◆タイトルはシリアス風だが実は爆笑スプラッターホラー。後半の残酷描写はかなり派手で、笑える場面もたくさんある。この手の映画が好きな人にはお薦めだ(66点)
本作は「高名な霊媒師」の忠告によって、マスコミ試写を行わないという。じゃあどうやって見たのかというと、単にサンプルのDVDを取り寄せたのだが、子供っぽいギミックが、何だかワクワクするではないか。珍しい北欧ノルウェイのゾンビ映画で、「ノルディックホラー」を謳い、チラシには「ノルディック呪いディック」なんて書いてある。ダジャレとしては苦しいが、とにかく楽しそうな雰囲気は伝わってきた。
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◆ブレイクダンスの世界大会を追ったドキュメンタリー。各国のチームが見せる超絶技巧が素晴らしい(66点)
ブレイクダンスには全く関心がなかった。そういえば流行ったときもあったなあ。その程度だった。しかし、本作には圧倒されてしまった。ドキュメンタリーとしてはごく普通の撮り方だが、ブレイクダンス自体が凄いのである。テレビなどで昔見たブレイクダンスからは格段に進化して、全く別物になっている。こんなにテクニックが高度で、様々な文化を取り入れて、パワフルで、繊細で、そして自由なダンスだったのか。目が覚める思いだった。
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◆ジェームズ・キャメロン監督が3Dの歴史を変えるといわれたSFアクション。「映像革命」は本当だった(93点)
日本中のシネコンが今年、急ピッチでデジタル3D施設の整備を進めてきたのは、本作のためだと言っても大袈裟ではないだろう。ジェームズ・キャメロン監督が構想に14年、製作に4年を費やしたという「アバター」は、単なる3D映画ではなく、「映像革命」だと伝えられてきた。果たして「革命」は成功したのか? 答えはイエスだ。
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◆中山美穂が12年ぶりに主演し、夫・辻仁成の原作で激しいラブシーンを演じた話題作。イ・ジェハン監督は単なる恋愛映画とせず、中山美穂を戦後日本が失った「夢」の象徴として描いているところがいい(80点)
古いホテルには、「魔物」が棲み着くものだ。
本作は恋愛映画に違いないが、どこかファンタジーのようにも思える。中山美穂が演じる主人公・沓子の存在が、余りに非現実的なのだ。バンコクのオリエンタルホテル(旧ザ・オリエンタル、バンコク)のスイートルームに住み続け、いつまでも男を待っている女。浮世離れしていて、すべて男の幻想ではないかと思えるほどだ。この幻想味こそ、本作の最大の魅力であり、監督のイ・ジェハンはじめ韓国の手練れのスタッフが、すべて中山美穂のために作り上げた仕掛けだ。12年ぶりの映画主演となる中山は、幻想のマジックの中で光り輝いている。
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腐女子 - 小梶勝男
◆WHDジャパンのオリジナル・ホラー第3弾。本当に“腐って”いく女と子供の話(40点)
「腐女子」というと、男同士の恋愛を描いたマンガや小説を好む女子のことだが、本作の場合は、本当に「腐っていく女子」の話である。しかし、このタイトルには二重にトラップが仕掛けられていて、最後にニヤリとさせられる。
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◆90年代の音楽業界を、愛情を込めて描いた佳作。映画初出演の赤西仁が軽薄だが憎めないロッカーを好演している(73点)
若い頃、誰でも音楽に夢中になった経験があるだろう。自分自身のそんな時代を思い出させてくれる作品だった。
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彼岸島 - 小梶勝男
◆絶海の孤島で高校生たちが吸血鬼と化した島民たちと戦うサバイバル・アクション。様々な要素が入り交じった内容で、アクションやCGは今ひとつだが、娯楽映画の王道は外れていない(64点)
本作は「火山高」で知られるキム・テギュンを監督に迎えてはいるが、松本光司のマンガが原作。舞台が日本で、監督以外のキャスト、スタッフも日本人なので、日本映画と考えていいだろう。タイトルからはホラーをイメージするが、アクションの印象が強い。宣伝文句の通りだが、「サバイバル・アクション」というのがピッタリだ。
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◆東京スポーツのトンデモ1面記事を映画化したらこんなふうになるだろうか。“記録映像”と再現映像を並べて見せる手法が面白い(65点)
東京スポーツに載った宇宙人の死体写真やゴム人間の記事を見て、新聞なのにウソを書くなと怒る人は無粋だろう。もし本作を見て怒る人がいたとしたら、同じように無粋だと思う。本作の"記録映像"の真偽については、この際、考えても意味がない。ただ、騙される楽しみを失わないためにも、あくまでも「超常ドキュメンタリー」として見るべきだろう。
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◆「ユーロ・トラッシュの帝王」ジェス・フランコのゾンビ映画。ユーロ・トラッシュとは何かを知るには格好の作品(20点)
最近、ヨーロッパのZ級映画を「ユーロ・トラッシュ」と呼んで再評価する傾向がある。言葉はお洒落な感じだが、要するにヨーロッパのクズ映画というわけだ。その代表格として有名なジェス・フランコ監督が1981年、当時のゾンビブームに乗って発表したのが本作。A・M・フランク監督との表記もあるが、フランコの変名の一つだ。「オアシスゾンビ」としても知られている。当然ながら日本で劇場公開はされていない。
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◆「トワイライト~初恋~」の続編。基本的にはラブ・ロマンスで、アクションやホラーの要素はスパイスに過ぎない。延々と恋に悩む女子高生は十分に描かれているが、それ以上のものはない(62点)
学園ラブ・ロマンスが60%、アクションが30%、ホラーが10%ぐらいの配分だった前作「トワイライト~初恋~」に比べ、続編の本作は、「学園」がとれてラブ・ロマンスが80%、アクションは18%、ホラーが2%くらいの配分になってしまった。まあだいたいの印象ではあるが。従って、アクションやホラーを期待して見るとガッカリするかも知れない。それらの要素は、作品中にも出てくる「ロミオとジュリエット」のような「一緒になりたいけどなれない」という古典的ロマンスのスパイスにしか過ぎない。
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◆サムライ、ブラックカルチャー、SFの融合が生み出す独特の世界。宮崎駿とは違う、もう一つの「世界標準」の日本アニメ(79点)
1970年代、ブルース・リーのクンフー映画や「座頭市」「子連れ狼」シリーズ、JJサニー千葉(千葉真一)の東映空手映画などをアメリカで最初に受け入れたのは、グラインドハウスに集まるハーレムの貧しい黒人たち(とタランティーノ)だったという。銃器を使わない生身のアクションやサムライのバイオレンスに満ち満ちた世界は、黒人たちにとって「クール」と映ったようだ。クンフーやサムライ映画とブラックカルチャーは、どこかで通じ合うものがあるのかも知れない。
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◆女子高生対狂女。ブレブレの手持ちビデオキャメラの映像に妙なリアリティーを感じさせられる(50点)
タイトルからしてZ級のにおいがプンプンしているが、本当にバカな映画だった。まずはDVDのジャケット。よくあることだが、映画と全く関係なし。美人でかっこいい女子高生たちが並んでいるが、本編には誰一人として、一切出てこない。
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◆ロバート・ゼメキス監督の3Dアニメーション。デジタル3Dとパフォーマンス・キャプチャーの技術が見事に生かされた映像が素晴らしい(80点)
デジタル3D技術に最も適しているのは、モーション・キャプチャーであると思う。実在の人物や物の動きをそのままアニメーションにする技術だ。実写とアニメの中間ともいえる。実写の3Dもかなり進歩したが、まだ違和感がある。変に飛び出すものを強調する映像ばかりになってしまったり、深刻な場面などで人物の腕がにゅっと前に出てくるのがおかしかったりする。逆にアニメーションの場合、3Dと親和性が高すぎて目立たない。最近のアニメは2次元のものを立体的に見せる3Dアニメ(ややこしいが、メガネをかけて見る立体映像のことではない)が主で、2Dでも立体的に見えるので、3Dの効果が今ひとつ分かりにくいのだ。
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◆想像を超える最低映画。見どころは一つもないとも言えるし、驚きの連続とも言える。なぜか見た後、幸せな気持ちになってしまった。(35点)
「見たら頭が痛くなる」「目がチカチカする」などとウワサを聞いていたが、幸いそのような症状は出なかった。しかし、唖然としてなぜか多幸感に襲われ、寝付きが悪くなってしまった。1953年製作のモノクロ映画で、監督はフィル・タッカー。音楽はエルマー・バーンスタインだが、勿論、「大脱走」などを作曲したあの人とは別人だ。本当に安いテイストで、ジャケットに「チープSF代表作」とあるが、まさにそんな感じだ。
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◆人々が身代わりロボット「サロゲート」に自分の体験を代理させることで、「なりたい自分」になれる近未来を描いたSFサスペンス。ブルース・ウィリスの「なりたい自分」がふさふさの金髪というのが可笑しい(71点)
ブルース・ウィリス主演のSFアクションというと、リュック・ベッソンの「フィフス・エレメント」(1997)のような大作を予想するが、本作の上映時間は最近の映画では珍しく1時間29分しかない。ぎりぎり1時間半を切っているのである。CGによる派手な特撮場面もあり、B級というには規模が大きいが、よくある大味なSF大作とは違って、キリッと引き締まった作品になっている。監督はジョナサン・モストウ。「ターミネーター3」(2003)も大作にもかかわらずB級映画的なディテールに面白みのある作品だった。そんなモストウの持ち味が発揮された佳作。
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