◆ド派手で迫力満点(75点)
人気アクション・フィギュアから生まれたTVアニメ『地上最強のエキスパートチーム G.I.ジョー』に基づいて実写映画化されたアクション作品。
癌治療薬としてNATOが開発した緑色の化学物質ナノマイトは、金属をも溶かしてしまうとてつもない性質を持っている。これを凶悪なテロリスト集団コブラに強奪されてしまう。コブラの悪行が世界各地を襲撃している中、アメリカ政府が最後の切り札として世界中の精鋭を集めた国際機密G.I.ジョーを送り込む。特殊なハイパースーツを身に付け、様々なガジェットを駆使してコブラと激しいバトルを繰り広げる。
監督は『ハムナプトラ』シリーズのスティーブン・ソマーズ。製作スタッフは同じく人気のおもちゃの実写化である『トランスフォーマー』シリーズのチームである。
開巻直後に凄まじい爆撃戦が展開され、ここで観る者を存分に楽しませてくれる。とにかくド派手で迫力満点の一言に尽きる。その後も中盤あたりではパリの市街地を舞台に壮絶なカーチェイスが繰り広げられる。このシーンはアクションの最大の見せ場でもあり、とにかくスピーディーに描かれていてテンポはすこぶる良い。車は横転、クラッシュ、さらには爆破も観られる。トドメとしてエッフェル塔の倒壊シーンに突入し、これがまた観る者を驚愕させ、スケールの大きさを倍増させる。他にも本作でハリウッド映画進出を果たした韓流スターのイ・ビョンホン扮する白ずくめの忍者っぽい敵ストーム・シャドーとのキレ味抜群のソードアクションや、VFXを駆使した刺激的かつ荒唐無稽なハード・アクションが思う存分に楽しめる。見応えはかなり最高であり、これだけでも観る価値は大アリだと断言できる。
キャストも良い味を出している。G.Iジョー側は、主人公デューク役のチャンニング・テイタム、女戦士スカーレット役のレイチェル・ニコルズ、デュークの相棒的存在リップ役のマーロン・ウェイアンズが得意のコメディー要素を活かしてコミカルに演じ、司令官ホーク役のデニス・クエイドが渋いイメージで演じた。コブラ側は、先述したイ・ビョンホン、セクシーかつクールなイメージで女性悪役バロネスをシエナ・ミラーが演じ、登場人物の中でも一番美味しくて印象深いと言える。
人気のおもちゃの映画化と言えば、最近第二弾が公開された『トランスフォーマー』シリーズが有名だが、古くはドルフ・ラングレンの『マスターズ超空の覇者』もそうであった。アメコミの実写映画化が多く製作される中、今後はこの手のトイムービーというものが多く製作されることだろう。
(佐々木貴之)