無実の罪で追われる身となった4人の米軍レン ジャーが、脱獄して正義の味方の<Aチーム>を結成するまでを、アクション満載で描き出す。

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ザ・コーヴ - 山口拓朗

◆本作ほど作り手の目論み通りに仕上がったドキュメンタリーも珍しい(80点)

 アカデミー長編ドキュメンタリー賞を受賞し、日本では上映中止問題で話題となった「ザ・コーヴ」。和歌山県太地町のイルカ漁に反対するクルーが撮 影したドキュメンタリーだ。

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ソルト - 小梶勝男

ソルト

◆アンジェリーナ・ジョリー主演のスパイ・アクション。ストーリーは荒唐無稽だが、それが気にならないほどのスピード感は見事。ジョリーはどのシーンでも魅力的だ(74点)

 近頃、ロシアの美人スパイが逮捕されて話題になったが、現実の(恐らく)地味な諜報活動とはまるで無関係な、ド派手なスパイ・アクションである。 アンジェリーナ・ジョリーが、走り、飛び、格闘し、銃を撃つ。全編、アクションが全く止まらない。この疾走感は実に見事だ。

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セラフィーヌの庭 - 渡まち子

◆ヒロインを演じる実力派女優ヨランド・モローがすさまじいまでの名演技で圧倒される(70点)

 芸術に神に愛された者は、こんなにも心が繊細で傷つきやすい存在なのか。素朴派の女性画家セラフィーヌ・ルイの“描くこと”への本能的な情熱を描く伝記映画だ。20世紀初頭のパリ郊外・サンリス。貧しく孤独な中年女性セラフィーヌは、家政婦として働きながら、自室でもくもくと絵を描く毎日を送っていた。神への信仰、自然との対話、何よりも絵を描くことが、彼女の生きがいだった。そんなある日、高名な独人画商ウーデが彼女の才能を見出す。ウーデの経済的援助を受け、才能を開花させるセラフィーヌだったが、戦争や大恐慌が起こり、ウーデは彼女を援助することができなくなる。やがてセラフィーヌは精神のバランスを崩していき…。

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ヒックとドラゴン - 渡まち子

ヒックとドラゴン

© 2009 by PARAMOUNT PICTURES. All Rights Reserved.

◆大空を自由に舞うドラゴン側からの物語もぜひ見てみたい(80点)

 敵同士が歩み寄って互いのことを理解する。言うは易し行うは難しのこの行動を、弱虫の主人公がやってのけるファンタジー・アニメの秀作だ。現状に風穴をあけるのは、いつの時代も意外性である。遠い昔、バイキングとドラゴンは長きに渡って戦いを繰り返していた。バイキングの少年ヒックは族長の息子なのに何をやっても冴えない弱虫。そんなヒックがある日、天敵のドラゴンと巡り会う。トゥースと名付けたそのドラゴンは伝説の“ナイト・フューリー”だったが、怪我をして飛べなくなっていた。心優しいヒックにはどうしてもトゥースを殺すことができず、おそるおそる近付き、好物の魚を差し出す。2人の間には、秘密の友情が芽生えるが…。

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瞳の奥の秘密 - 渡まち子

◆殺人事件が浮き彫りにするのは壮絶な愛と哀しみ。サスペンスとしてもドラマとしても一級の傑作。(95点)

 刑事裁判所を退職したベンハミンは、25年前の未解決事件を題材に小説を書き始める。1974年に起こった残忍な殺人事件は、政治の力でもみ消され、ベンハミンを苦しめたが、事件を思い出すことで封印された愛が蘇ってくる…。

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セラフィーヌの庭 - 佐々木貴之

◆セラフィーヌのキャラや行動だけでも印象深いものが多く、これだけでも十分に面白く観られる作品(85点)

 素朴派の女性画家セラフィーヌ・ルイの生涯を描いた人間ドラマで2009年度のセザール賞で作品賞をはじめ最多7部門を獲得した。

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フローズン - 佐々木貴之

◆驚愕させられるようなシーンでもリアルな設定も手伝って恐怖や戦慄を存分に味わわせてくれる(75点)

 極寒のスキー場を舞台にした体感型シチュエーション・スリラー。監督はホラー映画界の新鋭アダム・グリーンで、製作には『ソウ』シリーズのピーター・ブロックが携わっている。

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アイアンマン2 - 小梶勝男

◆やりたい放題のわがまま社長というユニークなヒーロー像が痛快。CGの派手な見せ場に美女と、ゴージャスな見所の連続で、前作以上の出来(80点)

 「アイアンマン」シリーズは、主人公が真面目なヒーローではなく、わがままでセレブ、兵器産業に関わる企業の2代目社長というのが面白い。しかもナルシストで、「正体」が世界中にばれている。自分は世界平和を民営化したと公言し、スーツを着て酒に酔い、武器を使って顰蹙を買う。そして、自分の非をなかなか認めない。普通のヒーロー像と全く真逆なのだ。だが、嫌な感じはしない。ロバート・ダウニーJrがユーモアたっぷりに演じていると、嫌味がないというか、嫌味なところも許せてしまう。むしろ痛快で、人間として様々な欠点があることで、普通のヒーローよりも共感できるほどだ。

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ヒックとドラゴン - 前田有一

ヒックとドラゴン

© 2009 by PARAMOUNT PICTURES. All Rights Reserved.

◆文句のつけようのない横綱相撲(97点)

 『ヒックとドラゴン』は、いくらほめてもたりないほどの傑作であるが、それは様々な要素が高いレベルで融合された、すなわち完成度の高さによるもの。何かが突出して良いのではなく、すべてがハイクオリティ。まさに死角のない横綱。事件前の朝青龍みたいなものである。

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