G.I.ジョー - 岡本太陽

◆地上最悪のエキスパート・チーム!(20点)

 今年の夏の超大作映画において、『スター・トレック』はファンを納得させる出来で大ヒット、『トランスフォーマー』は前作を上回るド派手さが映画を記録的大ヒットに導いた。これらの映画は基となるTVシリーズやフィギュアを新しい世代のために現代的要素を取り入れ上手に興行的に成功した良い例であろう。そこへ来て、期待されていた実写映画『G.I.ジョー(原題:G.I.JOE: THE RISE OF COBRA)』はまるで悪夢。これを公開する事にOKが出たのかさえ謎だ。本作は米TVアニメ「地上最強のエキスパート・チームG.I.ジョー」を基にしているが、特にアニメを観て育った世代が泣いている姿が目に浮かぶ。

 「G.I.ジョー」と言えば、アメリカでは知らない人はいない程有名なアクションフィギュア。それが派生した形で、アニメが作られ、今回実写映画化がなされた。それは『トランスフォーマー』と全く同じ派生の仕方である。フィギュアは1964年、玩具メーカー・ハズブロからの発売以来、それぞれの世代がカッコイイと思う見た目へのこだわりのため、時代と共に現在もなお変化し続けている。それゆえに『スター・トレック』同様、幅広い層に人気があるまさにアメリカの国宝級の発明品なのだ。

 この実写版の基となっているアニメは1985年から1987年までTV放映されたもので、世界征服を目論む「コブラ」という組織に米軍特殊部隊のG.I.ジョーが対抗する物語。映画では、デストロことクリストファー・マッカラン(クリストファー・エクルストン)が最強兵器・ナノマイトを開発したところから始まる。しかし、その兵器がコブラの手に渡ってしまった事で、司令官ホーク(デニス・クエイド)の指揮の元、デューク(チャニング・テイタム)をリーダーにG.I.ジョーが彼らを阻止しようと試みる。

 『ハムナプトラ』のスティーヴン・ソマーズが監督を手掛ける本作はアニメのストーリー展開に超合金スーツや近未来的武器を取り入れたもの。戦争色を強く出す事を躊躇しているため、真面目に観るのは不可能。よって、アニメ同様映画も子供向けという事になる。それでいて、物語の中で巨大な出来事が起こっている中で、キャラクター達の個人的な思惑が交錯し続けるのが鼻につく。

 雰囲気的には同じくパラマウントピクチャーズ配給の『スター・トレック』と類似する部分もあるのだが、致命的な脚本とミスキャスティングはファンに対する侮辱でしか他ならない。主人公に扮するチャニング・テイタムは台詞棒読み、そしてインディ映画界の美しい女優シエンナ・ミラーや若き才能ジョセフ・ゴードン=レヴィットは彼らの魅力が打ち消されるという結果をもたらしている。韓国スターのイ・ビョンホンにはこれからの為に良い宣伝になっただろうが。スタジオ的にはほんとうにこの出来で良かったのか。続編を見込んでのエンディングだが、早急なる改善が必要である。

岡本太陽

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