1位. シッコ
◆今度は世の中を変えられるか?
マイケル・ムーア監督の最新ドキュメンタリー「シッコ」は、期待を上回る物凄い映画であった。
左翼活動家兼ドキュメンタリー作家として社会問題を追い続ける彼の今回のテーマは「アメリカの健康保険制度」。先進国の中で最悪といわれる、悪名高いかの国の制度について、まずはなぜひどいのか、実例を示すところから映画は始まる。
2位. それでもボクはやってない
◆すべての男が見るべき大傑作
2006年の総評でもちらと触れたが、昨年私が見た数百本の映画の中で、もっとも面白かった映画がこれである。痴漢冤罪という、誰にでも実感できる切り口で日本の刑事裁判の抱える問題点を描いた社会派映画。しかしながら堅苦しさはゼロで、娯楽度満点。先が気になる度がきわめて高いストーリーと、へぇ連発のディテール。どこをとっても完璧に限りなく近い、まさしく年度を代表する傑作といえる。
主人公のさえないフリーター(加瀬亮)は、満員電車から降りたとたん女子中学生に手首をつかまれた。駅員室に連れて行かれた彼は、覚えのない痴漢を頑強に否定。すると警察がやってきて留置され、そのまま裁判を闘うことになるのだった。
3位. ハッピーフライト
◆全日空全面協力の、かつてない飛行機映画
『ウォーターボーイズ』(2001)、『スウィングガールズ』(2004)と続けてヒットを飛ばした矢口史靖監督は、この最新作では飛行機を飛ばすことになった。取材の過程でマニア級の飛行機好きになった監督としては、前二作とは趣の相当異なる、そして邦画には珍しい「一般ウケするオタク映画」を作り上げた。
ここで本来あらすじを紹介するのだが、この映画の場合は必要ない。『ハッピーフライト』は群像劇の形を取っているが、ストーリーを楽しみにいく作品ではない。一機の旅客機が飛び立つまでに、いったい空港や管制塔の裏側では何がおきているのか。どんな人がどんな仕事をしているか多岐にわたって追いかけるという、その一点に注力した作品なのだ。
4位. ファーストフード・ネイション
◆ダイエットに最適な映画
ハンバーガーやフライドポテトが大好きなお子さん、もしくはメタボ気味の旦那様をもつ奥さんは、迷わずこの映画に連れて行くとよい。これを見終わってもまだ食べたいというならば、それはもはや病気だ。
5位. ハリウッド監督学入門
◆メモ片手にみたい、映画業界裏話
ハリウッドと日本の映画作りにおける違いに興味がある人にとって、『ハリウッド監督学入門』はとても楽しいドキュメンタリーとなるだろう。
6位. ブラッド・ダイヤモンド
◆世界史最上級のタブーに切り込んだ勇気ある一本
ダイヤモンドという宝石は希少で高価かつ透明に輝くピュアなイメージで、世界中の女性の憧れとされてきた。しかしその一方、採掘現場では奴隷同然の過酷な労働がまかり通っていたり、一部はテロリストたちの資金源でもあるという闇の部分も厳然と存在する。ダイヤモンドの原産地のほとんどで内戦など武力紛争が起きているのは、もちろん偶然ではない。
7位. 受験のシンデレラ
◆本格受験指南ムービー
『受験のシンデレラ』は、異業種監督が最初に作るべき映画の見本のような作品である。
8位. パラダイス・ナウ
◆テロリスト最後の一日
『パラダイス・ナウ』は、私たちがいわゆるテロリストと呼んでいる存在、とくに自爆テロを行う人間が、最後の一日をどう過ごすかを詳細に描いた異色のドラマだ。
9位. チャーリー・ウィルソンズ・ウォー
◆トム・ハンクスの新作は、世界を変えたエロ代議士のお話
"事実は小説より奇なり"というが、こと政治テーマにおいてはその"小説より奇なる事実"さえ、疑ってかかる必要がある。
10位. 食の未来
◆食の安全性を徹底追求したドキュメンタリー
賞味期限や産地の偽装が一段落したと思ったら、テラ豚丼やらケンタッキーフライドゴキブリといった問題が持ち上がっている。どちらもKYなアルバイト店員の悪ふざけが、ミクシーやニコニコ動画といった巨大サイトを通じてネット上で広まったニュースだ。日本のフード業界は、もはや最上位の料亭から最底辺のファストフードまで、腐敗しきってしまったのか。
当サイト、人気批評家「前田有一氏」の監修にてランキングを作らさせて頂いております。













