g@me. ゲーム - 前田有一

不人気な原作を選んだ事が成功の要因(60点)

 日本を代表するといってもいい実力派推理作家、東野圭吾原作の、恋愛サスペンス。

 ……といっても、原作は決して恋愛ものではない。奇抜な構成のミステリで、結末一発逆転系の話である。それを今回の映画化にあたって、恋愛要素をメインにして構成しなおしたと言うわけである。

 本来、こうした「原作を大きく変える」パターンは、失敗する事が多い。原作に思い入れのあるファンの反感を買いやすいし、熟考を重ねた完成度の高い小説を、安直に映画で変えれば、上手くいかないのは当然である。

 ところが今回は、2つの理由から、なかなかの成功を収めたといってよい。以下で説明しよう。

 まず1つめ。それは、「この原作は、まったく人気がない=思い入れのあるファンがほとんどいない」という事である。東野圭吾の作品の映画化は、今回『秘密』に続いて2度目だ。だが『秘密』は、本作とは違って誰もが認める東野圭吾の代表作であり、傑作だった。結末に賛否両論はあれど(私としても好きなラストではないが)、あれが素晴らしい小説である事に異論はないだろう。だからこそ、広末涼子主演の映画版は、原作に比べればあまりに薄っぺらく、貧相な出来だと感じるのだ。

 ところが、『game』の原作『ゲームの名は誘拐』は、ファンの間では「東野にしては平凡」という評価なため、この程度の映画版の改変に反感を持つ人など、恐らくいないと想像されるのである。これで、「原作読者の反感」についての問題が解決した。

 次に二つ目。それは、主演の二人がとても良いという事である。仲間由紀恵も藤木直人も、こうした軽いタッチの恋愛ドラマにはぴったりの配役だ。とくに仲間由紀恵は、美形な上にコメディも出来る「感じの良さ」があるので、下手をすると藤木の女性ファンからも好かれるのではなかろうか。そういう女優というのは、恋愛ドラマにとっては貴重な存在だ。

 そんなわけで『ゲーム』は、原作とは多少違った映画になっているが、意外と悪くない。恋愛モノに変わったとはいっても、東野原作らしい見事などんでん返しも残っているし、気軽に見れるドラマとして、平均以上にしあがっている。

前田有一

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