◆第2次世界大戦下、イタリア・ボローニャの一家族の崩壊と再生を描いた秀作。過去と未来を一瞬で肯定するラストの奇跡に感動させられた(85点)
ボローニャはイタリア北部。長靴でいえば、脚の付根の下ぐらいか。井上ひさしが「ボローニャ紀行」で書いた、職人の町、庶民の町だ。スパゲッティー・ボロネーゼは、ボローニャ風スパゲッティーの意味。日本ではミートソース・スパゲッティーの方が一般的だろう。ボロネーゼとミートソースは別物という説もあるが、トマトの量が違うくらいである(と理解している)。
◆第2次世界大戦下、イタリア・ボローニャの一家族の崩壊と再生を描いた秀作。過去と未来を一瞬で肯定するラストの奇跡に感動させられた(85点)
ボローニャはイタリア北部。長靴でいえば、脚の付根の下ぐらいか。井上ひさしが「ボローニャ紀行」で書いた、職人の町、庶民の町だ。スパゲッティー・ボロネーゼは、ボローニャ風スパゲッティーの意味。日本ではミートソース・スパゲッティーの方が一般的だろう。ボロネーゼとミートソースは別物という説もあるが、トマトの量が違うくらいである(と理解している)。
◆30男と恋人、その妹。徹底的にダメな3人の三角関係をリアルに描いたコメディー(81点)
「さんかく」は男女の三角関係である。釣具店のアルバイト店員で30歳の百瀬(高岡蒼甫)と、同棲している恋人・佳代(田畑智子)のアパートに、夏休みを利用して、佳代の妹、桃(小野恵令奈)が転がり込んでくる。中学3年生で15歳だが、体は大人の桃は、無防備に振る舞い、百瀬をドキドキさせる。やがて、百瀬は桃に夢中になり、佳代と別れる。納得のいかない佳代は百瀬のストーカーとなり、百瀬は桃のストーカーとなっていく。
◆暴力をテーマに、ヤクザ同士の潰し合いを描いた北野武監督作。よく出来たB級バイオレンス映画(77点)
北野武監督は、テレビ番組のインタビューで、「どつき漫才」を例に出し、暴力は笑いと同じだと語っていた。漫才でどつかれれば笑いが起こるが、どつかれる方が流血すれば、暴力として恐怖を呼ぶことになる。見せ方によっては、「どつく」という行為は、暴力にもお笑いにもなる。また別の番組では、暴力は描写が過剰過ぎるとホラーになってしまうとも語っていた。ホラーは恐怖だが、血しぶきが過剰に飛び散るスプラッター映画は時として笑いに転化する。笑いにも恐怖にも狂気にも成り得る暴力を、いかに斬新に、痛みが伝わるように表現するか。本作は、エンタティンメントであると同時に、北野武監督による暴力論であるとも言えるだろう。
◆SMAPの香取慎吾が座頭市に挑戦した意欲作。人間味のあるリアルな座頭市像を作ることには成功しているが、仲代達矢や倍賞千恵子らの大芝居が浮いていて、非常にバランスが悪い作品になってしまった(66点)
座頭市といえば、何といっても勝新太郎だろう。ビートたけしも演じたし、やや変則的なものとしては、綾瀬はるかが女座頭市に扮した曽利文彦監督の「ICHI」(2008)がある。その他、山田誠二監督「新怪談残虐非道・女刑事と裸体解剖鬼」(2004)のゾンビ市(橋本和博)、高橋洋監督の地下映画「ソドムの市」(2004)の俎渡海市兵衛(浦井崇)なども、座頭市の変奏曲だ。日本映画だけではない。「ブラインド・フィーリュー」(1989)のルトガー・ハウアー、さらに最近の米国映画(タイトルを書くとネタバレになるので書かない)にも、座頭市的なキャラクターは登場する。盲目の居合い斬りの達人は、あまりに強烈で魅力的なキャラクター故に、様々に作り手の創造力を刺激するのである。
◆舞台となる高知の町並みや、そこに住む人々の生活感が、詩的かつリアルに描かれた秀作。菅野美穂、小池栄子、池脇千鶴ら女性陣がとてもいい(80点)
西原理恵子の原作を、「クヒオ大佐」の吉田大八が監督。菅野美穂の8年ぶりの映画主演作としても話題だ。
◆B級ながら、セクシー・アクションの面白さを存分に楽しめる。主演の亜紗美がとびきりカッコいい(72点)
今年(2010年)のゆうばり国際ファンタスティック映画祭で最も驚かされたのが、「スケ番☆ハンターズ」2部作だった。いわゆるB級映画だが、空疎な大作よりも遥かに面白かった。
◆笑いもスプラッターもきっちり楽しめるホラー・コメディー(72点)
ゾンビは元々、ブードゥー教の呪術師によって魂を抜かれ、奴隷化された人々だった。このブードゥー・ゾンビは、早くからベラ・ルゴシ主演の「恐怖城」(「ホワイト・ゾンビ」)(1932)などでスクリーンに登場している。ゾンビ自体は自分の欲望を持たず、「支配者」の言いなりになって働くという点で、我々が悪い意味での「共産主義」をイメージするときの、「人民」に近いといえるだろう。
◆レイ・ハリーハウゼンの同名作のリメーク。モンスターが次々と登場するのはサービスたっぷりだが、モンスターの動きが速過ぎてよく見えず、3D効果も薄い(67点)
試写を見逃したため、劇場で3D、字幕版で鑑賞した。ダイナメーション(ストップモーション・アニメ)の巨匠レイ・ハリーハウゼンが特撮を手がけた「タイタンの戦い」(1981)のリメークで、監督は「トランスポーター」のルイ・ルテリエだ。ギリシャ神話を映像化したファンタジーだが、ドラマは粗筋程度しか描かれない。ルテリエらしく、とにかく、次々とモンスターが登場する。別にドラマが見たかったわけではないので、サービスたっぷりな感じがしてよいのだが、困ったことに、そのせっかくの見せ場がよく見えない。3Dも思ったほど飛び出さない。
◆シリーズ10周年、劇場版として3作目。これまでのシリーズとほぼ同じ展開はマンネリだが、そこがいいところでもある(72点)
テレビ朝日の深夜番組としてスタートしてから、深夜ドラマが2シーズン、夜9時台での放送が1シーズン、スペシャルが2本(1本は現時点ではまだ放送されていない。2010年5月15日放送)、そして劇場版が本作を入れて3本。今年で10周年を迎えるシリーズは、これほど長く続いているのであるから、多くの人に愛されているといって言いだろう。10周年記念の本作の内容は、堤幸彦監督が一種のシニカルなジョークとして、舞台となる村を「万練村」と名づけたように、全くの「マンネリ」だ。これまでのシリーズの集大成でもあるし、単なる繰り返しでもある。本作の場合は、それでいいのだ。
◆ニュージーランド、エジプト、日本の自然と世界遺産を、地球観測衛星からの映像と、4K3Dデジタルカメラによる映像で描いた立体映画。38分の短編だが、3D本来の魅力が存分に味わえる(71点)
日本における「3D元年」といわれた昨年から今年にかけて、デジタル3D作品が次々と公開されている。アニメーションやモーション・キャプチャーについては、立体効果に満足した作品が多かったが、実写となるとどうか。モーション・キャプチャーと実写が融合した「アバター」は別として、「アリス・イン・ワンダーランド」は妙に画面が暗く、「タイタンの戦い」は殆ど飛び出す感じがなかった。実写の3Dは果たして成功しているといえるだろうか。
◆ジョニー・トー監督独特の、芸術的なまでの銃撃戦を堪能できるフィルム・ノワール(83点)
ジョニー・トーが「ヴェンジェンス 報仇(原題)」を撮ると聞いて、ショウウ・ブラザースのチャン・チェ監督作のリメークかと思ったが、全く違っていた。主演はフランス人のジョニー・アリディ。香港とフランスの合作で、最初はアラン・ドロン主演のフィルム・ノワールとして準備されていたという。ドロンが脚本を気に入らず、出演を取りやめたらしい。それはそうだろう。ストーリーはよく出来ているとは言えない。脚本を読んだだけでは、本作の魅力は伝わらないだろう。なにせ、「間合い」の映画なのである。男同士が敵になるのか、味方になるのか。撃ちあうのか、撃ちあわないのか。どのタイミングで銃撃戦が始まるのか。全ては相手と向き合い、「間合い」を計ることで決まる。映画はその「間合い」をじっくりと見せる。男たちが黙って顔を見つめ合う緊張感。それが一気に凄まじい銃撃戦へと転じる瞬間のエクスタシー。脚本では絶対に分からないトー作品の醍醐味だ。
◆ドイツ・トラッシュ・ムービー界の巨匠、ウーリー・ロメル監督の代表作。スプラッター場面はそれなりだが、意味不明な展開が笑いを誘う(64点)
トラッシュ・ムービーの世界はとても広い。本作は1980年製作のB級ホラーだ。スプラッターともオカルトともつかない作品で、その分野では有名なドイツのウーリー・ロメル監督の代表作である。あるウェブサイトでは最低映画の一つにも挙げられているので、ご存じの方もいるかも知れない。いや、ほとんどの人が知らないだろうし、別に知らなくてもいい。
◆ある建物の心霊現象を扱ったフェイク・ドキュメンタリー。ハイビジョンとデジタル処理で浮かび上がってくる霊が怖い(48点)
映画監督・阿見松ノ介がある建物の心霊調査を依頼され、女優2人と撮影に訪れる。ハイビジョンで撮影した映像をデジタル処理すると、本物の心霊現象が浮かび上がってきた。
◆希望が持てない今の世の中で、どうやって頑張ればいいのか。その問いに、実に痛快な答えを出してくれるコメディーの秀作。主人公を演じた満島ひかりが素晴らしい(82点)
槇原敬之は「世界に一つだけの花」で、ナンバーワンにならなくても、オンリーワンになればいい、という意味のことを歌っている。名曲だとは思うが、私はこの歌が好きではない。自分も含めて多くの人は、所詮、ナンバーワンにもオンリーワンにもなれないと思うからだ。「オンリーワン」といえるようなものを持っている人が、果たしてどれだけいるのだろうか。
◆リュック・ベッソンによる「アーサー」三部作の第2部。「アーサーとミニモイの不思議な国」(2006)に続き、実写と3DCGアニメを見事に合成し、フランスらしいユーモラスでお洒落な「地下王国」の世界を見せてくれる(68点)
ミクロな地下世界を描きながら、「アバター」のようにエコロジーや自然回帰、反文明主義的な薄っぺらさに支配されていないのがいい。まるで無国籍都市・新宿のような、ピカピカ光る繁華街なのだ。