警備犬訓練所という、ほとんどスポットが当たらない警察組織が新鮮だ。(点数 40点)
(C)2011「DOG×POLICE」FILM PARTNERS
わずかな火薬のにおいをかぎ分け、怪しい人物には容赦なく飛びかか
る。いまやテロリスト対策に欠かせない存在となった警備犬。映画は、
正義感ゆえについ暴走する若き警官と劣性遺伝で体力の劣る警備犬の
関係を通じ、本当の仲間とは、信頼とは何かを問うていく。一方で人
間と犬、規格に馴染まない者同士が固い絆で結ばれる中で強力な化学
反応を起こしていく姿が楽しめる。警備犬訓練所という、ほとんどス
ポットが当たらない警察組織が新鮮だ。
【ネタバレ注意】
警備犬を訓練するセクションに異動になった早川は、警視庁内で“イ
ヌ屋”と呼ばれ同僚から見下されている部署に気が乗らない。ある日、
出産に立ち会い命を吹き込んだ犬・シロをバディにあてがわれる。
「“イヌ屋”なんて」と思っていた早川がいつしかシロとの任務に誇
りを覚えていく過程が“職業とはなにか”という問いかけになってい
て、彼らを通して与えられた仕事をきちんとこなすことの大切さを教
えてくれる。
並行して連続爆弾テロが発生するが、その展開が非常に稚拙で、市原
隼人やシロの魅力を引き出しているとは言い難い。もう少し、警察と
犯人側の知恵比べとそこに警備犬がどうかかわるかを煮詰めたストー
リーにしてほしかった。それにしても登場する犬たちの知能の高さに
は驚かされる。少なくともすぐに頭に血が上る主人公よりは賢く見え
た。
(福本次郎)