HATCHET/ハチェット - 小梶勝男

◆昔懐かしいオールド・スクール・ホラーに捧げるスプラッター・コメディー。残酷描写が派手で、ホラーへの愛に満ちている(80点)

 オールド・スクールとは「保守的」という意味だが、普通は70~80年代前半の「古き良き」ヒップホップのことをいう。本作は「オールド・スクール・ホラー」を謳っている。70年代後半から80年代前半の古き良きスプラッター映画を指しているのだろう。それは、「ハロウィン」(1978)、「13日の金曜日」(1980)、「バーニング」(1981)など、当時大量に作られた殺人鬼ホラーのことだ。

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今度は愛妻家 - 小梶勝男

◆一見、ニール・サイモン風の恋愛会話劇に見えながら、叙述トリックで驚くべき展開を見せる。夫婦にとって互いの存在とは何かを問う、「喪失感」がテーマの秀作(81点)

 小説に「叙述トリック」という言葉がある。ある事実をわざと隠すような書き方をして、読者に間違った先入観を持たせて驚きの展開に持って行く手法で、アガサ・クリスティーの「アクロイド殺人事件」などがその代表作だ。本作にはその叙述トリックが実に巧みに使われている。最初はニール・サイモン調のユーモラスな恋愛会話劇のように思えるが、中盤で驚くべき展開を見せる。そこから、前半の場面の様々な意味が全く変わってくる。

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(500)日のサマー - 小梶勝男

◆恋愛に振り回される青年の500日を描く、記憶と空想に閉じ込められた物語。ズーイー・デシャネルの瞳の色が魅力的(84点)

 「テラビシアにかける橋」(2007)で、ズーイー・デシャネルを見たとき、何と綺麗な瞳の色かと驚いた。それほど綺麗な瞳は、それまで見たことがなかった。以来、デシャネルは私にとっては特別な女優となった。

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食堂かたつむり - 小梶勝男

◆声を失った柴咲コウが田舎で料理店を開き、周囲を癒していく物語。「食べることの意味」がテーマだが、それがドラマとして物語を引っ張っていかない(66点)

 頭に浮かんだのは、「ロハス」や「エコロジー」という言葉だった。今の一種の「時代の気分」であって、だからこそ原作もベストセラーになったのだろう。しかし、真っ向から「癒やし」を描かれると、見ていてどうにも居心地が悪い。映画の中で登場人物たちが癒やされるほどには、観客は癒やされない。

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エクトプラズム 怨霊の棲む家 - 小梶勝男

◆ドキュメンタリー風かと思ったら普通のホラー映画だった。派手な見せ場は楽しめるが、怖くはない。ただ、エクトプラズムを吐く場面だけは異様な迫力があった(66点)

 テレビのドキュメンタリー番組で放映された実話が基だというから、「フォース・カインド」(2009)や「パラノーマル・アクティビティ」(2007)のようなドキュメンタリー・タッチの作品だと思っていた。冒頭に、「事実に基づく」とテロップが出るし、テレビカメラに向かってバージニア・マドセンが話す場面から物語が始まるのが、「フォース・カインド」のような仕掛けを思わせる。さらに、「フォース・カインド」に出演していたイライアス・コーティアスも重要な役で出ているのである。

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サイコ・イコール - 小梶勝男

◆WHDジャパンのオリジナル・ホラー第1弾。「アンダルシアの犬」(1928)以来の目玉切り裂きシーンが見もののJトラッシュ(55点)

 関西の残虐ホラー製作会社・WHDジャパンの記念すべきオリジナル・ホラー第1弾。本作の後、「鬼殻村」(2009)「腐女子」(2009)と続き、現在(2010年1月)第4弾が企画されている。

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処刑山 デッド卍スノウ - 小梶勝男

◆タイトルはシリアス風だが実は爆笑スプラッターホラー。後半の残酷描写はかなり派手で、笑える場面もたくさんある。この手の映画が好きな人にはお薦めだ(66点)

 本作は「高名な霊媒師」の忠告によって、マスコミ試写を行わないという。じゃあどうやって見たのかというと、単にサンプルのDVDを取り寄せたのだが、子供っぽいギミックが、何だかワクワクするではないか。珍しい北欧ノルウェイのゾンビ映画で、「ノルディックホラー」を謳い、チラシには「ノルディック呪いディック」なんて書いてある。ダジャレとしては苦しいが、とにかく楽しそうな雰囲気は伝わってきた。

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プラネット B-BOY - 小梶勝男

◆ブレイクダンスの世界大会を追ったドキュメンタリー。各国のチームが見せる超絶技巧が素晴らしい(66点)

 ブレイクダンスには全く関心がなかった。そういえば流行ったときもあったなあ。その程度だった。しかし、本作には圧倒されてしまった。ドキュメンタリーとしてはごく普通の撮り方だが、ブレイクダンス自体が凄いのである。テレビなどで昔見たブレイクダンスからは格段に進化して、全く別物になっている。こんなにテクニックが高度で、様々な文化を取り入れて、パワフルで、繊細で、そして自由なダンスだったのか。目が覚める思いだった。

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アバター - 小梶勝男

◆ジェームズ・キャメロン監督が3Dの歴史を変えるといわれたSFアクション。「映像革命」は本当だった(93点)

 日本中のシネコンが今年、急ピッチでデジタル3D施設の整備を進めてきたのは、本作のためだと言っても大袈裟ではないだろう。ジェームズ・キャメロン監督が構想に14年、製作に4年を費やしたという「アバター」は、単なる3D映画ではなく、「映像革命」だと伝えられてきた。果たして「革命」は成功したのか? 答えはイエスだ。

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サヨナライツカ - 小梶勝男

◆中山美穂が12年ぶりに主演し、夫・辻仁成の原作で激しいラブシーンを演じた話題作。イ・ジェハン監督は単なる恋愛映画とせず、中山美穂を戦後日本が失った「夢」の象徴として描いているところがいい(80点)

 古いホテルには、「魔物」が棲み着くものだ。

 本作は恋愛映画に違いないが、どこかファンタジーのようにも思える。中山美穂が演じる主人公・沓子の存在が、余りに非現実的なのだ。バンコクのオリエンタルホテル(旧ザ・オリエンタル、バンコク)のスイートルームに住み続け、いつまでも男を待っている女。浮世離れしていて、すべて男の幻想ではないかと思えるほどだ。この幻想味こそ、本作の最大の魅力であり、監督のイ・ジェハンはじめ韓国の手練れのスタッフが、すべて中山美穂のために作り上げた仕掛けだ。12年ぶりの映画主演となる中山は、幻想のマジックの中で光り輝いている。

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腐女子 - 小梶勝男

◆WHDジャパンのオリジナル・ホラー第3弾。本当に“腐って”いく女と子供の話(40点)

 「腐女子」というと、男同士の恋愛を描いたマンガや小説を好む女子のことだが、本作の場合は、本当に「腐っていく女子」の話である。しかし、このタイトルには二重にトラップが仕掛けられていて、最後にニヤリとさせられる。

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BANDAGE バンデイジ - 小梶勝男

◆90年代の音楽業界を、愛情を込めて描いた佳作。映画初出演の赤西仁が軽薄だが憎めないロッカーを好演している(73点)

 若い頃、誰でも音楽に夢中になった経験があるだろう。自分自身のそんな時代を思い出させてくれる作品だった。

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彼岸島 - 小梶勝男

◆絶海の孤島で高校生たちが吸血鬼と化した島民たちと戦うサバイバル・アクション。様々な要素が入り交じった内容で、アクションやCGは今ひとつだが、娯楽映画の王道は外れていない(64点)

 本作は「火山高」で知られるキム・テギュンを監督に迎えてはいるが、松本光司のマンガが原作。舞台が日本で、監督以外のキャスト、スタッフも日本人なので、日本映画と考えていいだろう。タイトルからはホラーをイメージするが、アクションの印象が強い。宣伝文句の通りだが、「サバイバル・アクション」というのがピッタリだ。

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THE 4TH KIND フォース・カインド - 小梶勝男

◆東京スポーツのトンデモ1面記事を映画化したらこんなふうになるだろうか。“記録映像”と再現映像を並べて見せる手法が面白い(65点)

 東京スポーツに載った宇宙人の死体写真やゴム人間の記事を見て、新聞なのにウソを書くなと怒る人は無粋だろう。もし本作を見て怒る人がいたとしたら、同じように無粋だと思う。本作の"記録映像"の真偽については、この際、考えても意味がない。ただ、騙される楽しみを失わないためにも、あくまでも「超常ドキュメンタリー」として見るべきだろう。

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ゾンビの秘宝 - 小梶勝男

◆「ユーロ・トラッシュの帝王」ジェス・フランコのゾンビ映画。ユーロ・トラッシュとは何かを知るには格好の作品(20点)

 最近、ヨーロッパのZ級映画を「ユーロ・トラッシュ」と呼んで再評価する傾向がある。言葉はお洒落な感じだが、要するにヨーロッパのクズ映画というわけだ。その代表格として有名なジェス・フランコ監督が1981年、当時のゾンビブームに乗って発表したのが本作。A・M・フランク監督との表記もあるが、フランコの変名の一つだ。「オアシスゾンビ」としても知られている。当然ながら日本で劇場公開はされていない。

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