ザ・バンク 堕ちた巨像 - 町田敦夫

◆グッゲンハイム美術館での壮絶な銃撃戦に興奮!(70点)

 『パフューム ある人殺しの物語』(06)のトム・ティクヴァ監督が、不正な手段で巨利をむさぼる巨大銀行と、その摘発に人生をかけたインターポール捜査官との攻防を描いたクライム・サスペンス。複雑でわかりにくい経済事犯ではなく、古典的な謀略と暗殺の物語に徹した構成が成功し、緊迫感あふれる一作に仕上がった。インターポール捜査官のサリンジャー(クライブ・オーウェン)は、ニューヨーク検事局のホイットマン(ナオミ・ワッツ)の協力を得てIBBC銀行の不正を暴こうとするが、重要証人や捜査官が次々と殺害されて……。

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フロスト×ニクソン - 町田敦夫

◆ニクソンとテレビ司会者の起死回生を欠けた大勝負(70点)

 ジョージ・W・ブッシュが登場する以前、最も不人気な米国大統領といえば、それはリチャード・ニクソンのことだった。なんたって米国史上初めて弾劾裁判にかけられ、辞任を余儀なくされた大統領だったのだから。そのニクソンが表舞台への復帰を狙って出演した1977年のテレビインタビューは、4500万人もの視聴者を集めたという。インタビュアーを務めたデビッド・フロストはコメディアン上がりのテレビ司会者で、こちらも人気の先細り感に焦りを抱えていた。『フロスト×ニクソン』は、そんな2人がそれぞれの起死回生をかけて臨んだ伝説のインタビュー番組と、その舞台裏で繰り広げられる虚々実々のかけひきを描いた実録のドラマだ。

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ワルキューレ - 町田敦夫

◆トム・クルーズがナチスの反逆のヒーローに(60点)

 ナチスが権勢を振るった第2次世界大戦期にも、ドイツ国内には秘かにその政権転覆を謀る勢力が存在したという。『ワルキューレ』は彼らが実際に決行したヒトラー暗殺作戦を、『ユージュアル・サスペクツ』の監督&脚本コンビが克明に映画化した政治サスペンスだ。

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リリィ、はちみつ色の秘密 - 町田敦夫

◆ダコタの成長物語がオバマの登場とシンクロ(70点)

 人種差別が色濃く残る1960年代の米国南部を舞台に、心に傷を抱えた少女リリィの、ひと夏の冒険と成長を描いた感動作だ。白人女性作家スー・モンク・キッドの処女長編を、黒人女性監督のジーナ・プリンス=バイスウッドが脚色。かつての“神童”ダコタ・ファニングが実年齢と同じ14歳のヒロインに扮し、この年齢層特有の不安定な立場や鬱屈した心情を体現してみせる。

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映画は映画だ - 町田敦夫

◆映画界を舞台にしたキム・ギドク原案のメタフィクション(80点)

 韓流ブームが去ったと言われて久しい。確かにひと頃のヨン様やイ・ビョンホンに匹敵するような人気者は、さすがに日本では生まれなくなった。だが、ストーリーを生み出す力に関して言えば、韓国映画界にはまだまだ底知れぬポテンシャルが隠されているように思う。それを実感させてくれるのが、たとえばこの『映画は映画だ』のような作品だ。

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チェンジリング - 町田敦夫

◆アンジェリーナ・ジョリーが不屈の母性愛を熱演(70点)

 母ひとり子ひとりの家庭から9歳の息子が姿を消し、母親は眠れぬ日々を過ごす。5ヵ月後、警察から息子が発見されたとの報が入るが、名乗り出てきた子供は明らかに別人で……。1928年に実際に起きた事件を元にした、クリント・イーストウッド監督の入魂作だ。不屈の母性愛を見せたアンジェリーナ・ジョリーは、本作でアカデミー賞主演女優賞へのノミネートを勝ち取った。当時の町並みや衣装が見事に再現されているのにも驚く(20年代の実物を見たことはないのだけれど)。

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7つの贈り物 - 町田敦夫

◆ウィル・スミスが究極の贖罪を敢行(70点)

 通販会社の電話オペレーターとして働く盲人にしつこくクレームをつける。入居者を虐待する老人ホームの経営者に、「お前には、やらない!」と謎の言葉をぶつける。『7つの贈り物』は、主人公のこんなシーンから幕を開ける。どうやら彼は「いい人間」を探しているらしい。でも、いったいなぜ?――と思った時点で、あなたは作り手の術中にはまっている。

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ホルテンさんのはじめての冒険 - 町田敦夫

◆生真面目な初老の男が抱腹絶倒の冒険へ(80点)

 「判で押したような人生」という表現は、どちらかといえば自嘲的なニュアンスで使われることが多いけど、雇用環境がこれだけ悪化してくると、「判で押したような人生」を送れる人はむしろ幸せなのではないかしらんと思えてくる。本作の主人公のホルテンさんも、ノルウェー鉄道の運転士として、つましくも規則正しい毎日を送っていた。ところが定年退職の前日になって、彼の人生は予想もしなかった脱線をし始めて……。

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ベンジャミン・バトン 数奇な人生 - 町田敦夫

◆ブラピが驚異の老けメイク(70点)

 老人のような肉体を持って生まれ、年齢を重ねるごとに若返っていく男。鬼才デビッド・フィンチャーは、そんなワン・アイデアを元に、2時間47分の堂々たる大河ドラマを撮り上げた。原作はF・スコット・フィッツジェラルドが1920年代に書いた短編。主人公のベンジャミン・バトンには、『セブン』『ファイト・クラブ』に続き、フィンチャーとは3度目のコラボレートとなるブラッド・ピットが扮している。

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シャッフル - 町田敦夫

◆不可思議な時間の流れがサンドラ・ブロックを翻弄(60点)

 時間の流れをいじる映画には様々な類型がある。『メメント』(00)のように時間軸を逆行させる作品あり。『バンテージ・ポイント』(08)のように同じできごとを視点を変えて繰り返す作品あり。ちなみに、これらの例では時間軸がいじられていると感じるのは観客だけで、登場人物自身はごく普通の時間の流れに沿って生きている。一方、『恋はデジャ・ブ』(93)や『バタフライ・エフェクト』(04)のように、登場人物自身が変則的な時間の流れに翻弄されるパターンもある。『シャッフル』は後者の例の新機軸である。

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エレジー - 町田敦夫

◆ペネロペ・クルスの清楚な美しさが輝く(70点)

 自ら脚本を書いた『死ぬまでにしたい10のこと』『あなたになら言える秘密のこと』で評価を高めてきたイサベル・コイシェ監督が、初めて他人の小説の映画化に挑戦した作品。今回はいつもの個性的な作風を封印したうえで、同じフィリップ・ロス原作、ニコラス・メイヤー脚色の『白いカラス』(海外ドラマ『プリズン・ブレイク』で文字通りブレイクしたウェントワース・ミラーの出世作だ)に似たテイストにまとめ、雇われ監督としても非凡な仕事ができることを証明した。音楽を抑えた演出に、独特の緊迫感が漂う。

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ザ・ムーン - 町田敦夫

◆“月に行った男たち”が本音で語る舞台裏(70点)

 なぜ今、アポロ?――と、今日性のないテーマに疑問を感じつつ見始めたのだが、冒頭からたちまち引きこまれた。アポロとその時代を知る世代なら、誰もが多かれ少なかれそうなるのではないかと思う。若い世代のために申し添えれば、「アポロ」とはアメリカ航空宇宙局(NASA)が実施した月面探査計画のこと。1969~1972年にかけて彼らは6回のミッションに成功し、計12名の宇宙飛行士を月面に送りこんだ。それから現在に至るまで、地球以外の天体に降り立った人類は、この12人をおいて他にいない。

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その男ヴァン・ダム - 町田敦夫

◆落ち目のヴァン・ダムが自分を演じてみせるけど、ただのキワモノ映画じゃない!(70点)

 90年代のジャン=クロード・ヴァン・ダムは輝いていた。アクションスターの範疇を超えることはなかったが、チャック・ノリスやスティーブン・セガールのようなアクションだけのスターとはどこか違った存在だった。ところが今世紀に入ってヴァン・ダムのキャリアは急降下する。大作への出演がパタリと途絶え、私生活でもトラブル続き。『その男ヴァン・ダム』は、そんなトホホなヴァン・ダムが、トホホな自分を虚実の境目も曖昧に演じた作品だ。

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ティンカー・ベル - 町田敦夫

◆「ありのままの自分」を肯定したディズニーの歴史的転換点(70点)

 ティンカー・ベルといえば、本来はピーター・パン物語のかき回し役。いたずら好きで嫉妬深いこの妖精は、アニメ作品はもとより、ジュリア・ロバーツやリュディヴィーヌ・サニエが演じた実写版でも、かなりエキセントリックに描かれてきた。その“ティンク”が、脇役から主役に格上げされた本作ではぐっと感情移入しやすいキャラに生まれ変わった。人間の言葉(というか、観客が聞いてわかる言葉)だって初めて口にしちゃうのである。

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反恋愛主義 - 町田敦夫

◆ハンガリー製ロマコメはハリウッド映画以上にハリウッド的(70点)

 昨今のような不況下ではオトコもオンナもなかなかリスクを抱えづらいが、景気のよかった時代には「男はいらない、子供だけ欲しい」なんてことを言うキャリアウーマンが、(本音かどうかは別にして)筆者の回りにもけっこういた。『反恋愛主義』のヒロイン、ドラもそんな三十代独身のひとり。劇団の脚本家としての仕事は順調だが、信じた男には妻子のいることが発覚。もはやオトコには期待すまいと心に決めた彼女は、せめて子どもを持ちたいと、出会い系サイトにこんな広告を出す。「セックスのパートナー求む。ただしセックス以上はお断り」

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