インビクタス/負けざる者たち - 小梶勝男

◆クリント・イーストウッド監督、モーガン・フリーマン主演で南アフリカ初の黒人大統領ネルソン・マンデラを描いたドラマ。イーストウッドやフリーマンのメッセージは伝わってくるが、ドラマとしての面白みには欠ける(73点)

 冒頭、マンデラ大統領(モーガン・フリーマン)がボディガードとともに朝の散歩に出る。まだ暗い中、官邸の近くを歩くが、いつ狙われるか分からない。ただならぬ緊張感が漂い、自動車の走る音が近づいてくると、それは頂点に達する。

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金瓶梅 - 小梶勝男

◆中国四大奇書の一つ「金瓶梅」の映画化。香港映画だが、日本のグラビアアイドルやAV女優ら4人が出演している。ワイヤー・ワークを使い、セックスとカンフーを組み合わせた「カンフー・セックス」が珍妙な見もの。人気力士・高見盛の恋人と言われているタレント松坂南が森川由衣の名前で出ているのではないか? といわれているのも話題だ(55点)

 現実的な意味合いでは、アダルトビデオが普及して以来、ポルノ映画の役割は非常に小さくなったと言わざるを得ない。性的興奮のみを求めるのであれば、ビデオやDVD、オンラインで鑑賞出来るAVで十分であり、わざわざ映画館にポルノを見に行く意味はないからである。しかし、本作は気になって仕方ない。前代未聞のカンフー・セックスが描かれているというからだ。クンフー映画好きとしては、これも見ておかなければ、と思ってしまった。

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抱擁のかけら - 小梶勝男

◆スペインのペドロ・アルモドバル監督が「ボルベール<帰郷>」に続きペネロペ・クルスと組んだ秀作。映画を再編集することによって、人生を取り戻す男の物語(89点)

 スペインには仕事で2度行ったことがある。最初は2003年。カルモナ、セビリアなどアンダルシア地方を巡り、2度目は2004年、マドリッドとクエンカを旅した。太陽の光が違うとこうまで違って見えるのだろうか。影が余りにも濃くて、「漆黒」と呼んでいいほどの黒さなのに驚き、白はどこまでも白く、赤はどこまでも赤いという、見るもの全ての色の鮮やかさに驚いた。人々は朝から酒を飲んでいたりして余り働かず、一見、暢気で楽天主義のように見えたが、夜中まで飲み、歌い、踊る、度外れてエネルギッシュな姿には、陽気を通り越して、そうでもしなければ一日を、さらには人生を終えることが出来ないという、深い絶望も感じられた。

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霜花店 - 小梶勝男

◆R-18のレイティング、つまり成人映画にもかかわらず、韓国で累計400万人の観客を動員したという大作時代劇。男と女、そして男同士のベッドシーンの描写は相当に激しい。特に男同士の場面は、慣れていないせいか、ちょっと見ていられないほど生々しく感じられた。だが、それが単なる扇情的な見世物としてではなく、主人公たちの運命や、微妙な感情の表現になっているのが見事だった(72点)

 舞台は1350年代後半、高麗31代目の王の時代。王(チュ・ジンモ)は王妃(ソン・ジヒョ)と政略結婚したものの、女に興味がなく、幼い頃から一緒だった近衛隊長ホンニム(チョ・インソン)を寝所の相手としていた。世継ぎを必要とした王は、寵愛するホンニムに王妃を妊娠させようとする。ホンニムと王妃は王の命令で体を重ねるうち、本気で愛し合うようになり、王は激しい嫉妬を覚える。

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サベイランス - 小梶勝男

◆カルトの巨匠、デヴィッド・リンチが製作総指揮、その娘ジェニファー・リンチが「ボクシング・ヘレナ」(1993)に続いて監督したサスペンス・ミステリー。全編を漂う異様なムードはまさに父親譲りだ(81点)

 あらゆるジャンルの映画のオールタイム・ベスト10を選ぶとしたら、デヴィット・リンチの「マルホランド・ドライブ」(2001)は必ずその中に入れることになるだろう。その娘の作品として期待は大きかったが、裏切られなかったのがうれしい。デヴィッドほどではないにしても、映像に圧倒的な力があるのだ。

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ゴールデンスランバー - 小梶勝男

◆首相暗殺の濡れ衣を着せられた男の逃亡劇だが、同時に青春映画でもある。ストーリーはとても面白いが、映画ならではのダイナミズムに欠けるのが惜しい(80点)

 タイトルはビートルズの同名曲で、作品のテーマにもなっている。2時間20分近い上映時間は、あっという間に過ぎた。間違いなく、面白かったのである。しかし一方で、「見応えのある映画を見た」という満足感が今ひとつ感じられなかったのは何故だろうか。

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パラノーマル・アクティビティ - 小梶勝男

◆超低予算で作られたにもかかわらず、驚異的な成功を収めた奇跡のホラー。Jホラーの方法論を上手く取り入れていて、確かに怖いが、それ以上のものはない(70点)

 イスラエル出身のオーレン・ペリという無名の新人監督が、無名の俳優を使い、自宅を舞台に撮った超低予算のホラー。制作費はWHDジャパンのJトラッシュも真っ青の15,000ドル(約135万円)。撮影期間はわずか7日間に過ぎない。しかし、インターネットや口コミでうわさが広がり、公開5週目で全米1位、翌週には全米興行収入で1億ドル(約90億円)を突破した。現在、全世界での興行収入(2010年1月)は150億円を超えているという。まさに奇跡の作品だ。

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ハンナ・モンタナ ザ・ムービー - 小梶勝男

◆米国のテレビシリーズ「シークレット・アイドル ハンナ・モンタナ」の映画版。普通の女の子「マイリー・スチュワート」と、超人気アイドル「ハンナ・モンタナ」という、二つの顔を使い分けるティーン・エイジャーの話が、ミュージカルのように歌とダンスたっぷりで描かれる(66点)

 マイリー・スチュワート(マイリー・サイラス)は、アイドルと普通の女の子との二重生活を送っていたが、次第にハンナ・モンタナとしての比重が大きくなってくる。心配した父親(ビリー・レイ・サイラス)は、ニューヨークへ向かうはずの彼女のプライベート・ジェットを、自身の故郷であるテネシー州の田舎町へ向かわせる。

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作戦-THE SCAM- - 小梶勝男

◆韓国で初めての「株」をテーマにした作品という。仕手株を巡って、騙し騙される頭脳戦がテンポよく描かれている。韓流スターのパク・ヨンハが冴えない男を演じているのも見所だ(69点)

 韓流スター、パク・ヨンハの7年ぶりの映画出演作。日本では歌手としてのイメージが強いが、元々は演技派なのだろう。「負け組」から勝ち上がろうとあがく、冴えないデイトレーダーの青年を好演して、実力を見せてくれた。

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HATCHET/ハチェット - 小梶勝男

◆昔懐かしいオールド・スクール・ホラーに捧げるスプラッター・コメディー。残酷描写が派手で、ホラーへの愛に満ちている(80点)

 オールド・スクールとは「保守的」という意味だが、普通は70~80年代前半の「古き良き」ヒップホップのことをいう。本作は「オールド・スクール・ホラー」を謳っている。70年代後半から80年代前半の古き良きスプラッター映画を指しているのだろう。それは、「ハロウィン」(1978)、「13日の金曜日」(1980)、「バーニング」(1981)など、当時大量に作られた殺人鬼ホラーのことだ。

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今度は愛妻家 - 小梶勝男

◆一見、ニール・サイモン風の恋愛会話劇に見えながら、叙述トリックで驚くべき展開を見せる。夫婦にとって互いの存在とは何かを問う、「喪失感」がテーマの秀作(81点)

 小説に「叙述トリック」という言葉がある。ある事実をわざと隠すような書き方をして、読者に間違った先入観を持たせて驚きの展開に持って行く手法で、アガサ・クリスティーの「アクロイド殺人事件」などがその代表作だ。本作にはその叙述トリックが実に巧みに使われている。最初はニール・サイモン調のユーモラスな恋愛会話劇のように思えるが、中盤で驚くべき展開を見せる。そこから、前半の場面の様々な意味が全く変わってくる。

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(500)日のサマー - 小梶勝男

◆恋愛に振り回される青年の500日を描く、記憶と空想に閉じ込められた物語。ズーイー・デシャネルの瞳の色が魅力的(84点)

 「テラビシアにかける橋」(2007)で、ズーイー・デシャネルを見たとき、何と綺麗な瞳の色かと驚いた。それほど綺麗な瞳は、それまで見たことがなかった。以来、デシャネルは私にとっては特別な女優となった。

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食堂かたつむり - 小梶勝男

◆声を失った柴咲コウが田舎で料理店を開き、周囲を癒していく物語。「食べることの意味」がテーマだが、それがドラマとして物語を引っ張っていかない(66点)

 頭に浮かんだのは、「ロハス」や「エコロジー」という言葉だった。今の一種の「時代の気分」であって、だからこそ原作もベストセラーになったのだろう。しかし、真っ向から「癒やし」を描かれると、見ていてどうにも居心地が悪い。映画の中で登場人物たちが癒やされるほどには、観客は癒やされない。

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エクトプラズム 怨霊の棲む家 - 小梶勝男

◆ドキュメンタリー風かと思ったら普通のホラー映画だった。派手な見せ場は楽しめるが、怖くはない。ただ、エクトプラズムを吐く場面だけは異様な迫力があった(66点)

 テレビのドキュメンタリー番組で放映された実話が基だというから、「フォース・カインド」(2009)や「パラノーマル・アクティビティ」(2007)のようなドキュメンタリー・タッチの作品だと思っていた。冒頭に、「事実に基づく」とテロップが出るし、テレビカメラに向かってバージニア・マドセンが話す場面から物語が始まるのが、「フォース・カインド」のような仕掛けを思わせる。さらに、「フォース・カインド」に出演していたイライアス・コーティアスも重要な役で出ているのである。

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サイコ・イコール - 小梶勝男

◆WHDジャパンのオリジナル・ホラー第1弾。「アンダルシアの犬」(1928)以来の目玉切り裂きシーンが見もののJトラッシュ(55点)

 関西の残虐ホラー製作会社・WHDジャパンの記念すべきオリジナル・ホラー第1弾。本作の後、「鬼殻村」(2009)「腐女子」(2009)と続き、現在(2010年1月)第4弾が企画されている。

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