テコンV - 小梶勝男

◆1976年に公開されて大ヒットした韓国初の本格的ロボットアニメの最新デジタルリマスター版。日本のアニメが洗練されすぎて失ったプリミティヴな魅力がここにはある(66点)

 韓国では伝説的なアニメという。「マジンガーZ」にかなり似たデザインのロボットに、テコンドーの使い手が「ガッチャマン」みたいなヘルメットで乗り込み、テコンドーを駆使して悪のロボット軍団と戦う。相手は北朝鮮を思わせる「アカ帝国」で、試合で負けたテコンドー選手、プロレス選手、剣道選手などをロボットに改造し、操って人類を滅亡させようとする。なぜ試合に負けた選手ばかりを選んでいるかというと、「負けた恨み」を利用するから。さすがは「恨(ハン)」の国である。

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ダブル・ミッション - 小梶勝男

◆ジャッキー・チェンのアクションは過激さがなくなった代わり、名人芸の域に達している。軽めのコメディーだが、熟練の技を堪能出来る。(67点)

 ジャッキー・チェンのハリウッド進出30周年記念映画。内容も、それにふさわしく、冒頭、主人公のこれまでの活躍を紹介するのに、ジャッキーの過去作品のダイジェストを使うなど、様々な作品にオマージュを捧げている。

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アイアンマン2 - 小梶勝男

◆やりたい放題のわがまま社長というユニークなヒーロー像が痛快。CGの派手な見せ場に美女と、ゴージャスな見所の連続で、前作以上の出来(80点)

 「アイアンマン」シリーズは、主人公が真面目なヒーローではなく、わがままでセレブ、兵器産業に関わる企業の2代目社長というのが面白い。しかもナルシストで、「正体」が世界中にばれている。自分は世界平和を民営化したと公言し、スーツを着て酒に酔い、武器を使って顰蹙を買う。そして、自分の非をなかなか認めない。普通のヒーロー像と全く真逆なのだ。だが、嫌な感じはしない。ロバート・ダウニーJrがユーモアたっぷりに演じていると、嫌味がないというか、嫌味なところも許せてしまう。むしろ痛快で、人間として様々な欠点があることで、普通のヒーローよりも共感できるほどだ。

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ボローニャの夕暮れ - 小梶勝男

◆第2次世界大戦下、イタリア・ボローニャの一家族の崩壊と再生を描いた秀作。過去と未来を一瞬で肯定するラストの奇跡に感動させられた(85点)

 ボローニャはイタリア北部。長靴でいえば、脚の付根の下ぐらいか。井上ひさしが「ボローニャ紀行」で書いた、職人の町、庶民の町だ。スパゲッティー・ボロネーゼは、ボローニャ風スパゲッティーの意味。日本ではミートソース・スパゲッティーの方が一般的だろう。ボロネーゼとミートソースは別物という説もあるが、トマトの量が違うくらいである(と理解している)。

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さんかく - 小梶勝男

◆30男と恋人、その妹。徹底的にダメな3人の三角関係をリアルに描いたコメディー(81点)

 「さんかく」は男女の三角関係である。釣具店のアルバイト店員で30歳の百瀬(高岡蒼甫)と、同棲している恋人・佳代(田畑智子)のアパートに、夏休みを利用して、佳代の妹、桃(小野恵令奈)が転がり込んでくる。中学3年生で15歳だが、体は大人の桃は、無防備に振る舞い、百瀬をドキドキさせる。やがて、百瀬は桃に夢中になり、佳代と別れる。納得のいかない佳代は百瀬のストーカーとなり、百瀬は桃のストーカーとなっていく。

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アウトレイジ - 小梶勝男

アウトレイジ

© 2010「アウトレイジ」製作委員会

◆暴力をテーマに、ヤクザ同士の潰し合いを描いた北野武監督作。よく出来たB級バイオレンス映画(77点)

 北野武監督は、テレビ番組のインタビューで、「どつき漫才」を例に出し、暴力は笑いと同じだと語っていた。漫才でどつかれれば笑いが起こるが、どつかれる方が流血すれば、暴力として恐怖を呼ぶことになる。見せ方によっては、「どつく」という行為は、暴力にもお笑いにもなる。また別の番組では、暴力は描写が過剰過ぎるとホラーになってしまうとも語っていた。ホラーは恐怖だが、血しぶきが過剰に飛び散るスプラッター映画は時として笑いに転化する。笑いにも恐怖にも狂気にも成り得る暴力を、いかに斬新に、痛みが伝わるように表現するか。本作は、エンタティンメントであると同時に、北野武監督による暴力論であるとも言えるだろう。

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座頭市 THE LAST - 小梶勝男

座頭市 THE LAST

© 2010「座頭市 THE LAST」製作委員会

◆SMAPの香取慎吾が座頭市に挑戦した意欲作。人間味のあるリアルな座頭市像を作ることには成功しているが、仲代達矢や倍賞千恵子らの大芝居が浮いていて、非常にバランスが悪い作品になってしまった(66点)

 座頭市といえば、何といっても勝新太郎だろう。ビートたけしも演じたし、やや変則的なものとしては、綾瀬はるかが女座頭市に扮した曽利文彦監督の「ICHI」(2008)がある。その他、山田誠二監督「新怪談残虐非道・女刑事と裸体解剖鬼」(2004)のゾンビ市(橋本和博)、高橋洋監督の地下映画「ソドムの市」(2004)の俎渡海市兵衛(浦井崇)なども、座頭市の変奏曲だ。日本映画だけではない。「ブラインド・フィーリュー」(1989)のルトガー・ハウアー、さらに最近の米国映画(タイトルを書くとネタバレになるので書かない)にも、座頭市的なキャラクターは登場する。盲目の居合い斬りの達人は、あまりに強烈で魅力的なキャラクター故に、様々に作り手の創造力を刺激するのである。

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パーマネント野ばら - 小梶勝男

パーマネント野ばら

© 2010映画『パーマネント野ばら』製作委員会

◆舞台となる高知の町並みや、そこに住む人々の生活感が、詩的かつリアルに描かれた秀作。菅野美穂、小池栄子、池脇千鶴ら女性陣がとてもいい(80点)

 西原理恵子の原作を、「クヒオ大佐」の吉田大八が監督。菅野美穂の8年ぶりの映画主演作としても話題だ。

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逆襲!スケ番ハンターズ/地獄の決闘 - 小梶勝男

◆B級ながら、セクシー・アクションの面白さを存分に楽しめる。主演の亜紗美がとびきりカッコいい(72点)

 今年(2010年)のゆうばり国際ファンタスティック映画祭で最も驚かされたのが、「スケ番☆ハンターズ」2部作だった。いわゆるB級映画だが、空疎な大作よりも遥かに面白かった。

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ゾンビランド - 小梶勝男

◆笑いもスプラッターもきっちり楽しめるホラー・コメディー(72点)

 ゾンビは元々、ブードゥー教の呪術師によって魂を抜かれ、奴隷化された人々だった。このブードゥー・ゾンビは、早くからベラ・ルゴシ主演の「恐怖城」(「ホワイト・ゾンビ」)(1932)などでスクリーンに登場している。ゾンビ自体は自分の欲望を持たず、「支配者」の言いなりになって働くという点で、我々が悪い意味での「共産主義」をイメージするときの、「人民」に近いといえるだろう。

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タイタンの戦い - 小梶勝男

タイタンの戦い

© 2010 WARNER BROS ENTERTAINMENT INC AND LEGENDARY PICTURES

◆レイ・ハリーハウゼンの同名作のリメーク。モンスターが次々と登場するのはサービスたっぷりだが、モンスターの動きが速過ぎてよく見えず、3D効果も薄い(67点)

 試写を見逃したため、劇場で3D、字幕版で鑑賞した。ダイナメーション(ストップモーション・アニメ)の巨匠レイ・ハリーハウゼンが特撮を手がけた「タイタンの戦い」(1981)のリメークで、監督は「トランスポーター」のルイ・ルテリエだ。ギリシャ神話を映像化したファンタジーだが、ドラマは粗筋程度しか描かれない。ルテリエらしく、とにかく、次々とモンスターが登場する。別にドラマが見たかったわけではないので、サービスたっぷりな感じがしてよいのだが、困ったことに、そのせっかくの見せ場がよく見えない。3Dも思ったほど飛び出さない。

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劇場版TRICK 霊能力者バトルロイヤル - 小梶勝男

劇場版TRICK 霊能力者バトルロイヤル

© 2010「劇場版TRICK 霊能力者バトルロイヤル」製作委員会

◆シリーズ10周年、劇場版として3作目。これまでのシリーズとほぼ同じ展開はマンネリだが、そこがいいところでもある(72点)

 テレビ朝日の深夜番組としてスタートしてから、深夜ドラマが2シーズン、夜9時台での放送が1シーズン、スペシャルが2本(1本は現時点ではまだ放送されていない。2010年5月15日放送)、そして劇場版が本作を入れて3本。今年で10周年を迎えるシリーズは、これほど長く続いているのであるから、多くの人に愛されているといって言いだろう。10周年記念の本作の内容は、堤幸彦監督が一種のシニカルなジョークとして、舞台となる村を「万練村」と名づけたように、全くの「マンネリ」だ。これまでのシリーズの集大成でもあるし、単なる繰り返しでもある。本作の場合は、それでいいのだ。

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FURUSATO~宇宙からみた世界遺産 - 小梶勝男

◆ニュージーランド、エジプト、日本の自然と世界遺産を、地球観測衛星からの映像と、4K3Dデジタルカメラによる映像で描いた立体映画。38分の短編だが、3D本来の魅力が存分に味わえる(71点)

 日本における「3D元年」といわれた昨年から今年にかけて、デジタル3D作品が次々と公開されている。アニメーションやモーション・キャプチャーについては、立体効果に満足した作品が多かったが、実写となるとどうか。モーション・キャプチャーと実写が融合した「アバター」は別として、「アリス・イン・ワンダーランド」は妙に画面が暗く、「タイタンの戦い」は殆ど飛び出す感じがなかった。実写の3Dは果たして成功しているといえるだろうか。

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冷たい雨に撃て、約束の銃弾を - 小梶勝男

◆ジョニー・トー監督独特の、芸術的なまでの銃撃戦を堪能できるフィルム・ノワール(83点)

 ジョニー・トーが「ヴェンジェンス 報仇(原題)」を撮ると聞いて、ショウウ・ブラザースのチャン・チェ監督作のリメークかと思ったが、全く違っていた。主演はフランス人のジョニー・アリディ。香港とフランスの合作で、最初はアラン・ドロン主演のフィルム・ノワールとして準備されていたという。ドロンが脚本を気に入らず、出演を取りやめたらしい。それはそうだろう。ストーリーはよく出来ているとは言えない。脚本を読んだだけでは、本作の魅力は伝わらないだろう。なにせ、「間合い」の映画なのである。男同士が敵になるのか、味方になるのか。撃ちあうのか、撃ちあわないのか。どのタイミングで銃撃戦が始まるのか。全ては相手と向き合い、「間合い」を計ることで決まる。映画はその「間合い」をじっくりと見せる。男たちが黙って顔を見つめ合う緊張感。それが一気に凄まじい銃撃戦へと転じる瞬間のエクスタシー。脚本では絶対に分からないトー作品の醍醐味だ。

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ブギーマン 死霊の鏡 - 小梶勝男

◆ドイツ・トラッシュ・ムービー界の巨匠、ウーリー・ロメル監督の代表作。スプラッター場面はそれなりだが、意味不明な展開が笑いを誘う(64点)

 トラッシュ・ムービーの世界はとても広い。本作は1980年製作のB級ホラーだ。スプラッターともオカルトともつかない作品で、その分野では有名なドイツのウーリー・ロメル監督の代表作である。あるウェブサイトでは最低映画の一つにも挙げられているので、ご存じの方もいるかも知れない。いや、ほとんどの人が知らないだろうし、別に知らなくてもいい。

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