GSワンダーランド - 福本次郎

60年代末、ミュージシャンとしての成功を夢見てハデに散っていった若者たちのほろ苦い青春通じて、芸能界の虚飾、ファンの移ろいやすい心理、そして何より少し古ぼけた色調の映像でこの時代の雰囲気を忠実に再現している。(70点)

© 2008「GSW」製作委員会

 フリル付きのシャツに真っ白なタイツと編み上げブーツ、マッシュルームカットでムード歌謡を歌うというグループサウンズの世界。彼らを取り巻く世の中では、長いまつげとサイケなファッションが大流行。映画は、60年代末の短い期間に、ミュージシャンとしての成功を夢見て打ち上げ花火のようにハデに散っていった若者たちのほろ苦い青春をコミカルに描いている。芸能界の虚飾、ファンの移ろいやすい心理、そして何より少し古ぼけた色調の映像でこの時代の雰囲気を忠実に再現する。

 歌手を夢見て家出をしてきたミクは男装しミックという名に改名させられた上、マサオ、シュン、ケンタの3人とバンドを組みタイツメンという名でデビューする。やがて、グループにファンがつき始めるが、中性的な魅力を持つミックの人気が絶大になってくる。

 夢は日劇ミュージックホールの舞台に立つこと。その目標があるからこそ、レコード会社の人間が本人たちの意向を無視して決めた扮装にもメンバーにも強く反対しない。ところが売れ出してくると、むしろ現状に戸惑っている。有名になり注目されることの陶酔感と、現実感のなさ、いつまでも人気が続かないことも分っている。タイツメンは元々、アマチュアの域を出ていないのに、世間の需要にあわせるためにレコード会社が無理やり作ったユニット。リーダーのマサオだけは 4人をまとめながらも冷静に自分たちのポジションを分析している。それでもタイツメンという、自分たちの人生に突然降りかかってきたお祭り騒ぎを精いっぱい生きようとしている姿がまぶしい。

 ミックが女であることを隠してファンを騙し続ける。ファンも薄々気付きながらあえて楽しんでいる。そんな「お約束」が堂々とまかり通っている芸能界の体質。バレたらバレたで、またそれも商売のネタにしてしまうずうずうしさ。そのカラクリを作り出す弱小プロダクションの社長とレコード会社社員のノリの軽さと、タレントを消耗品のように扱う冷たさも非常にリアルに描かれていて、盛りだくさんな内容は最後まで飽きさせなかった。

福本次郎

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