鬼殻村 - 小梶勝男

◆知られざる未公開映画の世界。日本的な伝説にゾンビのテイストを加え、「ブレアウィッチ」的な手法で撮ったゾンビ・スプラッター(55点)

 劇場公開されず、DVDのみで発売されるような自主制作、インディペンデントの作品の中にも、意外に面白かったり、驚かされたり、呆れたり、マニア心をくすぐられたり・・・・とにかく、無視するには惜しいものがある。「B級」どころか、時には「Z級」かも知れない作品群だが、そこにも映画の楽しさは確実に存在する。そんな作品を少しでも伝えたいというのも、「映画ジャッジ!」に参加した理由の一つだ。もちろん、劇場公開作と比べ、予算も人手も時間もかけられていないので、同じように評価は出来ない。そこで、<未公開作としての評価>と明記して点数を付けることにした。「知られざる未公開映画の世界」を少しずつ紹介していきたい。

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憑依 - 小梶勝男

◆「ホラー映画向上委員会」第1回上映作。日本的な恐怖を描いて、自主映画としては驚くほど出来がいい。(85点)

 今年8月、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)のホラー映画コミュニティで知り合ったファンらが「ホラー映画向上委員会」というグループを結成した。名前の通り、ホラー映画の地位向上のため、良質のホラーを選んで上映するのが目的だ。

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ビッグ・バグズ・パニック - 小梶勝男

◆B級映画らしい面白さの中に、Z級映画のバカバカしさが顔を出し、意外に楽しめるSFコメディー(66点)

 本作は元々、超低予算で撮影する予定がどんどん規模が膨らんでいったという。結果、大作とはいえないがそれなりの格好になった。もっとも、Z級がB級になった程度ではある。だが、Z級らしいバカバカしさが消えずに残っているのがかえっていい。それがスパイスとなって、独特のテイストに仕上がっている。

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パーフェクト・ゲッタウェイ - 小梶勝男

◆ハワイを舞台にしたミラ・ジョヴォヴィッチ主演のサスペンス・アクション。ウソが本当に、本当がウソになる逆転が見事(72点)

 この映画に関しては、何を書いてもネタバレしてしまいそうだ。一部に熱狂的なファンがいる「ピッチブラック」のデヴィッド・トゥーヒー監督らしい、凝ったストーリーには感心させられた。

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マッハ!弐 - 小梶勝男

◆「マッハ!」「トム・ヤム・クン!」でアクション映画の歴史を変えたトニー・ジャーが、今回も人跡未踏の領域に踏み込んだ。次々と繰り出されるアクション場面は圧倒的に凄いが、これは「前編」に過ぎない。話が完結していないのだ(88点)

 トニー・ジャーは、ジェット・リー、ジャッキー・チェンと並び、現代のアクション俳優の中で最高峰の一人だろう。「マッハ!」(2003)「トム・ヤム・クン!」(2005)の両作では、これまで見たことがないハイレベルなアクションに、本当に驚いた。この新作は、「マッハ!」の続編のようなタイトルだが、前作と話は別物だ。今度は、日本人町があり、山田長政も住んでいたというあのアユタヤ王国(1351?1767)の時代が舞台で、クンフー映画だが歴史ファンタジーの要素もある。

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カールじいさんの空飛ぶ家 - 小梶勝男

◆ピクサー初の3D作品だが、3Dで見る意味は余りない。カールじいさんが風船で空飛ぶ旅に出るまでがセンチメンタルでとてもいい(73点)

 ピクサー初の3D作品を、字幕、3Dで見た。結論から言って、本作を3Dで見る必要はないと思う。余り飛び出さないし、奥行きもそれほど感じなかった。むしろこの内容であれば、3Dメガネを外して2Dでじっくり見た方が良いだろう。

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監獄島 - 小梶勝男

◆アメプロのスーパースター、ストーン・コールドの初主演作。B級映画の美味しそうなにおいはするものの、味は今一つ(64点)

 アメリカン・プロレスのスーパースター、"ストーン・コールド"スティーブ・オースチンの初主演作は、孤島が舞台のアクション映画だ。世界中の刑務所から集めた10人の死刑囚を絶海の孤島で戦わせ、インターネット放送で中継する。死刑囚たちは足に時限爆弾を装着されている。タイムリミットは30時間。その間に他の9人を殺し、最後の1人になった者だけが、自由の身になれるという。

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ゼロの焦点 - 小梶勝男

◆広末涼子はミスキャストだが、犬童監督が見せる演出の「奇手」は素晴らしい(73点)

 戦後64年が過ぎて、昭和も遠くなった。我々の年代なら僅かにリアリティを感じられるストーリーも、今の若い世代にどれだけ実感として伝わるのか疑問だ。松本清張の原作自体が、もはや時代遅れなのかも知れない。さらに、本作は犯人が途中で分かってしまい、推理ものとしての面白みは余りない。むしろ、犯人の動機に焦点が当てられる。それが社会派推理と言われる所以だ。動機がテーマだとすると、クライマックスは回想場面になりがちだ。映画としては構成が難しい。この難問に、犬童一心監督は驚くべき「奇手」で答える。それは実に鮮やかな手で、本作の面白さは全てそこにある。

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シャネル&ストラヴィンスキー - 小梶勝男

◆シャネルのファッションで全てが彩られた絢爛たる世界。ストラヴィンスキーもシャネルの世界の構成物の一つに過ぎない(80点)

 人物としてのココ・シャネルと、ファッションとしてのシャネルは、どちらが先なのだろうか。無論、普通に考えれば人物としてのシャネルが先に違いない。だが我々は、直接的にも、同時代的にも、ファッションとしてのシャネルは知っているが、人物は知らない。すでにこの世のものでない人物に到達するためには、ファッションを介するしか方法がない。我々にとっては、ファッションが先なのである。

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パブリック・エネミーズ - 小梶勝男

◆実在の銀行強盗ジョン・デリンジャーをジョニー・デップが演じるアクション。恋人ビリーとのロマンスやFBIとの戦いが実録タッチでテンポよく描かれるが、主人公が魅力に乏しい(67点)

 とてもいい場面があった。逆光の中で、撃たれた男の最後の息が一つ、闇の中に白く浮かび上がる。それきりで白い息はとだえ、男が死んだことが分かる。マイケル・マン監督らしい、凝った映像だった。この白い息の鮮明さは、デジタルならではだろう。

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真幸くあらば - 小梶勝男

◆死刑囚とボランティアの面会者の恋愛を極めて真面目に描きつつ、ラストは非常に珍妙で、その落差はカルト映画化しそうなほどだ(67点)

 見終わった後、唖然としてしまった。余りにヘンテコな展開に驚いたのだ。本作はカルト映画化するかも知れない。見る前の作品のイメージからは想像出来ないような、とても変な話なのだ。極めて真剣に、切ない恋愛が描かれているが、その先に待っているのは、笑うに笑えないような珍妙な結末だ。

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ジャック・メスリーヌ フランスで社会の敵No.1と呼ばれた男 Part2 ルージュ編 - 小梶勝男

◆Part1よりも展開が派手なPart2。メスリーヌの最後の女を演じたリュディヴィーヌ・サニエが魅力的(73点)

 本作については「Part1」のレビューであらかた書いてしまったので、そちらも参照していただきたいが、どちらが面白いかと聞かれたら、「Part2」の方が面白いかも知れない。メスリーヌがすでに有名になってからの話なので、こっちの方が派手なのだ。ライバルの警視との戦いもあって、ラストに撃ち殺されるのは分かっていても、なかなかハラハラする。

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ジャック・メスリーヌ フランスで社会の敵No.1と呼ばれた男 Part1 ノワール編 - 小梶勝男

◆ヴァンサン・カッセルが実在の犯罪王、ジャック・メスリーヌを熱演したギャング映画。Part1、Part2合わせて4時間を超える大作だが、複雑な男の半生を淡々と描いて見応えがある(73点)

 実在したフランスの犯罪王、ジャック・メスリーヌ(映画の中で本人は「俺はメリーヌだ」と怒っていたが)の半生を描くドラマ。Part1、Part2、2本合わせて4時間を超える大作だ。だが、4時間をかけた意味はあったと思う。冒頭、「一人の人間のすべてを描くことは出来ない」云々と字幕が出るが、これが本作のテーマだろう。メスリーヌの様々な面を描くことで、一人の男の複雑さ、矛盾した存在が表現されていて、そこにドラマとしての面白さがあった。

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大洗にも星はふるなり - 小梶勝男

◆テレビの深夜番組としては面白いかも知れないが、映画館で見るにはちょっとキツいコメディー。山田孝之の怪演が見どころ(64点)

 映画とテレビの違いは何だろうか。数年前から、いつも考えている。「フレフレ少女」の渡辺謙作監督にインタビューしたとき、聞いてみると、映画では観客は集中して見ているので、説明しすぎるとキツいという。だから、もう少し見せてもいい、というところの手前でカットを割るのだと言っていた。「フレフレ少女」はその言葉通り、映画らしい映画になっていたと思う。

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百万円と苦虫女 - 小梶勝男

◆タナダ監督のリアリズムと蒼井優の奇跡的な美しさ(90点)

 現時点では、蒼井優にとっても、タナダユキ監督にとっても代表作だろう。基本的にはコメディーだが、かなり苦い部分もある。前向きな女性ではなく、むしろ後ろ向きな女性を主人公にしたところが実にユニークだ。そこにタナダ監督の独特のリアリズムが感じられる。

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