すべてが過剰でけれん味たっぷり(55点)
すべてが過剰でけれん味たっぷり。独特の世界が広がる歴史異聞だ。秀吉が天下人として君臨する時代、世間を騒がせた義賊・石川五右衛門の壮絶な戦いを、驚きの設定で描く。秀吉、三成、霧隠才蔵に服部半蔵が追うのは南蛮製の箱に入った信長暗殺の秘密。徹底的にデジタルにこだわった映像はCGの申し子・紀里谷和明の得意とする世界だ。豪奢で異国風の文化が花開いた安土桃山時代の狂乱の表現に全力を注いでいる。現実離れした映像と懲りすぎの人物像は、リアリティを失ってなんぼだが、濃いキャラの中で広末涼子だけが映像に負けている。石川五右衛門がいいキャラすぎるのはつまらないが、一種のパラレル・ワールドと思ってしまえば楽しめよう。
(渡まち子)