◆愉快なギャグと傑作SFへのオマージュがいっぱい(70点)
舞台は人類にうち捨てられた29世紀の地球。主人公は700年間、たったひとりでゴミ処理を続けてきたオンボロのロボット、ウォーリー。そんな孤独なロボットの前に、白く輝く最新鋭の探査ロボット、イヴが現れて……。
◆愉快なギャグと傑作SFへのオマージュがいっぱい(70点)
舞台は人類にうち捨てられた29世紀の地球。主人公は700年間、たったひとりでゴミ処理を続けてきたオンボロのロボット、ウォーリー。そんな孤独なロボットの前に、白く輝く最新鋭の探査ロボット、イヴが現れて……。
◆名脚本家の50年越しの問題提起(60点)
ちょうど半世紀前に放送された同名テレビドラマのリメイク作品だ。脚本は1958年のオリジナル版や、1994年の最初のリメイク版と同じ橋本忍。数々の黒沢映画に脚本を提供し、今年90歳になる老大家にとって、本作はことのほか思い入れの強い作品であるらしい。理髪師の清水豊松は、戦時中、上官の命令で捕虜の殺害に手を貸した。戦争が終わり、妻子との平凡な日常を取り戻したかに見えたある日、彼は戦犯として逮捕され……。
◆おふざけにどこまでノレるか、スティラーの映画は人を選ぶ(60点)
曲者ベン・スティラーが製作、監督、脚本、主演をこなし、ハリウッドの舞台裏を茶化したコメディ映画。落ち目のアクションスターのタグ(スティラー)、下品なコメディアンのジェフ(ジャック・ブラック)、黒人風に整形までしたやりすぎ演技派俳優のカーク(ロバート・ダウニー・Jr.)といった面々が、戦争映画の撮影中に、麻薬組織の支配するジャングルに置き去りにされ……。
◆まじめ人間がハマった、めくるめく運命の落とし穴(70点)
会計士という職業は、どうも欧米人の間では相当退屈な人種というレッテルを貼られているらしく、たとえば『モンティ・パイソン』のあるエピソードの中では、マイケル・ペイリン扮する公認会計士が、ジョン・クリーズ扮する職業カウンセラーからこんなことを言われていた。「あなたの性格は驚くほど退屈。想像力に欠け、臆病。指導力も決断力もない。卑屈で、ユーモアのセンスもゼロ。社交性に乏しく、許しがたいほど無気力で、だらしがない。ところが他の職業では致命的となるこうした欠点も、公認会計士にとっては大きな長所となるのです」
◆古き良きスポーツ界への惜別の歌が聞こえる(70点)
ジョージ・クルーニーが往年のスクリューボール・コメディにオマージュを捧げた軽妙な一編。「恋愛劇」「スポーツ映画」「人間ドラマ」の3つの味が楽しめるお得な秀作だ。
◆今が旬の若手実力派2人が激突!(80点)
今をときめくスカーレット・ヨハンソンとナタリー・ポートマンが、複雑な愛憎で結ばれた姉妹に扮する歴史劇。新興貴族のブーリン卿は一族の隆盛を図るため、長女アンをヘンリー8世の愛人にしようと企てるが、国王が見初めたのはすでに結婚していた次女のメアリーで……。
◆ケレン味抜群の3D映像を楽しもう(70点)
ご存じ、ジュール・ベルヌの小説「地底探検」を下敷きにした作品。科学者と甥っ子、美貌の山岳ガイドが、地下の世界に落ちこんで、不思議な現象や太古の動植物と遭遇するが、脱出路を探すうちに地底火山の噴火が迫り……。“地球の中心”に光差す大空洞があったり、そこに恐竜や空飛ぶピラニアがいたりと、現在の科学知識からすればかなり噴飯ものの設定も多いが、そこはSFの古典に敬意を表し、割り切って楽しむしかない。
◆ハイテクの脅威を描くジェットコースター・アクション(70点)
スティーブン・スピルバーグの構想を元に作られたノンストップ・スペクタクル。コピーショップの店員ジェリー(シャイア・ラブーフ)と、子どもを人質に取られたレイチェル(ミシェル・モナハン)が、謎の女性“アリア”に電話で命じられるまま、否応なしに犯罪行為を強いられて……。
◆穏やかなユーモアが心地よい喪失と癒しの感動作(70点)
出だしのシーンを見ただけで、「これはうまい」と舌を巻いた。外出先から戻ったヒラリー・スワンクとジェラルド・バトラーの夫妻が丁々発止の口ゲンカを繰り広げるのだが、それが何ともテンポよく、かつユーモラス。しかも2人の言葉や態度の端々に、互いに対する愛情の深さまでが感じられ、観客は我知らず夫妻を好きになるという寸法。やがて画面はオープニングのクレジットに移り、続くシーンではすでに夫が死んでいて……。
◆ポートマンとバルデムの顔合わせで描く、スペイン史の裏側(70点)
美人がそうでない女性に比べて不当に得をしているのは事実だと思うけど(得をさせているのは他ならぬ我々男性なのだから、その点は間違いない)、美人は美人なりに、いろいろと悩みがあるもの。特にその美人がたまたま女優であったりすると、「おバカなブロンドの役しか回ってこない」とか「どんなにいい演技をしても美しさしか評価されない」といった憂き目に遭いがちだ。それを甘受できない野心派の美人女優は、たとえば『モンスター』(03)のシャーリーズ・セロンのように13キロもの“逆ダイエット”を敢行し、自らのイメージを打ち破ってみたりする。
◆ケレン味あふれる映像表現は興奮度100%!(90点)
アクション映画の中には「予告編で見たシーン以外には見せ場がありませんでした」と言いたくなるようなズッコケ作品も少なくないが、この『ウォンテッド』は明らかに本物! オープニングの超人的な襲撃&反撃シーンで観客を引きこむと、休む間もなくスタイリッシュな銃撃戦に、ケレン味いっぱいのカーチェイス。アンジー姐さんは登場するなり、眉間にしわを寄せて銃を乱射し、疾走する車のボンネット上でイナバウアーだ。ここまでの20分間だけで早くも映画料金の元は取れると断言できるが、ジェームズ・マカヴォイ演じる主人公が能動的にストーリーに関わってくるのは実はそこからだ。
◆ドイツ映画界の地雷を踏むシニカルな人間喜劇(70点)
日本にはコメディのウケにくい土壌があるだけに、本作の配給元が人間ドラマを前面に打ち出した宣伝戦略を採るのは致し方のないことだとは思う。とはいうものの、そのためにコメディファンが本作を見逃すようなことがあるならあまりにも惜しい。そう、本作はコメディ、それも上質のコメディだ。
◆“映像の魔術師”が見せる希望と救済の童話(70点)
ミュージックビデオやCMの撮影で名高いターセムが手がけた長編映画第2作。前作の『ザ・セル』(00)は超とんがったビジュアルにストーリーテリングの技が追いついていない印象だったが、自ら脚本にも参加した本作では、その差がかなり縮まった。
◆ショーン・ペン監督の鮮烈な“オフ”ロードムービー(80点)
エミール・ハーシュが「童顔のウルバリン」といった風貌で登場するオープニングを見た時には正直言って失笑を漏らしてしまったのだが、物語が進むうちに「この男はそうバカにしたもんじゃないぞ」と思えてきた。つまりはこの映画自体もだ。
◆この夏イチ押しのスーパーヒーロー映画が登場(70点)
子供の頃に「ウルトラマンが壊したビルは誰が弁償するんだろう?」なんて思いながらテレビを見ていた方もけっこういると思うが、『ハンコック』はそんな疑問から企画をスタートさせたかのような作品だ。