REC/レック3 ジェネシス - 小梶勝男

スペインのゾンビ・ホラー「REC」シリーズの3作目。途中からPOVを放棄し、大スプラッター大会になるのが痛快(点数 67点)


(C)2011 REC GENESIS A.I.E

 謎の伝染病により、人々がゾンビ化していくスペインのホラー「REC」シリーズの第3弾。シリーズは主観カメラ(POV=ポイント・オブ・ビュー)によるドキュメンタリーのようなリアルな映像がウリだった。
1作目はアパートに舞台を限定、そこに取材で入ったテレビクルーのカメラ目線で全編を描き、POVの効果をうまく生かした秀作だった。
2作目はアパートに突入した警察の特殊部隊の隊員たちが、それぞれヘルメットにビデオカメラを装備しているという設定で、様々なカメラによる記録映像を組み合わせていたが、なぜかPOVによるリアリズムとは相反する、オカルトめいた悪魔憑きのストーリーとなり、怪作という印象だった。

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ラーメン侍 - 小梶勝男

ご当地映画のUターンものだが、渡辺大と山口紗弥加の熱演や、ラーメンというテーマの面白さで、Uターンものの水準を超えた秀作となった(点数 70点)


(C)「ラーメン侍」製作委員会

 ここ数年、「ご当地映画」と呼びたくなるような作品が増えている。
ある地域を舞台に、そこのフィルムコミッションが協力し、地元でエキストラを賄って作られる作品だ。
地域の歴史や特色がテーマとなり、ときにはスタッフやキャストも地域出身者や、地域と関連のある人々が集められる。
エキストラはたいていボランティア。
スタッフの一部がボランティアの場合さえある。

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POV~呪われたフィルム~ - 小梶勝男

Jホラーの先駆者・鶴田法男監督がPOV(主観映像)に挑んだ意欲作。フェイク・ドキュメンタリーがラストで一気にエンターティンメントに昇華されるのが見事(点数 75点)


(C)2012「POV 呪われたフィルム」製作委員会

 鶴田法男監督は、Jホラーの先駆者として知られている。初監督のビデオ作品「ほんとにあった怖い話」(1991)などで、今日「Jホラー」と呼ばれるジャンルの演出法の基礎を確立したのだ。「ほんとにあった怖い話 第二夜」(1991)に収録された「霊のうごめく家」は特に有名だ。この作品からJホラーが始まったと言ってもいい。

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キツツキと雨 - 小梶勝男

「南極料理人」の沖田修一監督が描く、ゾンビ映画の監督と木こりが心を通わせていくコメディー。映画作りの熱気や楽しさが伝わってきて、観客を幸せな気分にさせてくれる(点数 78点)

 ゾンビ映画の撮影隊が田舎へロケに出かけ、木こり(役所広司)と出会う。木こりは撮影隊に半ばむりやり手伝わされるうち、映画作りに夢中になっていく。一方で、撮影隊の若い映画監督(小栗旬)は決断力がなく、映画作りから逃げ出したくて仕方ない。だが、木こりと心を通わせるうちに自信を取り戻していく。

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ピラミッド 5000年の嘘 - 小梶勝男

ピラミッドの謎から超古代文明の存在を示唆するドキュメンタリー。内容は興味深いが、映像は付け足しで、これなら本で読めば十分(点数 40点)

 エジプト・ギザの大ピラミッドに関するこれまでの「定説」を覆し、高度な科学力を持った古代文明の存在を示唆するフランス製ドキュメンタリー。
 ピラミッドは本当に国王の墓なのか。
建設期間は20年といわれるが、未発達な工具でそんなに短期間での建設は可能だったのか。
石の積み方がなぜこれほど不規則で、しかも精度が高いのか。
円周率や黄金数に正確に基づくデザインは、なぜ可能だったのか。
確かにピラミッドに関しては、従来の定説では説明できない謎が多く存在する。

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三国志英傑伝 関羽 - 小梶勝男

 ドニー・イェンが見せるソード・アクションが素晴らしく、ドラマとしても見応えのある秀作(点数 77点)


(c)2010 STAR UNION SKYKEE (BEIJING) FILM &MEDIA ADVERTISEMENT CO.,LTD. All Rights Reserved

 昨年はドニー・イェンが大活躍した年だった。日本での劇場公開作が「イップ・マン 葉問」「イップ・マン 序章」「孫文の義士団」「レジェンド・オブ・フィスト 怒りの鉄拳」「導火線」「処刑剣 14BLADES」と続き、いずれも最高レベルのアクションを見せた。
作品的にも「イップ・マン」シリーズや「孫文の義士団」は優れた出来映えだった。
トニー・ジャーが映画製作のトラブルで姿を消し、ジャッキー・チェン、ジェット・リーの両雄がアクションを押さえ気味な方向に進んでいる今、香港クンフーアクションのトップ・スターといっていいだろう。

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ザ・ライト エクソシストの真実 - 小梶勝男

事実を基本にしたノン・フィクション・ホラー。前半、エクソシスト養成講座や悪魔払いの現場がリアルに描かれ、興味深い。後半は普通のホラー映画になってしまって残念(70点)


(C) 2010 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.

エクソシストについて書いた2冊の本がある。
トレイシー・ウイルキンソン「バチカン・エクソシスト」と、島村菜津「エクソシスト急募」だ。
ヨーロッパで近年、悪魔払いの需要が増え、バチカンはエクソシストを増やそうとし、イタリアの大学では養成講座が開かれた。
イタリアを中心に、現代も悪魔払いは多くの人々に「現実」と見なされている。
2冊の本はほぼ同じ内容だが、衝撃的なのは、どちらもノン・フィクション、つまり事実だということだ。

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婚前特急 - 小梶勝男

現代のスクリューボール・コメディーを目指した前田弘二監督の劇場公開デビュー作。テンポがよく笑えるが、登場人物のキャラクターが強烈過ぎて共感出来ないのが惜しい(点数 65点)


(C) 2011『婚前特急』フィルム・パートナーズ

列車が舞台の映画ではない。恋愛コメディーだ。
タイトルはエルンスト・ルビッチの「極楽特急」(1932)やハワード・ホークスの「特急二十世紀」(1934)を意識しているのだろう。
これらの作品から連想するのは、「スクリューボール・コメディー」という言葉だ。
余りにも古く、今や死語かも知れないが、1930年代から40年代初めごろにかけて、アメリカで流行したジャンルである。
スクリューボールは言うまでもないが野球で言う変化球の一種だ。
そこから、変人という意味にも使われる。
スクリューボール・コメディーとは、(ルビッチの「極楽特急」がそれに含まれるかどうかは異論があるだろうが)変人の男女が、たいていはいがみ合いながら、結局は恋に落ちるというストーリーである。
「婚前特急」はまさにその通り、変人男女の恋を描いており、現代のスクリューボール・コメディーを目指したのだろう。

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悪人 - 小梶勝男

悪人

© 2010「悪人」製作委員会

◆深津絵里がモントリオール世界映画祭で最優秀女優賞を受賞した話題作だが、面白くない。誰が悪人かというテーマが、分かりやすすぎる(72点)

 周囲の評価が相当に高い作品だが、私には、余り面白いとは思えない。確かに力作ではある。前半から中盤にかけては、実に丁寧に芝居を撮っている。深津絵里はモントリオール世界映画祭で最優秀女優賞を受賞した。それだけでも立派な映画なのだろう。だから面白いかというと、はっきり言って面白くない。

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BECK - 小梶勝男

BECK

© 2010「BECK」製作委員会

◆観客の想像を超えられないものを、描かないことによって、観客の想像を超えようとした意欲作(72点)

 次々と大作、話題作を手掛け、ヒットを飛ばしている堤幸彦監督は、一般の観客に支持されていると言っていいだろう。しかし、周囲の映画記者や関係者にそう言うと、強烈に反論され、バカにされることが多々ある。コアな映画ファンの一部には、堤作品が大嫌いな人たちが存在するのである。堤監督が一般の映画ファンに受け入れられるのに、一部のコアな映画ファンに嫌われるのは、なぜなのだろうか。

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エクスペンタブルズ - 小梶勝男

◆スタローンの下に、ジェット・リーやステイサムら、アクション・ヒーローたちが大結集した超豪華なB級映画。粗っぽいが、それが「荒々しい魅力」にもなっている(73点)

 シルベスター・スタローンにジェット・リー、ジェイソン・ステイサム、ミッキー・ローク、ドルフ・ラングレン。元プロレス界のスーパー・スター、「ストーン・コールド」スティーブ・オースティン、UFCのランディ・クートゥア。さらにカメオ出演で今やカリフォルニア州知事のシュワルツェネッガーと、ブルース・ウイリス。よくこれだけのメンバーが集まったものだと思う。集まっただけでもう十分、本作は成功と言えるだろう。これだけ集まってしまったら、逆にいい映画にはなりにくいが、いい映画じゃなくても全く構わない。とにかくアクション・ヒーローたちの大集結を観たいのだから。

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怪談新耳袋 怪奇 - 小梶勝男

◆「悪魔の凶暴パニック」を思わせるパニック・ホラー「ツキモノ」と正統派Jホラー「ノゾミ」。ホラー・マニアの篠崎誠監督による、対極的な2本立ては、どちらも一筋縄ではいかない面白さがある(68点)

 篠崎誠監督はホラー・マニアである。ホラーを巡って、黒沢清監督との対談本を出しているくらいだ。その篠崎監督が、期待通りの一筋縄ではいかないホラーを見せてくれた。

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ベスト・キッド - 小梶勝男

ベスト・キッド

◆予定調和的なハリウッドの娯楽作にジャッキー・チェンがピタリとはまって、気持ちがいい。上映時間は長すぎるが、端正な出来(69点)

 ジグソーパズルの最後の1ピースがピタリとはまるのは、気持ちのいいものだ。例え完成した絵が凡庸だとしても。

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ソルト - 小梶勝男

ソルト

◆アンジェリーナ・ジョリー主演のスパイ・アクション。ストーリーは荒唐無稽だが、それが気にならないほどのスピード感は見事。ジョリーはどのシーンでも魅力的だ(74点)

 近頃、ロシアの美人スパイが逮捕されて話題になったが、現実の(恐らく)地味な諜報活動とはまるで無関係な、ド派手なスパイ・アクションである。 アンジェリーナ・ジョリーが、走り、飛び、格闘し、銃を撃つ。全編、アクションが全く止まらない。この疾走感は実に見事だ。

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フローズン - 小梶勝男

◆男女3人がスキー場のリフトに取り残される雪山版「オープン・ウォーター」(2003)。新鋭アダム・グリーン監督の手腕は確かだが、ストーリーにひねりが欲しい(67点)

 「HATCHET/ハチェット」(2006)が日本で劇場公開されなかったのは残念だった。スプラッター映画が全盛だった1980年代を彷彿とさせるホラーの秀作だったと思う。監督はこれが劇場向け長編デビューとなるアダム・グリーン。新人だが、確かな演出力を感じた。

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