不思議の国のアリス(1903年版) - 小梶勝男

alice1903

◆ルイス・キャロルの原作を初めて映画化した8分の短編(80点)

 昨年、WHDジャパンからDVD「不思議の国のアリス1903―1915」が発売されたのは、「アリス」ファンにとってはうれしい驚きだった。「アリス」の世界初の映像化である1903年版と、原作の挿絵を描いたジョン・テニエルの世界を忠実に映像化したとされながら、日本未公開で長らく幻の作品とされていた1915年版の2本が収録された、実に魅力的なDVDだった。両作は、ティム・バートンの3D映画「アリス・イン・ワンダーランド」の原点ともいえる。バートン版と併せて見ると大変に興味深い。

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レギオン - 小梶勝男

レギオン

◆「キリシタン・アクション」認定第2弾(第1弾は「ザ・ウォーカー」)。天使の軍団と人類との戦いを描いているが、スケールは実に小さい(66点)

 キリスト教は文化として全世界に広がっている。キリスト教的な世界観をバックグラウンドとしない映画を探す方が難しいだろう。しかし、キリスト教そのものをテーマとしたアクション映画は、それほど多くないと思う。本作や「ザ・ウォーカー」(2010)を見て、「キリシタン・アクション」というジャンル名を提唱したくなった。なぜ「クリスチャン・アクション」ではないのかというと、普通の日本人には納得しがたいテーマを扱っている「違和感」を、江戸時代のキリスト教という「異質なもの」の呼び方で表現したかったのだ。

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アリス・イン・ワンダーランド - 小梶勝男

◆ティム・バートンが3Dで描く「不思議の国のアリス」の後日譚。独特の映像世界はさすがだが、ロールプレイングゲームのような話が理に落ちすぎている(78点)

 試写に行きそびれ、近くのシネコンで見た。日本語吹き替え版、3D吹き替え版、3D字幕版の3パターンが上映されていたが、字幕版はちょうどお昼とか、遅い回とか、鑑賞しにくい時間帯だけ。専ら子供向けの作品というわけではないのに、メーンは吹き替えだった。「シャッターアイランド」がきっかけで、吹き替えの時代が本格的にやってくると言われているが、3D作品に限って言えば、すでに上映は吹き替えが中心になってしまったようだ。

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17歳の肖像 - 小梶勝男

17歳の肖像

◆ビートルズ登場以前のイギリス・ロンドンで、大人の世界に憧れる中流階級の少女を描く。主演のキャリー・マリガンの魅力と、少女の気持ちにぴったりと寄り添った演出で、新鮮で心を打つ作品となった(91点)

 世間知らずの少女が、年上の男性とロマンチックな恋に落ち、大人の社会を体験していく。よくあるストーリーだが、魅力的なキャストで時代背景などを丁寧に描いて作ると、これほど新鮮で心を打つ作品になるのかと驚いた。

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第9地区 - 小梶勝男

第9地区

© 2009 District 9 Ltd All Rights Reserved.

◆アカデミー賞4部門にノミネートされたピーター・ジャクソン製作のSF映画。エイリアンを「難民」と捉える視点が面白い(81点)

 ある意味、「裏・アバター」と言えるかも知れない。「アバター」では人間が他の星に行って、姿形を宇宙人に変えてコミュニティーに入り込もうとする。本作では逆に、宇宙人が突然、地球にやってきて、主人公は自分の意思とは無関係に宇宙人に姿を変えられてしまうのである。どちらに真実味があるかと言えば、明らかに本作の方だろう。

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ダーリンは外国人 - 小梶勝男

ダーリンは外国人

© 2010「ダーリンは外国人」フィルムパートナーズ

◆漫画家を目指すイラストレーターの女性と、語学オタクの米国人が結婚するまでの奮闘を描くコメディー。国際結婚に限らない、普遍的な家族の物語になっているのが良かった(68点)

 タイトルからして当然、国際結婚にまつわる様々な困難を乗り越えて結ばれるカップルの話だと思うだろう。ところが本作には、国際結婚に特有の困難は、ほとんど描かれていない。もっと普遍的な家族の物語になっている。そこがとても良かった。

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月に囚われた男 - 小梶勝男

月に囚われた男

◆たった一人、月で働く男を描いて、果てしない孤独を感じさせる本格SF。ひねりのきいたストーリーが、「存在」とは何かを問いかけてくる。(74点)

 優れたSF映画は、常に哲学的な問いを内包している。本作もそうだ。「存在」とは何かという、根源的な問いを投げかけてくる。

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ゼブラーマン -ゼブラシティの逆襲- - 小梶勝男

ゼブラーマン -ゼブラシティの逆襲-

© 2010「ゼブラーマン -ゼブラシティの逆襲-」製作委員会

◆仲里依紗が魅力的で、それだけで十分に楽しめる。哀川翔のデビュー25周年記念作でありながら、どこまでも仲里依紗のための作品になっている(75点)

 三池崇史監督作「ヤッターマン」(2009)は、深田恭子が演じるドロンジョが余りにも魅力的だった。私も含め、もうストーリーなどどうでもいいから、ドロンジョだけを見ていたい、と思った人も多かったはずだ(と思う)。そんな人にとって、本作は理想の作品だ。ドロンジョよりもセクシーで魅力的な仲里依紗の「ゼブラクイーン」と「ゼブラウーマン」を、たっぷりと見ることが出来るからだ。

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ザ・ウォーカー - 小梶勝男

ザ・ウォーカー

© 2010 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.

◆デンゼル・ワシントン主演のアクション大作。最終戦争後の荒廃した世界を舞台に、「ある本」を運ぶ男をスタイリッシュな映像で描く。驚きのラストまで、ドラマとアクションがうまく噛み合っているが、「ある本」の意味が日本人にはピンとこないかも知れない(79点)

 監督のアルバート・ヒューズとアレン・ヒューズは双子の兄弟だという。製作がジョエル・シルバーで監督が兄弟と聞けば、「マトリックス」シリーズのウォシャウスキー兄弟を思い出すが、ヒューズ兄弟も彼らに負けないくらい映画マニアであるようだ。様々な映画へのオマージュを感じさせる。それがストーリーにうまい具合にはまっているのに感心した。日本の「あの映画」へもオマージュが捧げられているが、「落ち」に関わることなので、タイトルが言えないのが残念だ。

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シャッター アイランド - 小梶勝男

シャッター アイランド

© 2009 by PARAMOUNT PICTURES. All Rights Reserved.

◆マーティン・スコセッシ監督、レオナルド・ディカプリオ主演の謎解きミステリー。「超日本語吹き替え版」は、日本に吹き替え版を定着させるきっかけになるだろうか(75点)

 昨年辺りだっただろうか。シネコンで、「吹き替えの方が楽だから」と、字幕版がすぐに上映されるのに、わざわざ吹き替え版の上映を待っているカップルを見かけて、ショックを受けた。どんな作品だったか忘れたが、3Dではなかったと思う。

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ソラニン - 小梶勝男

ソラニン

© 2010 浅野いにお・小学館/「ソラニン」製作委員会/写真:太田好治

◆浅野いにおの漫画を映画化。宮崎あおいと高良健吾の主演で、夢と現実の間でもがく若者たちの青春をリアルに描く(75点)

 劇場用長編を初めて演出する三木孝浩監督が描く若者たちの世界は、ある意味、生ぬるいと思う。まるで大学のサークルの延長のような、優しい人間関係。そこには社会の厳しさは感じられない。お互いに甘え合って生きているような印象なのだ。しかし、現実とは、そういうものではないだろうか。本作の生々しいほどのリアリティーは、三木監督の徹底的に若者サイドに寄り添った視点にあるような気がする。

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運命のボタン - 小梶勝男

◆リチャード・マシスンの原作を「ドニー・ダーコ」のリチャード・ケリーが映画化。ケリー監督のファン向きの哲学風トンデモSFだ(67点)

 ボタンを押せば100万ドル(約1億円)が手にはいるが、代わりに見知らぬ誰かが死ぬことになる。そんな「選択」を迫られた夫婦の物語だ。運命の皮肉を扱ったサスペンス・ミステリーかと思ったら、「ドニー・ダーコ」(2001)のリチャード・ケリー監督らしい、実にマニアックな、哲学風トンデモSFだった。

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NINE - 小梶勝男

◆フェリーニの「8 1/2」のミュージカル版の映画化だが、全く別物と考えた方がいい。大物女優たちの「隠し芸大会」としては楽しめる(70点)

 冒頭、主人公の映画監督グイド(ダニエル・デイ=ルイス)が撮影所で幻想を見る場面で、もう心を打たれてしまった。ニコール・キッドマンをはじめ、大物女優たちが次々と登場し、最後はイタリアの顔、ソフィア・ローレンである。老いてなお毅然とした(そして胸も大きい)ローレンを見ることが出来ただけで、本作の価値はあると思った。

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スパイアニマル・Gフォース - 小梶勝男

◆人間と話が出来るモルモットが活躍するデジタル3Dのアクション映画。製作のジェリー・ブラッカイマーらしい、大味だが豪快な映像が楽しめる(66点)

 完全に子供向けの話なのだが、子供が見て楽しいかどうかは微妙だ。主役のモルモットはリアル過ぎて余りかわいくない。実写とCGアニメーションの合成が巧み過ぎて、生き物の感じがしない。擬人化され過ぎているのだ。むしろ、大人の方が楽しめるかも知れない。製作はジェリー・ブラッカイマー。ストーリーは単純で大味だが、彼らしい豪快な映像を楽しめる。

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半分の月がのぼる空 - 小梶勝男

◆少年少女の難病と恋愛を描く青春映画だが、映画ならではの叙述トリックが驚きの展開を見せる。(85点)

 単なる少年少女の難病・恋愛を描いた青春映画だと思っていたら、びっくりさせられる。見事な叙述トリックが使われているのである。それが単に驚かせるだけでなく、クライマックスの感動につながっているのが素晴らしい。

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